国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院
(神奈川県 平塚市)
稲瀬 直彦 院長
最終更新日:2026/07/02


体制充実で地域完結型医療への貢献をめざす
1919年開設の海軍共済組合平塚診療所に始まり、現在は国家公務員共済組合連合会が運営する医療施設の一つとなった「平塚共済病院」。「患者が安心でき、地域から信頼される病院」を基本理念に、平塚市や近隣の地域が必要とする医療の提供をめざしている。救急医療、脳神経領域、循環器領域を中心に、がん診療や整形外科などにも注力。2019年から院長を務める稲瀬直彦先生は「地域医療支援病院を一番の役割と考え、地域の先生方から専門的な治療が必要な患者さんをご紹介いただき、治療後は地域にお戻しするという連携を大切にしています」と話す。緩和ケア病棟の新設などで診療体制の充実を図ると同時に、エリア内の医療・介護ネットワークにおける連携も重視。「顔の見える関係づくりで地域の医療資源をフル活用し、地域完結型医療に貢献したい」と語る稲瀬院長に、同院の特徴や地域での役割などを詳しく聞いた。(取材日2026年5月28日)
病院が地域でめざす役割をどのようにお考えですか?

平塚市をはじめ大磯町、二宮町などの湘南西部エリアにおける地域医療支援病院として、近隣の医療施設、介護施設、行政と密に連携しながら、救急医療や専門医療を軸に展開しています。訪問看護ステーションも併設しており、めざすのは、急性期医療から在宅医療までを一貫して支えることによる、地域完結型医療への貢献。2025年4月には24時間面会対応できる緩和ケア病棟を開設しました。院内の患者さんはもとより、他の医療機関や在宅からの受け入れも行っています。従来もチームを編成して緩和ケアには取り組んできましたが、全室個室の25床を設けたことで、さらに充実させた形です。これまで、緩和ケアを求める方は近隣のホスピスという選択肢しかなかったところ、市内の緩和ケア病棟として、「すぐにではなくとも将来的に」というご相談も多くいただいています。
診療上の強みを教えてください。

地域が求める医療を広くカバーしており、手の外科、乳腺・甲状腺の診療などにも強みがあります。また、「断らない救急医療」を目標に、救急の患者さんは内科、外科、脳神経領域、循環器領域の医師が担当。可能であれば脳卒中には薬による血栓融解や血管内治療、心筋梗塞にもカテーテルによる血管内治療を試みます。脳神経領域は脳神経内科と脳神経外科の連携により、くも膜下出血、脳出血、脳梗塞といった脳血管疾患に加え、未破裂の脳動脈瘤、脳腫瘍、外傷などを治療。循環器領域では循環器内科と心臓血管外科が連携して、狭心症や心筋梗塞のほか、不整脈のカテーテルアブレーション治療、心臓弁膜症の手術などを行います。両領域とも専用のICUと病棟を備え、多くの医師・スタッフを配置。地域で高まるニーズに応える体制です。
がん診療にも力を入れていらっしゃると伺いました。

地域連携を取りながらがん診療を担う病院の一つとして、呼吸器、消化器、乳腺、泌尿器、血液系など多様ながんに対して標準治療を適切に組み合わせる集学的治療を行い、緩和ケアも提供します。内視鏡を用いたがんの早期発見や治療にも力を入れています。外科治療、薬物治療、放射線治療という標準治療をすべて実施可能な体制に加え、手術支援ロボットの導入により、前立腺がんや大腸がんなどにロボット支援下手術を提供することも可能となっています。今や前立腺治療などではロボットの精緻さが求められる時代。整形外科領域においても、ロボティックアームシステムを活用した股関節・膝関節の人工関節弛緩術などで高精度な治療を実現しています。整形外科では、手先から肩までのケガや痛み、しびれなどは手の外科を得意とする医師が在籍しており、専門的な診療を求めて県外の医療機関からご紹介を受けることも少なくありません。
病院の理念と、実現のための取り組みを教えてください。

基本理念は「患者が安心でき、地域から信頼される病院」。他施設も含めたネットワークで地域を支える地域完結型医療をめざしています。当エリアは当院と平塚市民病院に加え、より専門的な医療が必要なケースは東海大学医学部付属病院が対応するなど、医療連携が非常に良好なのが特徴。平塚市医師会にも加わって、地域の先生方も含めて「顔の見える関係」を築いており、当院に登録した先生方や救急隊から医師が直接連絡を受けるホットラインも開設。受け入れ窓口となる医療連携室では、夕方以降も連絡を受けられるようシフト制でスタッフを配置しています。一方、退院時には当院の入退院支援室が患者さんの経済的・社会的な問題のご相談に対応。ご自宅以外への受け入れが必要な場合は湘南西部病院会の連携システムも活用し、回復期病院など適切な受け入れ先をご提案するほか、在宅医療を担う訪問看護や介護施設など多職種との連携にも力を入れています。
地域の方へのメッセージをお願いします。

めざすのは、「ここに来て良かった」と思っていただける病院。地域医療ネットワークのハブとしての役割を果たせるよう、例えば1階の入り口近くには地域連携や患者さんのサポートを担う部署をわかりやすく配置しています。昨今では緩和ケア病棟の新設や手術支援ロボット等の先進機器導入により、積極的な治療から緩和ケアまで一貫して対応できる体制が整いました。脳卒中、心不全から多様ながんまで、増加傾向にある疾患への急性期医療を軸としながら、今後も地域の皆さんや先生方から頼られる病院であり続けるため、今後もニーズに応える医療を追求し続けたいと考えています。同時に、在宅医療や在宅介護を担う皆さんとも協力しながら、「いつもは在宅、何かあったら当院で」という地域連携も一層深めていきます。これからも湘南西部エリアに暮らす皆さんの安心を支える一助となれれば幸いです。

稲瀬 直彦 院長
1985年東京医科歯科大学医学部卒業。同大学病院や国立がん研究センター内視鏡部、横須賀共済病院呼吸器内科で研鑽。米国留学を経て母校に戻り、統合呼吸器病学分野教授や副医学部長を歴任。2017年10月より平塚共済病院副院長、2019年4月より現職。専門は呼吸器内科、間質性肺炎、過敏性肺炎、睡眠時無呼吸症候群。平塚市在宅医療介護連携推進協議会の委員も務める。趣味はバイオリンやビオラなどの弦楽器演奏。





