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藤沢市民病院

(神奈川県 藤沢市)

西川 正憲 院長

最終更新日:2023/09/01

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藤沢市と周辺地域に高度医療を提供する拠点

神奈川県南部の湘南エリアにあり、子育て世代の移住などで人口増が続く藤沢市。同市の医療の要として、救急医療、がん診療、小児・周産期医療をはじめ、多様な分野で高度医療を提供しているのが「藤沢市民病院」だ。西川正憲院長は2000年から同院呼吸器内科で診療し、2023年に現職に就任。「新型コロナウイルス流行下でも当院のスタッフ全員が力を合わせ、感染症の患者さんの治療はもちろん、できる限り一般の診療も絶やさずに行ってきました」と以前の状況を振り返る。「今後は、がん診療が標準的な治療からロボット支援手術、がんゲノム診療まで提供できるなど、当院の多様な診療内容とレベルの高さをもっと多くの方に知っていただき、地域の中で患者さんを診ていく体制をさらに充実させたいですね」。1971年に診療を始めた同院では「開院50年を経て、次の50年を考える」プロジェクトも同院の若手を中心に進行中。「藤沢市とその周辺地域の医療のために、今後も診療体制の充実を図りたい」と語る西川院長に、同院の特徴や地域との連携について詳しく聞いた。(取材日2023年7月25日)

この病院が地域医療で果たす役割をお聞かせください。

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当院は地域医療支援病院で、地域の医療機関と密接に連携して、診断・治療が難しい患者さんをご紹介いただき、救急医療やがん診療のほか、多様な分野で高度医療を提供する役割を担っています。重傷・重篤な患者さんを受け入れる救命救急センターを持ち、藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町の湘南東部医療圏全体および周辺地域の三次救急をカバーしています。同センターにはEICU(救急集中治療室)6床を含む30床を設け、日本救急医学会救急科専門医を中心に救急の患者さんにあたるほか、循環器や脳血管の治療では専門の医師と協力して治療を行います。さらに藤沢市の救急隊と連携して、医師が救急車に同乗して救急現場に向かう医師同乗出動にも寄与しています。また、地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院であり、藤沢市内で手術療法、放射線療法、化学療法という標準的な治療から、ロボット支援手術、がんゲノム診療まで提供可能です。

がん診療ではどのような特徴がありますか?

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ロボット支援手術は腹腔鏡手術をより高精度に行うもので、当院では消化器部門、泌尿器科、婦人科で該当する病状が保険適用となります。がんゲノム診療は神奈川県立がんセンターと連携し、標準的な治療を終えたなど条件に合う方が希望された場合に行い、がん遺伝子パネル検査で、一部の患者さんには有用と考えられる治療が提案できる可能性があります。このほか内視鏡を用いた消化器領域のがんの早期発見と内視鏡治療、病巣を集中して治療できる高精度な放射線治療なども強みの一つ。近年は栄養室とリハビリテーション室が協力して、がん患者さんの栄養指導と筋力トレーニングを行い、治療を良好に継続できる体づくりもサポートしています。さらに、がん相談支援センターでは専門の相談員が相談に応じ、治療と仕事の両立支援のため社会保険労務士との無料相談も行うほか、患者さんやご家族の心と体のストレスを和らげるべく緩和ケアセンターも開設しています。

小児医療、周産期医療にはどう取り組まれていますか?

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当院は国の地域周産期母子医療センターかつ、神奈川県周産期救急医療システムの中核病院で、地域の小児医療、周産期医療で大きな役割を果たしています。小児医療のために設けた「こども診療センター」には、外来や入院の小児患者さんを診る小児科のほか、小児救急科、未熟児・新生児のための新生児集中治療室(NICU)を集約。小児の各分野に詳しい医師が在籍し、お子さんの一般的な症状はもちろん、心臓、内分泌、アレルギー、神経など専門的な外来診療も行っています。小児救急は小児科の医師が24時間救急を担当しています。周産期医療は産婦人科と小児科、救急科、麻酔科が24時間体制で母子の健康を守り、他科と連携して合併症がある方の安全な出産のためサポートします。陣痛、分娩、回復を同じ部屋で行える2室のLDRでは、出産直後からお子さんと過ごせる母児同室となっています。

そのほかの診療分野で近年の動きを教えてください。

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循環器領域では、不整脈治療の一つであるカテーテルアブレーションで、病気の原因部分を高周波で焼灼する従来の手法のほかに、冷却して組織を壊すクライオアブレーションという手法も提供できるようになりました。一般的に冷却する手法は高周波に比べて適応の患者さんが限られますが、治療時間は短くなり、症状に応じた治療の選択肢が増えたといえるでしょう。不整脈を放置すると、慢性心不全から脳梗塞や心筋梗塞を起こすことも多く、不整脈の早期発見と治療は今後も力を入れたいと考えています。また、2021年から導入した高気圧酸素治療装置により、突発性難聴の一般的な治療であるステロイド投与をせずに治療できるケースも見込めるなどしています。このほか、腎臓機能が低下した慢性腎不全の患者さんに対し、腎臓移植を行うために、横浜市立大学から医師を招いて専門の部門を開設し、腎臓内科、泌尿器科と協力して生体腎移植を行っています。

病院の今後の展望についてお聞かせください。

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地域の医療機関、介護・福祉施設と連携して、地域全体で患者さんを診る体制づくりを進めてきました。中でも退院する患者さんの受け入れ先をオンラインでマッチングさせる「医療介護連携情報共有システム」のおかげで、受け入れ先の決定がスピーディーになりました。こうしたIT化を広域医療圏に広げて、患者さんのスムーズな退院を支援したいです。病院全体の目標としては「より良い医療の提供」がありますが、ここ数年は「より良い医療とは何か」を職員同士で話し合う機会が減り、全体の意志統一が図れていないように感じます。新型コロナウイルス感染症流行で疲弊した職員の心身をいたわりつつ、互いのコミュニケーションを深める機会を多くつくりたいですね。1971年に開院した当院は「50年を経て、次の50年を考える」プロジェクトを若手中心で進めており、互いに自由に意見を出し合う環境の中、当院の医療をさらに向上させてほしいと考えています。

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西川 正憲 院長

1985年横浜市立大学医学部卒業。1989年同大学院医学研究科修了。藤沢市民病院で2年間診療した後、1991年から横浜市立大学附属病院呼吸器内科で経験を積む。その間、イギリスのNational Heart and Lung Instituteにも留学し、研究に従事。2000年藤沢市民病院呼吸器科内科主任医長に就任。同病院診療部長、副院長などを経て2023年4月から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医。

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