全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,986件の情報を掲載(2024年3月28日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 藤沢市
  4. 湘南台駅
  5. 湘南第一病院
  6. 嶋村 浩市 病院長

湘南第一病院

(神奈川県 藤沢市)

嶋村 浩市 病院長

最終更新日:2020/11/25

20200114 mein20200114 mein

湘南地域を超高齢社会のモデル地域に

1971年に嶋村浩市病院長の義父が開院し、地域のニーズに応える中堅病院として40年以上にわたって地域の医療を支えてきた「湘南第一病院」。高齢化が進む中、嶋村病院長は地域医療の現実を見つめ、高齢者医療に特化した専門病院として、切れ目のない医療・介護を実践。地域連携にも力を入れ、高次機能病院や療養型病院、高齢者施設、開業医など地域の約300の施設と連携。高齢者が住み慣れた地域で生活するために、必要な医療を必要な時に速やかに受けることができる体制づくりに余念がない。内科、整形外科を軸とした診療では、培ってきた診断力で病気を見極め、適切な医療機関へ患者を紹介する総合診療の窓口として機能。「湘南でいちばん、高齢者にやさしい病院」の理念のもと、誰もが高齢になることをポジティブに捉えられる社会をめざし尽力する嶋村病院長に、その取り組みについて聞いた。(取材日2019年11月14)

病院がめざすビジョンや理念をお聞かせください。

1

当院は、「湘南でいちばん、高齢者にやさしい医療をめざす」という理念をもとに、この数年の間、変わらず高齢者医療に取り組んできました。超高齢社会と聞くと、リスクが高いなどネガティブに捉えられてしまいがちですが、それを少しでもリスクと感じさせない社会づくりに貢献し続けていきたいという想いを胸に、病院単体ではなく、医療・介護・福祉における湘南地域全体での地域連携をさらに強化し強固なものにすることに注力しています。当病院は現在、地域の約300の各施設と連携していますが、手を取り合って患者さん及び利用者さんを支えていくために必要なのは理念の共感です。多職種の交流を深める、医療や介護の目的を中心にお互いに研鑽して質を高めていくことが良いサービス提供につながると考えています。高齢者医療の介護は社会的に意義のある仕事だということにプライドを持って、現場のスタッフが輝ける地域連携の実現をめざしています。

組織力を高めるために工夫していることはありますか?

20200114 2

少子高齢化、人口減少が加速している今日において、医療、介護の現場では人手不足が死活問題となっていますが、当院では、欠員の補充の採用ではなく、共に地域を支えていく志を持った仲間を探すというコンセプトで採用活動を行っています。2019年春には、採用広報室を開設しました。高齢者医療に従事することはやりがいのあるよい仕事であることを広く伝えていくことで、専門の資格や知識がある人だけではなく、今までこの業界で働こうと思ってもみなかった人が「ここで働きたい」と思える病院にしていければと考えています。特に、これからは若い人ですよね、専門学校や看護学校との連携で採用を強化していくほか、中学生や高校生に職場体験に来てもらうことで、若い人たちに僕らの理念に共感してくれる人が増えればうれしいです。未来志向の採用を進めていきたいです。

地域連携や組織力の向上は患者にどのように還元されますか?

20200107 3

地域連携活動や採用広報室での取り組みは、結果的に患者さんへのサービスの向上につながっていくと考え日々取り組んでいます。病気を治すために病院はあるのですが、若い人と違って、高齢の方はいろいろな病気を持っており、すべてが治りきるわけではありません。そこは急性期病院である僕らも価値観を変えて取り組んでいかなくてはいけません。病院が提供する医療は一つの手段であり、高齢の方の人間らしい生活や最低限の衣食住を支えていくのは高齢者施設です。施設と病院が生活を主体とした連携を行うことで、最初はネガティブな気持ちだった人も、最後は「良かった」と思えるような生活を支えていくことが、今、この地域で求められている地域連携なのです。

病院での介護についての取り組みを教えてください。

20200107 4

病院には看護師の助手を務める看護助手という職種のスタッフがいますが、看護助手は患者さんの手助けをする介護の仕事が大部分を占めます。当院のほとんどの患者さんは介護が必要な患者さんですので、看護助手という仕事は、実は、患者さんやそのご家族とのふれあいの時間も長く院内で最も大切な仕事の一つとなります。そこで病院介護の造語として「ライフケア」という言葉を作り、「LC(Life Care)事業部」を新たに開設しました。これもまさに介護の質のアップのためで、独立した事業部としたことで、看護師と並列で患者さんを支えているんだという意識を持ち、やりがいを感じて仕事をするとともに、昇進やキャリアアップも図っていきます。組織として介護の価値観を高め、病院介護から地域での介護までをシームレスに進めていければと考えています。

最後に今後の展望をお聞かせください。

20200107 5

要介護高齢者の診療に特化した急性期病院は全国でもまだ珍しく、さまざまなご相談を日頃から受けていますが、要介護になる前の人やそれを支えるご家族のお話を聞いていると、医療や介護に関する知識が不足していると感じています。「高齢=リスク」と考えるのではなく、年を重ねるとはどういうことか、介護とは何か、介護生活が始まり亡くなるまでのプロセスやお金のことなどの知識が備わっていれば、高齢になっていくことも、結婚して子どもを産むのと同じようにライフイベントとして捉えることができると思うのです。人生の終末期もネガティブなものではなく、できるだけポジティブにライフイベントの一環として受け入れることのできる社会システムを創りあげていきたいですね。これからの時代、高齢者医療の問題は誰もが抱えていく問題です。皆がポジティブに年を重ねていけるように、社会に啓発していきたいです。

20200114 mein

嶋村 浩市 病院長

1998年北里大学医学部卒業後、東京女子医科大学循環器内科入局。同大学病院や大阪市立総合医療センターなどで診療に携わる。専門は心筋梗塞のカテーテルによる検査や治療。2006年から湘南第一病院に入職。循環器科医長、副院長を経て2013年病院長に就任。先代病院長の「魂の医療」という理念を受け継ぎ、社会的使命を果たす病院をめざす。

access.png