一般財団法人 鎌倉病院
(神奈川県 鎌倉市)
三松 興道 院長
最終更新日:2024/12/27
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QOLの改善を図る高水準な手術が強み
鎌倉大仏へ続く道を5分ほど歩くと、左手に「鎌倉病院」と大書された白い看板が見えてくる。創立から130年、長谷の地に根差した診療を続けてきた歴史ある病院だ。長く療養病棟が中心だったが、9代目となる三松興道院長の着任に伴い、整形外科を強みとする病院へと生まれ変わった。レトロな趣きはそのままに、院内設備を大幅にリノベーション。特に手術室はぐっと先進的になり、先進機器がそろう。さらに、「すべての整形外科疾患の手術に対応したい」という三松先生の思いに賛同する医師が次々にジョインしたことにより、多様な疾患に対応できる体制も整った。その中でも脊髄脊椎疾患の診療と、人工関節の手術を特に得意とする三松院長に話を聞いた。(取材日2024年11月7日)
こちらの病院の歴史や特徴をお聞かせください。
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当院は1899年に開設し、鎌倉周辺地域の医療の一翼を担ってきた病院です。開設当初は結核の患者さんの診療を行う病院でしたが、時代とともに体制を変えていき、一般病床や療養病床などを運営するようになりました。その後もさまざまなニーズに応えられるように改善を重ねた結果、現在は内科と整形外科を中心とした、急性期疾患にも対応できる病院となりましたね。2016年にはさらに整形外科を強化するために、手術室を完全にリノベーションし、神経モニターシステムといった先進機器を導入。関節疾患や脊椎脊髄疾患をはじめとする、整形外科全般の多様な疾患に対する高水準な診療を提供できるようにしました。そんな当院には鎌倉市内に住む方に限らず、横浜や横須賀から、中には静岡県や埼玉県など県外からも多くの方が来てくださっています。
得意とされている治療は何ですか?
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最近は特定の分野に特化したスペシャリストが求められる時代ですが、私自身も当院もオールマイティーでありたいと思っています。オールマイティーであると患者さんの全身を診れば、治療すべき部分とその順番を迅速に把握できますからね。また患者さんにとっても、複数箇所に痛みがある場合、いくつもの医療施設を行ったり来たりする手間がなくなるでしょう。そこで当院では、整形外科においてオールマイティーであろうと考えました。その一環として開始したのが関節・脊椎専門の外来診療です。人工関節手術にも注力し、足関節以外はすべて対応できるように体制を整えています。脊椎脊髄手術と人工関節手術については、県内でも高い実績を有しているんですよ。膝の人工関節置換術においては、全部を取り換える全置換術に限らず、健康な部分を生かす部分置換術や、一気に両膝に処置を施す両側同時手術、90代以上の高齢患者さんに向けた手術も実施可能です。
他には、どのような整形外科疾患に対応されているのでしょうか?
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肩の腱が痛んでしまった場合は、筋肉を切らずに修復できる低侵襲の内視鏡手術のほか、広範な腱板断裂があっても肩を動かす機能の改善をめざせる「リバース型人工肩関節置換術」にも対応できる施設基準を満たしています。少し前にはベテランの循環器科の医師が仲間に加わり、患者さんの全身状態の管理を適切にバックアップできるようになったので、より安心して手術に臨んでいただけるでしょう。関節の痛みを除去するためだけでなく、より健康で快適な生活を送るために、患者さん一人ひとりの症状に合わせた最適な手術をご提案していきたいですね。また近年、骨粗しょう症やそれに伴う骨折の件数が増えていることを受け、当院では近隣のクリニックとも綿密な連携を取りながら治療に尽力しています。啓発活動も率先して実施しており、地域のイベントに参加し骨密度チェックを提供するなど、一人でも多くの方に興味・関心を持っていただく機会をつくっています。
執刀した医師が退院後の通院までフォローなさると伺いました。
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そうですね。術前診断から手術、入院中、退院後の通院まで、執刀した医師が責任を持ってフォローしています。近年、在院日数の短縮化が進んでいますが、高齢者が自宅に戻っても生活に困らないようにするには準備期間が必要です。そこで当院では、手術の種類によってリハビリテーションの期間を設定し、この間に日常生活が問題なく営める状態をめざします。なお、この期間を超えても状態に不安が残る場合は、地域包括ケア病棟に移っていただき、リハビリを最高2ヵ月間は受けられるようにしています。また地域の医療機関や介護事業所などと連携して、患者さんやご家族の意見を尊重した、将来を見据えたサポートも実施。相談だけでもお受けしていますので、お気軽にご活用ください。クオリティーの高い手術の提供と、早期に社会復帰したい方にも、じっくりリハビリをしてから復帰したい方にもお応えできるサポート体制を、今後も維持できるように努めていきます。
今後地域にとってどのような病院でありたいかお聞かせください。
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オールマイティーのレベルをめざしつつ、新技術も積極的に採用し、地域の方の自立した生活をサポートし続けられる病院でありたいと思っています。実現のためにも、整形外科の医師をはじめとするスタッフを増員したり、新施設への移転を検討したりしていく予定です。加えて近年の医学の進歩は、私の想定よりもはるかに飛躍していることから、現状に満足することなく今後も研鑽を続けていこうとも思っています。またコロナ禍の影響を受け、自宅にこもりがちになってしまった高齢者が増えていると聞いています。そうした方に対しても、積極的に手を差し伸べていきたいですね。健康講座やコンサートなど、さまざまなイベントを企画していますので、お出かけするきっかけとしてぜひご活用ください。これからも患者さんの状態や、生活の質の改善・向上につなげられるように努めていきます。少しでも気になる症状があれば、お気軽に受診していただきたいです。
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三松 興道 院長
1987年、東京医科大学卒業後、整形外科に入局。人工関節手術・関節鏡手術を多く手がけた後、オールマイティーな医師でありたいとの思いから大船中央病院に部長として転任。脊椎脊髄疾患、人工関節手術など関節疾患の豊富な執刀経験から、「患者全体を診る」ことで痛みの根源を探る治療を得意とする。ときにユーモアを交えた穏やかな話しぶりが、患者の心を癒やしてくれるだろう。