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患者への負担に配慮した手術
腰椎変性後側弯症の治療

医療法人社団 春陽会 参宮橋脊椎外科病院

(東京都 渋谷区)

最終更新日:2021/07/08

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  • 保険診療
  • 骨粗しょう症
  • 腰部脊柱管狭窄症

加齢とともに背骨が横に曲がる、あるいは前に曲がって傾いてくる脊椎変性後側弯症。骨の変形は加齢とともに誰にでも起こることだが、椎間板の変性、圧迫骨折、重度の骨粗しょう症、体質的な要因などがきっかけで、背骨の変形が強く起こってしまうことも。正しい姿勢が保てないことで、腰に痛みが生じたり、内臓が圧迫され食事がうまく取れないなど、QOL(生活の質)が大きく下がってしまう場合もあるのだとか。そこで、脊椎外科を専門とし腰部脊柱管狭窄症など数多くの専門的な手術を行っている「参宮橋脊椎外科病院」の大堀靖夫院長に、腰椎変性後側弯症の症状や診断、治療について詳細を聞いた。 (取材日2020年7月20日)

加齢とともに椎間板が緩み大きくゆがんでしまった背骨。重症の場合は専門の医師による手術を

Q腰椎変性後側弯症とはどういった病気ですか?

A

腰椎変性後側弯症の症状について話す大堀靖夫院長

加齢とともに、骨と骨の間のクッションの役割をする椎間板がだんだんすり減ってくることで、腰椎の3番や4番がずれてぐらつきが生じます。そのぐらつきを抑えようとして左右に背骨がゆがんでしまうことを側弯症、前に曲がってしまうことを後弯症といいます。主な症状としては、だんだん腰が痛くなり、最終的には立っていられないような痛みが起こります。また、側弯症は横に傾いてくることで脇腹が痛くなったり、後弯症は内臓が圧迫され食事がうまく取れなかったり、逆流性食道炎の原因にもなります。脊柱管狭窄症を伴う場合には、足に痺れがあったり、間欠性跛行や、お尻から足への痛みなど神経症状が出る人もいます。

Q変性後側弯症になりやすいのはどんな人ですか? 診断方法は?

A

さまざまな視点から診療している

まず、骨粗しょう症の人は骨が潰れて変形しやすいです。それ以外の方は加齢に加え体質もありますが、遺伝的な要素などはまだはっきりとわかっていません。椎間板の緩みが強い人や何ヵ所もすり減ってしまう人はこの病気になりやすい傾向にあります。私が治療を行ってきた中では圧倒的に女性のほうが多く、骨粗しょう症がない脊柱管狭窄症の患者さんでも椎間板が緩んでしまうのは女性のほうが多いように感じています。変性後側弯症かどうかを診断するためには頚椎から膝ぐらいまでの脊柱全長の正面と側面のエックス線を撮影し、ゆがみの角度を数値化します。目に見える変性と数値を指標に手術が必要かどうかを見極めていきます。

Qどのような治療法がありますか?

A

治療の重要性、必要性を丁寧に説明するように心がけている

軽症の人から手術をしなければいけないほど重症な人まで症状はさまざまですが、前にすごく体重がかかるなどで日常生活が困難な人には手術を行い、そこまで重症でない場合は運動療法から始めていきます。手術をする場合、通常の脊柱管狭窄症よりも大きな手術になってしまうため、体全体のコントロールが大切になります。また、コルセットを着けるという方法もありますが、背骨が曲がってしまってからコルセットで元に戻すのは難しく、病気の進行を止められるかどうかもわかりません。かえって体が固くなり痛みが生じることもあるので、当院ではまずは体を動かすことで病気の進行を防ぎ、曲がりが強くなってきたら手術をご提案しています。

Qこちらではどのような手術を行っていますか?

A

手術翌日からリハビリテーションも可能

椎間板が緩み隙間ができて腰椎が動くことを防ぐため、脇腹から腰椎の1番から5番の間に人工の骨を入れ、しっかりと持ち上げ側弯の傾きを取り、同時に後弯を直します。次に後ろから5番と仙骨の間の骨を削り、そこに人工の骨を差し込みます。このように角度をつけて差し込んだ人工の骨を経皮的に挿入するボルトで固定して矯正します。従来の切開して筋肉を骨から剥いでいくやり方に比べ、出血も筋肉のダメージも少ないため、ボルトが20本以上入っていても翌日から起き上がってリハビリが可能なことも特徴です。高血圧や糖尿病の人も手術が可能ですが、糖尿病の人については血糖のコントロールをしてから手術をすることが必要です。

Q手術後の生活や気をつけることなどを教えてください。

A

退院後も再発を防ぐためにしっかりとサポート

術後2~3週間は入院し当院でリハビリに取り組み、その後日常生活に支障が出ないよう近隣のJR東京総合病院など提携病院で、1ヵ月ほど回復期リハビリテーションを行っていただきます。術後、特に気をつけてほしいのが、固定したボルトと骨が結合するまでしっかりとコルセットをすることです。腰をひねったり、落ちた物をかがんで拾うなどの動作はコルセットが外れるまでは厳禁です。インプラントの緩みなどを防ぐためにも、骨を強くするための薬も使います。リハビリ終了後は、外来で状態を確認し問題がなければ約4ヵ月で硬いプラスチックの装具からやわらかい軟性装具へ移行、トータル約8ヵ月でコルセットは外していただけます。

患者さんへのメッセージ

大堀 靖夫 院長

1992年防衛医科大学校卒業。2003年米国シンシナティ小児病院留学、2006年東京大学大学院医学系研究科外科学専攻修了。東京大学医学部附属病院をはじめ、全国各地の病院で整形外科の医師として勤務した後、2014年より参宮橋脊椎外科病院院長を務める。日本整形外科学会整形外科専門医。中高は陸上部、大学では合気道に打ち込む。今は多忙な診療の合間をぬって山登りを楽しんでいる。

高齢者は若い人と違い、筋肉の衰えが早く、骨粗しょう症やフレイルなどの問題もあります。筋肉の衰えを防ぐためには、偏りのない栄養と運動、ストレッチを心がけましょう。以前の変性後側弯症の手術は大がかりで入院が長くなるため、あまりお勧めできないものでした。しかし、ここ10年で脊椎外科の治療は、麻酔、デバイス、医師の技術が大きく進歩し、患者さんの負担を軽減できるように変わってきました。背骨の曲がりがだんだん悪化してきて、痛みなど生活に不便になってきている方はぜひご相談ください。リハビリもしっかりとしなくてはいけないし時間はかかりますが、頑張って一緒に乗り越えていきましょう。

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