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患者の負担を大幅に軽減へ
バルーンを使った脊椎圧迫骨折治療

医療法人社団 春陽会 参宮橋脊椎外科病院

(東京都 渋谷区)

最終更新日:2021/09/24

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  • 保険診療
  • 脊椎圧迫骨折(脊椎椎体骨折)

人口の高齢化に伴い患者が急増しているといわれる骨粗しょう症。高齢者の場合は、骨粗しょう症によって脊椎がもろくなり、骨折に至ってしまう「脊椎圧迫骨折」も増えているので要注意だ。脊椎圧迫骨折の治療には手術が必要なケースもあるが、高齢者は体力の問題などがあり、手術をためらうことが多い。そんな高齢者にも可能なのが、低侵襲手術「バルーン・カイフォプラスティ(BKP)」。骨折した椎骨の内部にバルーンを挿入して拡張させた後、形成された空洞にセメントを充填して骨を固定するという方法だ。手術時間が短く出血も少なく済むというこの画期的な治療法について、脊椎治療の専門スタッフが治療にあたる「参宮橋脊椎外科病院」の大堀靖夫院長に話を聞いた。 (取材日2014年9月1日/情報更新日2021年9月24日)

術後の腰や背中の痛みの軽減へ。体力に不安のある高齢者たちにも可能な、出血も傷跡も少ない短時間の手術

Q脊椎圧迫骨折の主な原因は何でしょうか?

A

早めに脊椎病の専門家のいる医療機関を受診するべきという

脊椎圧迫骨折は交通事故などの外傷によって起こることもありますが、多くの場合は骨粗しょう症によって骨がもろくなった高齢者の方に現れる症状です。特に女性は閉経後に骨のバランスが崩れやすく、骨粗しょう症になる可能性が高いので要注意です。当院に脊椎圧迫骨折の治療で来院する患者さんの多くが、70代以降の高齢の女性です。骨粗しょう症が進行すると、転倒などの事故がなくても、日常生活の中で脊椎圧迫骨折が生じる場合もあります。一度潰れた脊椎は自然には元の形に戻りませんので、潰れた状態のまま骨が癒合してしまうこともあります。そうなると、背中が丸くなったり、体幹のバランスが悪くなるなどの後遺症が残ってしまうのです。

Qバルーンを使った脊椎圧迫骨折治療について教えてください。

A

脊椎治療の専門スタッフがそろう脊椎専門病院だ

まずは患者さんに全身麻酔を施し、手術中エックス線イメージで骨の内部の状態を把握しながら、皮膚2ヵ所から針を刺します。背骨の中に針が到達したら針を通してバルーンを膨らませ、つぶれた状態の骨を整復します。バルーンによって生じた空洞に粘性の高い骨セメントを注入すると、セメントが固まり始め、骨折部が固まります。骨が固まることで、背中や腰の痛みの緩和が期待できます。この手術は適切な位置に針を挿入して到達させるために、手術中エックス線イメージでの確認が肝要になります。当院ではカーボン製の手術台と2台のエックス線イメージ装置を使用し、前後・左右の2方向から同時に確認することで、手術の精度を高めています。

Qバルーンを使った脊椎圧迫骨折治療のメリットは何でしょうか?

A

高度かつ先進の医療機器を導入

患者さんの体への負担が、従来の手術に比べて非常に少ないということです。全身麻酔ですので手術中の痛みの心配は不要ですし、術後も特に傷の痛みを伴うことはありません。皮膚切開も約5mmと小さいので、出血も少なくて済みます。手術持間は約30〜40分と短く、体力に不安がある高齢の方でも安心して受けていただくことができます。全身麻酔がかけられる患者さんであれば、内科的な合併症はほとんど影響しません。専門の医師が安全に配慮して行うことで早期に骨折の痛みが治まることも期待でき、しかも保険適応内ですから、今後さらにニーズが高まっていくのではないでしょうか。

Qどんな人がこの手術の対象になりますか?

A

脊椎脊髄の専門家で、後進指導にもあたる大堀院長

この手術は、脊椎圧迫骨折を起こした骨が複数個ある患者さんには適応しない場合もありますし、神経に近い側の椎骨の壁が壊れている場合もこの治療の対象外となります。足の痛みや痺れがある人は、神経の通りが狭い「脊柱管狭窄症」の可能性も考えられますので、足の症状も同時に対応する別の手術が必要になります。また、脊椎圧迫骨折になったからといって、必ず手術が必要とも限りません。コルセットで固定したり、前屈にならないように気をつけて2週間ほど安静にしていれば、症状が緩和に向かっていくことが多いです。自然な骨折の治癒が得られず1〜2ヵ月ほど様子をみて痛みが取れない場合は手術を検討します。

Q手術後はどのようなケアを行うのでしょうか?

A

シャワールームとトイレを完備した病室

手術が終了してからも、続発する圧迫骨折を予防するためのケアは必要です。骨を強くするための内服薬を服用したり注射を定期的に打つなど、総合的な治療を行いましょう。来院頻度は月1回〜週1回まで、患者さんによって異なります。高齢になれば骨は弱ってきますから、「再発防止」という意味も込めて、長い目で治療をしていきましょう。このようなアフターケアは、患者さんがこれまで通院していたご自宅近くのクリニックで行っていただいて構いません。手術中や手術後にセメントが神経のほうへ動くなどの合併症が発生する懸念もありますが、当院では万一そのような合併症が発生した場合も対応できる体制が整っていますのでご安心ください。

患者さんへのメッセージ

大堀 靖夫 院長

1992年防衛医科大学校卒業。2003年米国シンシナティ小児病院留学、2006年東京大学大学院医学系研究科外科学専攻修了。東京大学医学部附属病院をはじめ、全国各地の病院で整形外科の医師として勤務した後、2014年より参宮橋脊椎外科病院院長を務める。日本整形外科学会整形外科専門医。中高は陸上部、大学では合気道に打ち込む。今は多忙な診療の合間をぬって山登りを楽しんでいる。

当院はドクターをはじめとして、看護師、レントゲン技師、事務スタッフまで、全員が脊椎治療に十分な知識を持つエキスパート集団です。バルーン・カイフォプラスティは専門性の高い手術ですから、脊椎外科を専門とする医師や設備がそろった病院やクリニックを受診するのがお勧めです。この手術に限らず専門集団ならば脊椎病を患った患者さんの負担の少ない手術が可能ですので、リスク軽減も望めます。脊椎圧迫骨折の予防には、若い年代から「適度な運動・バランスの良い食事・日光浴」などを普段から心がけて過ごすことが大切です。

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