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医療法人社団良江会 久留米ヶ丘病院

(東京都 東久留米市)

落 裕美 理事長

最終更新日:2020/06/19

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地域に根差した明るく笑顔あふれる医療を

理事長であり院長も務める落裕美先生の母が1958年3月に開業した「久留米ヶ丘病院」。当時女性が病院を開業するというのは珍しいことだったというが、45床でスタートした同院は、1962年に増床108床、1983年には管理病棟が開設、2010年には開放病棟が改築され183床になり、地域の精神疾患に対応してきた。文化財である野火止用水や雑木林といったどこか懐かしい景色に囲まれた同院では、明るく優しくきめ細かな診療が行われている。同院の特徴は精神病院でありながら内科を併設し、合併症の診療にも力を入れていること。また、近隣の医療機関とも積極的に連携を取り患者を相互に受け入れているほか、精神科訪問看護を行うなど地域に根づいた医療を展開。訪問看護では3組から4組の訪問看護チームが患者のもとを訪れ、病気の相談はもちろん日常生活の困り事を解決したり料理のレシピを教えたりと心に寄り添うケアを実践している。「この病院の良いところは明るいところ」と、その言葉どおりの穏やかな笑顔を見せる落理事長に、病院での取り組みや患者や地域への想いを聞いた。(取材日2020年5月27日)

病院の特徴について教えてください。

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入院・外来ともに分け隔てなく、統合失調症、双極性感情障害、ストレス関連、認知症など幅広く診療しています。私が市内の2つの特別養護老人ホームで訪問診療を行っていることや、私の兄が週に4日ほど合併症のある患者さんを診るために内科の診療を手伝ってくれていることもあり、合併症のあるご高齢の方で精神科の診療が必要な人、例えば、大学病院で手術をしてせん妄状態にある人や、骨折の手術をしたけれど精神が不安定な人を積極的に受け入れることで、近隣の身体科の先生との信頼を築いてきました。通常の認知症のケースも扱っていますが、近隣の大きな病院で認知症と診断され精神面や行動面で問題があれば当院で対応しています。また、診療以外でも積極的に市民に向けた研修会や講演を行うなど地域に根差した活動も行っています。

日々の診療で気をつけていることはありますか?

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とにかく患者さんの話を聞くということ。これが精神科の原点です。それから、カルテは必ず誰が見てもわかるように、患者さんのイメージができるように客観的に書くこと。新人の頃に教わったこの2つは今も実践しています。話をしてくれない患者さんについては、どうすれば話をしてくれるかを考えて、まずは信頼を得ることからスタートします。内科や外科では臓器があり、正常値が存在し、治療効果がわかりやすいです。しかし、心という臓器はありません。うつ病の患者さんは10人いれば症状も治療法も10通り。正常値はもともとの患者さんの日常生活、社会生活での姿です。ですから、治療の始まりは本人及び周囲の人をとにかく客観的にみること。そこに集中することが大切ですね。ご家族に対しては、話を聞くと同時に丁寧に納得のいくまで説明をし、何か疑問や不安があれば、できる限り指定の時間外でもお電話の応対や直接お話をするようにしています。

理事長として大切にしていることはありますか?

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私が母からこの病院を継いだ時はとにかく看護師が足りませんでした。つらい思いをして職員に迷惑をかけたこともあり、それ以来とにかく看護師を増やそうと意識して人を育ててきました。10年ほどたった頃から看護師が充足しだし、それからは人が集まると人が人を呼ぶのか、どんどん良い人材が集まるようになりました。若い世代もたくさん育つと同時にベテランの看護師もいてバランスが取れていると思います。毎年の忘年会で必ず職員全員の前で話すのが、とにかく職員が私の一番の財産だということ。私の母である先代の院長がつくったアットホームな雰囲気を大切にしつつ厳しさを持ちながら病院の業務をやっていくというのが私のめざすところです。私は医師という仕事が好きで、医師になれたことが今でもうれしくて、患者さんと接している自分が好きなんです。ですから、将来的に世代交代をしても患者さんとはずっと関わっていきたいですね。

先生の考えるこの病院の良さはどういったところですか?

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明るくて温かい、それが一番です。精神科で入院している、身内が入院するとなると患者さんもご家族も暗い気持ちになってしまいます。そんな時に受け入れる側の病院のスタッフが暗かったら、みんな沈み込んでしまって治るものも治らなくなってしまうでしょう。私は医師になった頃から明るくしよう、患者さんとジョークが言い合えるくらいの関係性をつくろうとやってきました。当院では職員同士も明るく話をしていますし、患者さんとも仲良くやっています。その明るさと母の代からの優しさやきめ細かさが当院の良さだと思いますね。当院は現在、褥瘡の患者さんがゼロです。これは合併症を診ている兄と私の長男の頑張りと、看護科の職員がケアを覚えてくれた結果です。病気を診るというのは医師だけではなく、それをサポートする看護師がいないと成り立ちません。本当に良いスタッフに恵まれたとしみじみ感じています。

最後に今後の展望とメッセージをお願いします。

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精神科の疾患を中心に、当院の特徴でもある体も診られることを強みに、病病連携をもう一歩進めていきたいです。身体科の病院で管理が困難になったケースだけを受け入れるのではなく、今後の治療の予定が決まっているけれどメンタルに不安が残る人を一旦当院でお預かりして、メンタルを整えてから身体科の病院にお戻しする、また、治療後身体的には落ち着いたけれどまだメンタル的に家には返せないという人を当院でお預かりするような取り組みをしていきたいです。当院は地元を大切にし、地域の皆さんと仲の良い病院であることを理想としています。重篤な症状ではなくても、眠れない、職場での人間関係など、なんでも気軽にご相談ください。特別な薬を使うのではなく、生活の中でたまったものを全部吐き出して心のゴミ箱を空にして次の生活をする、またいっぱいになったら空にするというのが精神科の外来の良い利用方法だと思います。

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落 裕美 理事長

北里大学卒業後、1980年日本医科大学付属病院の精神科に入局。大学病院で専門的知識を学びながら、久留米ヶ丘病院での診療も行う。1990年より現職。医学部の1年生から5年生の間は、先代院長である母の勧めで看護補助の仕事を行い、おむつ替えや不穏な患者の対応などを通し、患者の一番近くで目線を合わせて接することの大切さを学んだ。

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