医療法人社団恵仁会 府中恵仁会病院
(東京都 府中市)
立澤 孝幸 院長
最終更新日:2024/05/13
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急性期医療で地域に貢献することをめざす
1955年の開院以来、地域に根差した急性期医療に取り組んでいるのが、「府中恵仁会病院」だ。内科系と外科系の幅広い診療に対応しながら循環器や脳血管、消化器、整形外科の疾患には専門の部門を設置し、高度な医療も提供している同院。同時に、地域医療支援病院としての地域の開業医療機関との連携や、東京都指定の二次救急医療機関としての24時間365日対応の救急医療にも力を入れている。そんな同院の院長で、「医療の質や患者サービスをさらに改善できるよう努めています」と話す立澤孝幸先生に同院の特徴や取り組みについて、詳しく話を聞いた。(取材日2024年1月17日)
地域での役割について教えてください。
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当院は地域医療支援病院ですので、地域の先生方から紹介していただいた患者さんに対し、適切な治療を迅速に行って、病状が安定後はクリニックにお返しすることが第一の責務です。連携の医療機関や介護施設の患者さんに当院での治療が必要となった場合には、病院救急車による搬送も行っています。これにより紹介率・逆紹介率ともに高い水準を保っているほか、最近では地域の先生方からさまざまな形でフィードバックをいただき、認められてきていると実感しています。また、救急医療にも力を入れており、府中市内はもちろん、隣接する多摩市や日野市、稲城市、調布市、国立市、国分寺市などから多くの患者さんが搬送されて来ます。急性心筋梗塞などに迅速に対応する東京都CCUネットワークに加盟しているほか、脳卒中や大腿骨骨折などの外傷まで、東京都指定の二次救急医療機関として24時間365日体制で、当院で診れるものは断らないよう努めています。
消化器病センター、スポーツ医学・人工関節センターがあるとか。
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消化器病センターでは、消化器内科と消化器外科が連携して診療にあたっています。良性疾患から肝臓・胆嚢・膵臓や大腸など各種のがんに対し、内視鏡による手術、腹腔鏡による鏡視下手術など、低侵襲治療に努めています。がんに対しては、化学療法など集学的な治療にも取り組んでおりますが、放射線治療が必要な場合には、他の医療機関と連携して対応しています。ほかにも、便失禁に対して、排便に関連した神経を心臓ペースメーカーに似た小型の装置で継続的に電気刺激し、症状の改善を図る仙骨神経刺激治療法(SNM)にも積極的に取り組んでいます。整形外科では、スポーツ医学・人工関節センターを設置して、膝関節と股関節を専門とする外来も開設しています。前十字靭帯断裂や半月板損傷の関節鏡視下手術、変形性膝関節症や変形性股関節症に対する人工関節置換術に力を入れているほか、肩関節の人工関節置換術(リバースショルダー)にも対応しています。
ハートセンター、脳卒中センターについても教えてください。
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循環器疾患に対してはハートセンターを設置して、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患への心臓血管カテーテル治療や、ペースメーカーでの徐脈性不整脈治療などを行っており、先進の高速回転アテレクトミーを使用した治療も導入しています。また、昨今増加してきている慢性心不全の対応にも力を入れております。脳神経外科では脳神経内科と協力し、脳卒中センターを運営し、脳梗塞の血栓溶解剤(t-PA)による治療やカテーテルでの血栓回収術、頸動脈ステント留置術。脳出血に対する内視鏡下での血腫除去術や脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術、カテーテルによる血管内治療(コイル塞栓術)を行っています。さらに脳腫瘍の摘出手術や正常圧水頭症に対するシャント手術、神経内視鏡を用いた第三脳室底開窓術なども行っております。
病院の運営にあたって心がけていることを教えてください。
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一つは医療安全です。医療安全の成果を測る指標にインシデント・アクシデントレベル指数というものがあり、各インシデントの平均レベルになります。インシデント・レベル0は、事故が起こりそうになったが未然に防ぐことができたものです。実際に事故が起こってしまった場合は患者への影響によりレベル1〜5までに分類されます。当院では、各インシデントを各部門の代表の集まる医療安全管理委員会で検討し臨床に反映させています。それにより、最近ではレベル指数が1未満を達成できるようになり、医療安全が図られてきていると感じています。また、昨年には日本医療機能評価機構の認定も受け、その際に指摘された項目に対して改善を図っております。また、定期的な患者満足度調査や投書箱にいただいた患者さんからのご意見などを各委員会で検討し、その回答を院内に掲示するなど、医療の質や患者サービスをさらに向上できるよう努めています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
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地域医療支援病院として、地域のクリニックの先生方との協力体制の構築は非常に重要です。患者さんの紹介や逆紹介のみならず、合同の症例検討会を毎月開催することで、相互の信頼関係を深めるように努めております。もう一つは、災害医療です。当院は多摩総合医療センターと協力し、有事に対応する役割があります。2019年の台風15号の時にはすぐそばにある多摩川が増水し、近隣に避難命令が出たため、当院の入院患者さんには垂直避難をしていただきました。震災などでは地元医師会と協力し災害救護所を当院敷地内に設置することになっております。災害はあまり起こってほしくありませんが、もしものときのために日頃から準備をしておくのは、大切なことだと考えています。今後も地域の皆さんへ、より質の高い医療の提供と地域医療の充実に努めてまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
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立澤 孝幸 院長
1980年日本医科大学卒業。東京労災病院脳神経外科部長、関東労災病院脳神経外科部長などを経て、2018年より現職。江戸時代から続く商家に生まれ、人の役に立つ人間になりたいと医師になる。一番複雑な臓器である脳に興味を持ち、学生時代に頭部外傷で友人を亡くした経験などから脳神経外科を専門にする。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。医学博士。