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医療法人社団慶成会 青梅慶友病院

(東京都 青梅市)

大塚 太郎 理事長

最終更新日:2024/02/08

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患者と家族の豊かな時間を提供する療養病院

「自分の親を安心して預けられる施設をつくる」を理念に1980年に開設された「青梅慶友病院」は、生活、介護、医療を一体的に提供する療養型病院。介護病棟445床、医療療養病床291床を有する同院の敷地内には遊歩公園が整備されており、四季を身近に感じながら患者と家族が自由に散策することができる。24時間365日、いつでも面会可能な同院だからこそ可能な「患者と家族の豊かな時間」の象徴ともいえる場所だ。院内には5ヵ所の談話室をはじめ、貸し切りで10人以上入れるパーティールームもあり、年末年始や記念日など家族が集う場所として利用されている。定期的なコンサートが開かれる広々としたホール、陶やガラスの食器で提供される日々の食事や、月に数回開かれる食のイベントなど、入院中の暮らしに楽しみを生むよう工夫がいくつも施されている。ここを終の棲家として入院する患者とその家族のために、自分たちが良いと思ったことを常識に囚われずにチャレンジする。そんな同院の風土を生み出し、患者と家族が求める療養型病院を追求する大塚太郎理事長に話を聞いた。
(取材日2019年9月30日)

病院の成り立ちと理念を教えてください。

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私の父である当院の大塚宣夫会長が1980年に開院。当時の高齢者施設での高齢者の生活状況に衝撃を受け、「自分の親を安心して預けられる場所をつくろう」というコンセプトのもと愚直に邁進してきた病院です。最初は一人の医師が始めた病院で、一般的な医療を提供していました。しかしそれでは目の前の患者さまは元気にならないのが現実でしたので、医療をするのではなく患者さまにもっと手をかけ、患者さまの生活を豊かにしようという方向に舵を切りました。それが当院の一つの転換点でした。薬や点滴で元気にするのではなく、人の手で口から食事を食べてもらい、寝たきりの方を1日1回必ず起こして車いすに乗せるなど、普通の生活に近い毎日を支えるようにしました。そうしたところ患者さまが明らかに元気になり、そこから私どもの根幹である「自分たちが良いと思ったことを世の中の常識に囚われずにチャレンジしていこう」という風土もでき上がりました。

どのような特徴を持つ病院なのですか?

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当院の特徴は3つあると思っています。まずは生活、介護、医療を一体的に提供するということ。当院の患者さまはほとんどが80代、90代のいわゆる超高齢者で、在院期間は数年にわたり、ほとんどの方はここで人生最期の時間を過ごし旅立っていかれます。つまり、多くの方にとって、ここが終の棲家なんですね。そうであるなら、まずはこの病院の中に快適な生活ができる場所を作ろうと考えました。散歩のできる場所やおいしい食事、四季を感じることなど、当たり前の生活をちゃんと用意しようということです。ただ、そういう方々が人生最期の生活をしようと思えば、痛い、苦しいを取り除くための医療も必要ですし、さらには生活の不便さを解消するための介護機能も重要です。当院は「病院」と名前はついていますけれども、人生の最期を快適に豊かに過ごすために大事なものを全部用意しようとしている。それが当院の大きな特徴だと思います。

他の特徴についても教えてください。

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2つ目の特徴は「超高齢者にふさわしい医療の実践」です。医療は人を幸せにするためにあると私は思いますが、痛い、苦しいの連続でもあります。病院に行けば点滴、採血と痛みや不安を伴う処置を受けますが、私達はその先に良い結果が待っていると思うから我慢できます。しかし高齢者にとっては、痛い、苦しいを我慢させただけの結果に終わってしまうこともあり得ます。われわれは超高齢者ばかりをお預かりしているので、超高齢者にふさわしい医療をよく考え「豊かな1日にするための高齢者医療」に取り組んでいます。3つ目はここがご家族さまのための場所でもあるということです。ご家族がご自身の身内の介護や看取りに困って来られるのですから、後ろめたい気持ちではなく、親孝行をしたいから入れる場所になるべきだと思っています。私たちが肉体的、精神的負担を全部お引き受けすることにより、ご家族の絆を強めていただけるような場でありたいと思います。

コンサートや食のイベントなども開催されているそうですね。

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定期的に行う“慶友コンサート”があったり、“美食倶楽部”というイベントではご家族で一緒に食事を召し上がっていただくこともできます。そういうアイデアは、患者さまやご家族の声から生まれたものです。例えば遊歩公園は、ここを改築する際に資材置き場として借りていた場所で、もともと雑木林みたいなところでしたが、いつの間にか患者さまの車いすをご家族が押して散歩し始め、植物を見て楽しむようになった。そこで「ご家族はこういうものを求めていらしたんだ」と気づき公園を整備しました。お正月にはその患者さんのご家族が多く訪れ、パーティールームを貸し切ってご家族4世代が集まりおせち料理を囲んだりしています。そこで何かあってもご家族はすぐに看護師を呼ぶことができます。当院は、ご家族さまの思い出の場、良き思い出づくりの場だと思うんですね。そういう「慶友ならではの時間をつくろう」ということは意識しています。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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当院は病棟の看護師と介護者が意思決定者で、医師は医療知識と技術を持ったチームの一員という位置づけです。病棟師長が中心となり、患者さま、ご家族さまが必要と思われることを見極めてコーディネートする。つまりスタッフの質がここのサービスの質を決めていると言えると思います。職員の平均勤続年数は看護師も介護職員も10年以上で、それがケアの質の良さにもつながっている一方、ベテランが体力的にも快適に働けるための工夫も必要です。職員が生き生きと働ける職場づくりが患者さまへのサービスに直結するので、より一層注力していきたいです。私自身が慶友病院のファンであり、ファンとしてもこの世界を深化させていきたいです。お身内の介護や看取りの場を考えていらっしゃる方には、いろいろな施設を見学なさり、自分たちの求めているものを見極めて選ぶことをお勧めします。それが患者さま、ご家族、そして施設にとっても幸せなことだと思います。

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大塚 太郎 理事長

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、順天堂大学医学部に入学。同大学を卒業後、順天堂大学医学部精神医学教室に入局。順天堂医院、順天堂越谷病院、順天堂東京江東高齢者医療センターなどの勤務を経て2007年より青梅慶友病院に勤務。2010年より現職。レストランでの食事やホテルのサービス、生活のすべてを仕事のヒントとし、時代に合わせた高齢者医療のあり方を模索。

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