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東京都済生会向島病院

(東京都 墨田区)

塚田 信廣 院長

最終更新日:2023/03/24

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高齢者医療を核に地域住民の心身を支える砦

1922年に診療所として開院し、1948年からは病院として地域医療を支えている「東京都済生会向島病院」。診療は、消化器、循環器、呼吸器など各分野の専門家がそろう内科を中心に、外科や整形外科、眼科など広くカバー。基礎疾患のある高齢患者の急性期医療に力を入れ、医師とコメディカル、院外の介護施設などとのチームワークで、退院後の自宅や施設での生活まで見据えた医療を行っている。さらに近年は在宅医療やリハビリテーションの体制を整え、機器類も刷新。新鋭の病床システムを導入するなど、医療体制づくりに尽力する一方で、絶え間ない進化を遂げてきた。穏やかな語り口と柔和な笑顔で、職員や患者から慕われている塚田信廣院長に話を聞いた。(取材日2023年2月16日)

地域を支える医療機関として100年以上の歴史をお持ちです。

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当院は1922年に診療所として開設されたことに始まります。その後戦争を経て1948年に病院となり、名称も「向島病院」になりました。明治天皇の「医療が受けられずに困っている生活困窮者も医療が受けられるように」との指示によって結成された「社会福祉法人恩賜財団済生会」が全国に持つ病院・診療所の1つで、墨田区にある公的医療機関です。100床規模なので、何でも診ますとはいきませんが、一般内科から各種専門内科、外科、整形外科、眼科などと幅広い診療で、外来医療はもちろん、高齢者の肺炎や骨折などの急性期入院医療にも対応。高度な救急医療が必要な場合は済生会中央病院や東京都立墨東病院などに紹介しており、地域医療の一端を担っています。また常勤医13人中10人が内科の医師で内科が充実していることと、「患者さんに優しい医療」に努めていることも当院の特徴の一つかと思います。

感染症流行の一方、地域医療の将来を見据えた対策は?

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新型コロナウイルス感染症に対しては発生初期から当院は重点医療機関として診療を開始しました。非常に多くの患者を受け入れ、当時はまだまだ不明な点が多く人員も物資も不足する中で当病院の全スタッフが一丸となって協力をしてくれて、本当に感謝しています。願わくばこの経験がスタッフ自身の自信や今後のモチベーションになってくれたらと思います。私が院長に就任して約1年後に「ビジョン2023ビヨンド向島」という計画を立てました。スタッフの心理的な意味でも物理的な意味でも、病院という殻を破って積極的に地域に出ていこう、という考えでしたが、コロナ禍によりすべてがとん挫しました。しかしこの4月からまた新たに「ビジョン2025」として再始動させていく予定です。まずは在宅医療推進部を立ち上げ訪問診療・看護を開始しましたので今後は訪問リハビリも体制を整えていきます。これにより外来、入院、訪問の三本柱が整うことになります。

努めておられる「優しい医療」について教えてください。

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当院の内科の医師の大半が消化器、循環器、呼吸器、脳神経など各分野の専門家でありながら、総合的な診療を行うことができますので、その点を生かし、複数の病気を持つ患者さんの総合的な診療・治療に取り組んでいます。入院患者さんの75%以上が70歳以上で、既にベースとして何かしらの慢性疾患を抱えており、その上で肺炎や尿路感染、骨折などの急性期疾患を起こして運ばれてくる人が大半です。若い人なら急性期治療を行って、できる限り早く社会復帰してもらうことが第一ですが、高齢患者の場合は医学的にできる限りの治療をしたとしても、入院中に歩行や食事が困難になることもあります。しかしできれば、入院時より少しでも良い状態にしてご自宅や施設にお返ししたいのです。常に「自分だったら、家族だったらどうしたいか」と患者さんに寄り添って考える姿勢は、全職員が共有しているものです。

機器刷新や人材の確保、新体制づくりにも尽力されています。

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従来から導入済みであった電子カルテに加え、CTや放射線機器を刷新、骨密度を測定する機器も新しくしましたし、患者さんのバイタルを自動計測しナースセンターに集約できるベッドも導入し、より適切に効率良く患者さんの状態を把握できるようになりました。これも以前からありましたが、CTなどの画像検査データは兄弟病院である済生会中央病院で共有でき、近年ますます重要になる専門家による画像診断をロスタイムなく行えるようになっています。また高齢の患者さんが入院されるときに大きな課題となるADL(日常生活動作)の低下の防止のために、動作や運動機能のリハビリなどを行う理学療法士や作業療法士に加え、言語療法士の確保に努めています。さらに生きていく上での基本となる栄養摂取の面から、嚥下機能評価や管理栄養士による栄養指導にも力を入れ、泌尿器科の常勤医による排尿自立対策、認知症や褥瘡対策などにも取り組んでいきます。

最後に地域の方々へメッセージをお願いします。

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当病院は、ベースに基礎疾患を抱えているご高齢者の急性疾患についてしっかりした治療が行えること、多職種が協働して退院後の生活まで考えた医療を提供していることが特徴です。多職種協働の代表格として糖尿病センターがあります。糖尿病の治療・管理は、医師はもちろん看護師、薬剤師、栄養士など多職種が協力し合うことが欠かせませんし、地域で介護や看護に携わる方々やケアマネジャー、訪問診療の先生とも連携を深め、地域みんなで患者さんを診る体制も進めていかなければいけません。そんな多職種協働の伝統があることは、当病院の大きな強みになっています。教科書にある「医学的に最善」だけでは割りきれない、一人ひとりの患者さんに寄り添うことが、人だからこそできる医療だと思います。今後も、いざというときに駆け込める、地域の方々に済生会向島病院があるから安心できると思っていただけるような病院でありたいと思っています。

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塚田 信廣 院長

1981年に慶應義塾大学を卒業。専門は内科全般と消化器内科。同大大学院医学研究科内科学修了後、同大内科学助手となる。東京歯科大学市川総合病院、カナダ・トロント大学への留学、日本鋼管病院を経て、1998年12月から東京都済生会中央病院勤務。内科医長、部長、副院長を歴任し、2018年4月には東京都済生会向島病院の副院長に就任。同年10月から院長。休日には夫婦で酒蔵探訪とおいしい蕎麦を求めてドライブへ。

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