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東京都リハビリテーション病院

(東京都 墨田区)

新井 康久 院長

最終更新日:2020/11/25

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都のリハビリテーション医療を担う専門病院

東武スカイツリーライン鐘ヶ淵駅から、隅田川に向かって7分ほど歩くと、右手に見えてくるのが「東京都リハビリテーション病院」だ。東京都が設立し、公益社団法人東京都医師会が指定管理者を務める公設民営病院として、1990年の設立から約30年にわたって東京都のリハビリテーション医療を担ってきた。院長の新井康久先生は、「超高齢社会となる現在の日本では、急性期医療を支える回復期リハビリテーションの充実と、在宅や施設へのスムーズな復帰を助ける病病・病診連携の強化が急務である」として、院内の多職種が協力し合うチームづくりと、地域の医療機関との顔の見える関係づくりを積極的に進めている。リハビリテーションを提供する同院ならではの強みや、新たに期待される「センター・オブ・センター」としての役割についてなど、話を聞いた。(取材日2019年2月20日)

東京都の事業として設置された病院だと伺いました。

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昭和の終わりから平成の初めにかけて、リハビリテーションを専門とする病院設立の必要性が東京都の中で課題としてありました。私自身、整形外科の医師として多くの手術を手がけてきましたが、当時は本格的なリハビリテーションとなると温泉がある地方の病院に湯治を兼ねて送るという流れが一般的だったと思います。そうした状況に危機感を感じた東京都が、リハビリ専門病院の検討を始め、設置に至ったのが当病院です。こだわったデザインの外観や吹き抜けなど、開設当初としては珍しかったのではないでしょうか。丁寧に清掃をして明るく清潔な環境を保つよう心がけていますが、30年の歴史とともに老朽化は進んでおり、そろそろ大規模改築や移転を視野に入れなくてはなりません。患者さんの立場で考えると、より交通の便の良い場所へ当病院が移転するか、都の他のエリアにもう1つ病院を作るのが良いのではないかと考え、都にはたらきかけているところです。

近く、さらに役割を広げられるそうですね。

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もともと墨田区、江東区、江戸川区を合わせた区東部を中心にリハビリテーション医療を提供してきましたが、今後は12の医療圏を率いる「センター・オブ・センター」へと役割が拡大します。「リハビリテーションを通して患者さんが生きる喜びと希望を抱き、充実した人生を送られるよう、医の原点に立った心温まる医療を提供し、福祉・介護との連携推進をはかる」という理念にもとづいた医療の提供はそのままに、良質なリハビリテーション医療を提供できる医療機関を増やす活動に取り組み、都全体のリハビリテーションのレベルアップを図っていきます。他の病院や学校からの研修生や見学なども、これまで以上に広く受け入れていきたいですね。直近では、順天堂大学が新設する保健医療学部の理学療法士の実習を当病院で行うことが決まっていますし、中国や韓国を中心としてイスラエル、アメリカなどの医療関係者も多く視察にいらしています。

いま、最も力を入れておられる分野についてお聞かせください。

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当病院は131床が回復期リハビリテーション病床、残り34床が一般病床という構成です。超高齢社会となった現在、急性期医療を支える回復期のリハビリテーション医療の充実が急務です。当病院でも高齢者の脳血管障害からのリハビリが多数を占めており、医師だけでなく看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士などが1つのチームとして患者さんを支えながら支援しています。また、在宅復帰の前には、患者さんのご自宅を訪問して生活の環境を拝見し、必要な設備の設置をアドバイスしていく退院前訪問指導にも力を入れています。在宅復帰だけを目的とするのではなく、行政と協力しながら住み慣れた地域で最期まで安心して暮らしていける環境づくりまで関わっていきたいですね。医療福祉連携室内の地域リハビリテーション科では、地域の自治体や医師会と連携し、障害がある方がご自宅で自立した生活を営むための支援も行っています。

高齢者のリハビリとともに小児のリハビリにも尽力されています。

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小児のリハビリテーションは当病院の特徴の1つです。近県と異なり、都内には小児専門のリハビリテーション施設が少ないため、幅広い地域からお子さんを受け入れています。入院中は墨田区から先生を派遣してもらって、院内学級を開いているんですよ。リハビリが終了したら復帰する区立の小学校と密に連携を取っていますので、親御さんも安心して地域に戻っていただけるかと思います。最近では、入院している子どもの代わりにロボットが学校へ行き、病院にいながらにして通学している感覚が味わえるようにもなってきましたね。先ごろ入院した子もロボットを通して遠足に行き、「本当にみんなと一緒に遠足に行ったようで楽しかった」と言っていました。子どもたちにとっては、授業の内容以上に、友人とのつながりや関わりがとても大きいのです。高度で充実したリハビリテーションの提供に加えて、子どもたちの健やかな成長も支えていけたらと思っています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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2016年から365日リハビリテーション訓練を開始しました。今後、私たちのような公設民営病院で365日リハビリテーションを導入する際の手本となれるよう、さらに良質なリハビリテーション医療を追求してまいります。あわせて、ますますニーズが高まるであろう回復期リハビリテーションにも今以上に注力していきたいと考えています。スタッフとともに作り上げた教育プログラムを生かして、外部への教育という面でのリーダーシップもしっかりとっていきたいですね。最後に、「早い段階でリハビリを始めたほうが予後が良好である」ということを、患者さんに知っていただきたいと思います。スムーズに社会復帰、自宅復帰できる方を増やせるよう、「リハビリが必要になったらできるだけ早く」という啓発に努めていくつもりです。

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新井 康久 院長

1980年、順天堂大学医学部卒業。関連病院や東部地域病院などで勤務した後、2014年より現職。専門は脊椎脊髄疾患。オリンピックメダリストだった指導者に憧れて器械体操を始めるも、重い腰痛に苦しんだ自身の中学時代の経験から、「つらい思いをする人を救いたい」と整形外科の道へ。院長就任後、手術からは遠ざかったが、今も外来で患者と向き合う時間を大切にしている。

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