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社会福祉法人賛育会 賛育会病院

(東京都 墨田区)

賀藤 均 院長

最終更新日:2024/08/30

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墨東地区の小児科医療の中心的存在に

100年以上の長い歴史を持つ「賛育会病院」。産院としてスタートし、産婦人科・小児科を中心に、地域のニーズに応える形で、総合病院へと活動の幅を広げてきた。199床を備える現在は、「周産期・小児医療」「成人・老年期地域医療」「終末期医療」を柱に、産婦人科、小児科、新生児内科、内科、外科、整形外科、耳鼻咽喉科、皮膚科、泌尿器科、麻酔科、リハビリテーション科などに対応し、緩和ケア病棟を併設している。2024年に就任した賀藤均院長は、小児循環器を専門とする。その経験を生かし、同院を墨東地区の小児医療の中心にと考え、医療的ケア児のレスパイト入院のさらなる充実や小児の訪問診療も視野に入れている。また高齢者の包括ケア的医療を担うのが同院の大きな役割と認識し、急性期医療から日常生活への橋渡しなど、高齢者を日常の生活から支えていきたいと、在宅医療の充実も考えている。同院は歴史があるだけに古い建物を刷新するのは急務で、新病院の開設と一部機能の移転、現在の病院の建て替えなどを計画している。病院の担う使命や、地域での役割、今後の展望について、思いを聞いた。(取材日2024年5月31日)

長い歴史のある病院だそうですが、その歩みを教えてください。

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当院は東京帝国大学キリスト教青年会(東大YMCA)の有志が、困窮する庶民のために始めた無料診療が原点です。1918年に「賛育会妊婦乳児相談所」、翌年の1919年には一般を対象とした本所産院を開設しました。戦火をくぐり抜け、町の歴史とともに歩んできた西館外来棟は2024年に取り壊されますが、当院で生まれた患者さんの中には、高齢になった今も通い続けてくださる方も少なくないと聞いています。時代とともに地域のニーズに応える形で、総合病院へと姿を変え、現在は、産科・新生児科の領域を担う「周産期・小児医療」、内科、外科、整形外科、耳鼻咽喉科、婦人科などを受け入れる「成人・老年期医療」、住み慣れた土地で最期を迎えたいという方を支える緩和ケア科などの「終末期医療」を軸に、患者さんが安心して受けられる医療を提供できるよう、取り組んでいます。

原点である「周産期・小児医療」の特徴について教えてください。

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産科・小児科は当院の大きな柱です。本所産院の開設以来、地域の分娩、妊産婦ケアに注力してきました。今も、医師も助産師も十分な人数を配置し、より良いお産をしていただけるよう、古くなった病棟を時代に即して整備していこうとしています。また、24時間365日体制で、夜間においても地域の医療機関などからの緊急母体搬送を受け入れています。最大の強みはNICU(新生児集中治療室)とGCU(新生児回復室)を設置していること。呼吸管理を必要とする乳児や1500g未満の低出生体重児など、出生後すぐに専門的なケアが必要な赤ちゃんにも対応しています。2023年からはご希望の声に応え、無痛分娩も始めました。今後さらなる充実を図っていきたいと考えています。

先生のご専門である小児科では、どのようなことをお考えですか。

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常勤の小児科医師が10人所属している病院は、都内でも少ないとされています。小児の救急を断ることなく受け入れ、きちっとケアし、隅田川以東の区部の小児科医療の中心的存在となっていきたいですね。また少子化が注目される一方で、医療的なケアを必要とするお子さんは増加しています。そのご家族をサポートするために、今も医療的ケア児が一時的に入院するレスパイト入院を行っていますが、これを拡大し、ゆくゆくは車で往復30〜40分ほどの範囲で、小児訪問診療を実施できればと考えています。産科・小児科医療の不足している地域に人は住もうとしません。産科・小児科医療をきちんと守っていくことは、この病院の大きな使命であり、それが一番の地域貢献につながると思っています。

高齢者医療についてはどのようにお考えでしょうか。

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超高齢社会の今、高齢者の包括的ケアを行うわれわれのような存在はさらに重要になると考えています。高齢の患者さんの場合、大学病院などで急性期の治療を終えた後、直接家に帰れる方は多くなく、退院後自活できるよう準備をしたり、施設を探して手続きをしたり、あるいは日常生活のサポートをしたりといったケアが必要になってきます。そういった包括的ケアをマネジメントするのが、クリニックでも大学病院でもない、われわれの役割だと考えています。在宅医療には、これまで以上に力を入れていきたいですね。訪問医を増員し、夜間体制を整えて、在宅でのケアを希望する患者さんのご希望に沿うようにしたいと思っています。これまで長く先進的な医療に携わってきましたが、医療はそれだけではないということが、経験を重ねることでわかってきました。より身近なところで、お役に立てる医療を提供していきたいと思います。

新病院の計画について教えてください。

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当院は歴史があるだけに、建物もたいへん古くなっています。一方で、ここ数年、病院に求められる医療のレベルは大きく変化しています。それに対応するためにも、病院の建て替えは必須です。すでに西館外来棟の解体と関連工事が始まっていますが、今後10年の間に、段階を踏みつつ、計画を進めます。次のステップとしては同じ墨田区の立花地区に新病院を開設し、地域包括ケアシステムの拠点とするべく、医療機能の一部を移転する予定です。最後に現在の太平地区の古くなった建物を建て替え、小児周産期医療と急性期医療を継続する計画です。建設と移転の間は、一時的に診療スペースが小さくなるなど、ご不便をおかけするかと思いますが、一時的なこととご理解いただければ幸いです。地域の皆さんのご期待に応えられるよう、安心できる医療の充実をさらにめざしていきたいですね。

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賀藤 均 院長

1981年新潟大学医学部卒業後、東京大学医学部小児科学教室入局。トロント大学医科学研究所留学 、東京大学医学部小児科講師などを経て、2008年国立成育医療研究センターに赴任。2014年から2021年度まで院長を務めた。定年退職後、2022年より賛育会病院副院長を務め、2024年院長に就任。専門は小児循環器病学で世界水準の医療の推進に努めてきた。

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