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医療法人社団 成和会 西新井病院

(東京都 足立区)

野村 実 院長

最終更新日:2024/02/08

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急性期から慢性期を一貫して診る地域の病院

新型コロナウイルスの感染拡大下、多くの病院が従来の診療体制の変更を余儀なくされた。やむなく手術を縮小したり、医師が減ったりした病院も少なくない。総じて言えるのは、そうした病院のほとんどは、万難を排して地域のために力を尽くした病院だということだ。西新井大師で知られる足立区西新井で70年にわたって地域医療を展開する「西新井病院」もその一つである。野村実院長が副院長として着任した2023年4月、同院にはまだ新型感染症の影響が色濃く残っていた。パンデミックによって生じた3年の空白をどう埋めるか――。充実した設備を生かして急性期を再び充実させ、地域の要としての使命を果たしたいと話す野村院長に話を聞いた。(取材日2023年10月31日)

設立からの歴史と、病院の構成を教えてください。

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当院は1953年の設立以来、長年にわたって足立区の地域医療を支えてきた病院です。近隣の「成和クリニック」、「西新井ハートセントラルクリニック」など、当院と同じ法人が運営する関連施設と連携しながら診療を行っています。高度救急を請け負う病院が少ない足立区において、二次救急を担う病院としても存在感を発揮してきました。2015年10月に新病院がオープンしてからは、職員の動線が良くなり、救急車の受け入れからスムーズに検査・診断・治療ができるようになったと聞いています。同時にハード面も刷新され、快適な環境で充実した高度医療を行える設備が整いました。2018年に地域包括ケア病棟も開設し、順調に診療を提供していた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大で状況が一転します。その影響は長く続き、私が副院長に就任した2023年4月もなお、その影響から抜けきれていませんでした。

新型コロナウイルス感染症患者を積極的に受け入れたそうですね。

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私は当時、東京女子医科大学の麻酔科に在籍し、心臓麻酔の中でも心臓血管麻酔を専門とする医師の養成に力を入れていました。同時に、こちらでも週に1回、約30年にわたって手術を行っていたんです。「地域のための病院である以上、見て見ぬふりはできない」と理事長がみんなを鼓舞し、全員が力を尽くす様子も見ていました。しかし、当院の患者さんは高齢でさまざまな生活背景を持つ方が多いため、重症化しやすく、退院後の行き場がない方、回復しても自宅には帰れない方など、難しいケースが多かったと思います。医師は手術ができず、看護師さんは看護より介護に明け暮れる日々が続きました。足立区における急性期医療の要として大きな役割を果たしてきた当院にとって、手術ができない空白の3年間の代償は甚大です。私に課せられた最初の使命は、新型コロナウイルスとの共存を追求しながら、経営を安定化させていくことだと考えました。

まず、何から着手されましたか?

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眼科や耳鼻咽喉科から始めて、少しずつ手術を増やしていくことが急務だと思っています。そこで、半年から1年かけてじっくりと急性期を増やしていこうと考えました。また、設備と高い技術があってキーになる人員が確保できている診療科については、患者さんの受け入れを増大させるべく診療をさらに強化しています。例えば、専門領域が広くトータルで診られる医師と機材がある循環器内科では、不整脈アブレーションの治療を拡大。経験豊富な医師が在籍する脳神経外科も同様に、専門領域の治療に尽力しています。さらに、高齢の患者さんは複合疾患が多いため、トータルで内科を診られる医師の需要に応える努力をしています。一般内科の総合的な診療から、専門性の高い医療まで速やかにつながっていただくことで、患者さんのお役に立てたらと思っています。

夜間透析や健康診断にも力を入れ始めたとか。

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感染拡大下ではなかなか病院に行けず、病気が進行してから受診されるケースが少なくありませんでした。今後は、健康増進健診センターで生活習慣病やがんをはじめとした病気の予防と早期発見・早期治療をめざし、地域の皆さんの健康的な生活を支援していくつもりです。内視鏡検査では、鎮静の麻酔も積極的に実施。一般的に、大学病院で鎮静の麻酔を使った内視鏡を希望した場合は検査までかなり待つことが多いのですが、当院ではすぐに行えるように体制を整えています。遠方へ行かずとも受けられる質の高い医療で内視鏡検査の苦痛軽減を図り、1人でも多くの方に健診を受けていただけたらと思っています。夜間透析については、仕事と両立したいという患者さんの希望を受けて開始し、現在少人数からスタートしたところです。こちらも、患者さんに負担の少ない治療法として、少しずつ拡大していきます。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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当院は、1986年に災害拠点病院に指定されました。災害発生時に傷病者の十分な受け入れを行えるよう、地下に医薬品や非常食、防災用品を格納する災害備蓄倉庫を設置。500kwの非常用発電機と300トンの水を蓄えた受水槽など災害時のライフラインを維持するための設備も備えていますし、2023年の11月からは、区の防災訓練も実施する予定です。今後は、医療だけでなく災害に備える取り組みも強化して、より地域に頼りにしていただける病院へと進化したいと思っています。その一環として、病院の前の駐車場の一角に地域包括支援センターを建てる計画を進めています。地域包括支援センターは、高齢の方の健康や生活に関するご相談を一気通貫でお受けできる場所です。こうした場所が地域に根差した病院に隣接するかたちで存在すれば、住み慣れた地域で暮らし続けたい人をより手厚くサポートできるでしょう。計画の実現に向けて動いていきたいですね。

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野村 実 院長

千葉大学卒業後、1981年 東京女子医科大学麻酔科学教室入局。クリーブランドクリニック、コロンビア大学を経て2000年に東京女子医科大学麻酔科学教室教授。当時から手術のため週に1度は西新井病院を訪れていた縁もあり、2023年4月に副院長就任。同年8月院長に就任した。心臓血管麻酔を専門とする医師の養成に長年注力している。

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