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社会医療法人社団一成会 木村病院

(東京都 荒川区)

木村 玄 院長

最終更新日:2023/05/29

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荒川区で70年の歴史を持つ中核病院

荒川区で80年の歴史を持つ「社会医療法人一成会 木村病院」。2022年5月、始まりの地である町屋から都電荒川線荒川一中前駅に隣接する土地に移転し、3代目の木村玄院長がバトンを受け継いだ。施設の老朽化に伴う移転計画の起案から15年。新病院は、患者はもちろんその家族、地域住民や医療機関、さらには職員とその家族に至るまで、「みんな」を元気にする病院としてスタートを切った。地域の救急医療を担う二次救急医療機関として、また大学病院などの後方支援を担う病院としての役割はそのままに、高齢化に伴って増加する在宅医療ニーズに対応するべく地域包括ケア病床を増床。1995年から着手した訪問診療にもさらに注力し、地域の人の療養生活を包括的に支えていく。地域住民に開かれた新生・木村病院の現在地と未来について、木村院長に聞いた。(取材日2023年3月3日)

長く荒川区の地域医療をけん引してきた病院なのですね。

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1943年、初代院長が荒川区町屋に開設した夜間診療所が起点です。途中、戦争による休止を挟んで木村医院となり、1956年に9室22床の「木村病院」として診療を開始しました。開設以来、長く町屋の駅前で診療していたのですが、施設の老朽化に伴って移転新設が必須となり、2022年5月から現在の場所で新たな歴史を刻み始めたところです。患者さんとそのご家族、スタッフの利便性を損なうことなく、地域の皆さんとの間に築いてきた信頼関係を継続できる荒川区内での移転を必須条件にしていましたから、良い場所に移転できてほっとしています。移転後も変わらず通ってくださる患者さんがほとんどで、年齢や身体的な事情でどうしても通院が困難になった方は訪問診療でフォローを継続しています。

新病院のこだわりを教えてください。

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災害医療に取り組む病院として安全性を確立することを第一に、すべてにこだわったといっても過言ではありません。環境面では、発熱患者を空間隔離できるようにしたこと、透析室を新設したこと、手術の緊張を和らげるべく木目調を取り入れ窓をつけたことなどが挙げられます。また、より地域に開かれた病院にしたいと考え、院内・院外の作戦基地としてフレキシブルに活用できる「KAWANOTE BASE」を最上階の5階に設けました。当院は初代院長のころから「地域医療連携の会」を開催して病診連携、訪問看護ステーションや介護施設との連携を推進してきましたので、KAWANOTE BASEで地域連携会議、地域住民が参加する災害訓練などを実施したいと思っています。直近では、開業医の先生方、ケアマネジャー、コメディカル、介護職員などが参加して2014年から開催されている在宅医療の研究会「下町高齢者勉強会」をこの場所で開催しました。

地域包括ケア病床も増床されました。

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移転前の9床から、60床に増床しています。当院の患者さんの多くは高齢の方ですから、在宅や施設で療養している高齢の方の急性増悪への対応、および急性期治療を終えた方の継続的な治療やリハビリには以前から力を入れ、在宅医療、訪問診療にもいち早く取り組んできました。しかし、患者さんの中には、独居だったり老老介護だったり、認知症を発症していたりと、退院後の生活に課題を抱える方が少なくありません。こうした患者さんには、入院中から退院後を見据えた診療、看護、リハビリと、日常生活を問題なく送るための支援が不可欠です。例えば、在宅療養に向けた自宅の改修や介護認定の取得といったことですね。急性期病院からの転院、および在宅や施設からの救急の患者さんを可能な限り受け入れ、地域包括ケア病棟を通じて在宅・生活復帰を支援していくことで、皆さんが療養生活を地域で完結できるよう支えていきたいと思っています。

透析室の新設も大きなトピックですね。

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移転新設にあたっては、シャント手術から透析、透析に関わる合併症やシャントのトラブル管理までワンストップで診ることができる体制を整えました。透析室というと無機質にベッドが並んだ様子を思い浮かべる方が多いと思いますが、外来待合室や手術室と同じ木目調の内装と間接照明で仕上げました。1回3時間から4時間、週に3回過ごしていただく場所ですから、環境を工夫することで少しでも前向きな気持ちになっていただけたらうれしいですね。また、血管外科では、下肢静脈瘤の治療にも力を入れています。下肢静脈瘤の手術では、区内では私と副院長の河内秀臣医師のほかに対応できる医師がほぼいません。そのため、旧病院より他院の要請を受けて手術を対応してまいりました。手術は日帰りが基本ですが、生活環境などによっては入院も可能です。カテーテル治療をはじめとした多様な選択肢から患者さんの状況に合った治療を選択できますので、ご相談ください。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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ハード面では、心臓リハビリテーションの早期開始です。高齢化や生活習慣病の増加に伴い、心不全の方が急増する「心不全パンデミック」が到来する中、心臓リハビリテーションが有益であることが報告されています。すでに設備は整っていますので、医師の研修などの準備を速やかに進め、地域の患者さんに貢献したいと考えています。ソフト面では、「みんなの元気のパートナー」に基づく医療を今後も推進し、対等な立場で医療を提供することを大切にしてまいります。「みんな」は、患者さんとそのご家族を筆頭に、地域の皆さん、職員と職員の家族など、当院に関わるすべての人を指しています。そして、「元気」とは、病気がないことだけではなく、病気と共存しながらでも人生を前向きに歩んでいる状態のことです。この方針は、新病院という土台のもとで新しい仕組みを取り入れる中でも決して変わりません。つながりを大切に、真摯に医療を提供していきたいですね。

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木村 玄 院長

2005年日本大学医学部卒業。東十条病院外科、健康保険岡谷塩嶺病院心臓血管外科、国立病院機構災害医療センター心臓血管外科、JA神奈川県厚生連相模原協同病院心臓血管外科医長を経て、2017年より木村病院勤務。以来、区内の下肢静脈瘤手術を担ってきた。2022年、新設移転と時を同じくして院長に就任。日本外科学会外科専門医、日本循環器学会循環器専門医。下肢静脈瘤に対する血管内治療も得意分野だ。

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