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社会福祉法人あそか会 あそか病院

(東京都 江東区)

田中 一正 院長

最終更新日:2024/02/28

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ケアミックス型の医療で地域医療を支える

1923年の関東大震災では、自らも被災したにもかかわらず、日比谷などに救護施設を作り無償で医療を提供した西本願寺の子女で、歌人であった創始者九条武子夫人が仏祖に恥じない真の救済を願い、「もし貴方が私の助手となってくれるならばこれからの私の半生を世の為社会事業に捧げ貧しい人々の為に働かしていただきましょう」と言葉をかけられた田中もと看護師の尽力もあって1930年に「あそか病院」は開業した。名前の「あそか」はサンスクリットで「無憂」と漢訳される花の名前で、釈迦が生まれた時に咲いていたとされる花だ。現在は、急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟を有するケアミックス型の病院として、地域住民の健康を支えている。2023年に院長に就任した田中一正先生は、呼吸器内科を専門とし、呼吸器リハビリを地域で広く活用するとともに、昭和大学の医歯薬保健医療学部4学部の学部を超えた学部連携教育に携わってきた。同院が実践するケアミックス型の医療の良さを最大限に発揮し地域医療に貢献したいと話す田中院長に、現在の取り組みや抱負などを聞いた。(取材日2023年12月11日)

こちらの病院の特徴について教えてください。

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急性期から回復期、その後の療養や地域に戻るまでの流れの中で、急性期では、日頃当たり前にある病気をきちんと診させていただき、入院加療が必要であればスムーズに移行することを大前提としています。また、この地域にはご高齢の方が多く、長年ここで生活してきた方も大勢いらっしゃるので、その方たちがたとえ病気になっても、住み慣れた場所で安心して過ごしていただけるように、高齢者のさまざまな急性期疾患に対応し、救急についてもそういったスタンスで受け入れています。さらに、急性期を過ぎ回復期に移行した後も、具合が悪くなればきちんと急性期としてサポートし、回復期を全うできるようなシステムづくりをめざしています。ただ複数の病棟を持つのではなく、ケアミックス型の医療を地域にどう生かすか。他院の患者さんをお預かりすることも含めて、内科や外科など各診療科の先生と連携を取りシームレスな医療を実現できればと思います。

地域連携の中ではどのようなことに取り組んでいきたいですか?

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患者教育という言葉がありますが、病気についての患者教育はあっても、病院のかかり方や健康管理の教育はまだまだ浸透していないと感じています。今私がやりたいと思っているのは地域教育です。例えば、子どものワクチンの接種はなぜ必要なのかを伝えるなど、本来はそこに取り組むべきだと考えます。当院からは高齢者がどう病院を利用すべきか、という点において、地域に向けてメッセージを発信できればと思います。また、私の思いとしては、入院から退院までのプランをつくっていく際に、病院だけではなく在宅のクリニック、介護施設など外の人も巻き込んでいきたいというのがあります。連携することで不安のない生活を提供しながら、同時に、病院の孤立化の防止も図っていきたいです。どこまでを当院で抱え込むことが患者さんのため、あるいは地域のためになるのか、もっといろいろな意見をお聞きし、他院も見学をさせていただき、判断していきたいです。

現在、新病棟の開設の準備を進めていると聞きました。

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新病棟では、回復期リハビリテーションをベースに、緩和ケア病棟を開設し、地域に還元できるスペースが増える予定です。緩和ケアでは、地域からのニーズが高いがん患者さんのケアの一環として、ビハーラ僧の常駐を計画しています。当院は西本願寺と縁のある病院であり、そういった背景から、生と死をつなぐ思想について学問的にも教育的にも修練を積んだビハーラ僧による心に優しい慈悲の話と緩和ケアによって、もともとの病院の成り立ちの思想に基づく病棟になればと思っています。これは決して宗教の普及活動ではありません。がんだけではなく、心不全や呼吸不全といったすべての終末期医療の中に仏法思想を取り入れることで、医療として伝えるべきことを正しく伝えていきたいです。

先生は呼吸器が専門で、リハビリでも呼吸に着目されているとか。

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はい。息苦しいという症状がありますが、はあっと大きく息をつくと少し楽になりませんか? これが呼吸理学療法、今でいう、呼吸器リハビリの原点です。私はかつて昭和大学附属豊洲病院(現・昭和大学江東豊洲病院)で呼吸ケアを活用した地域医療を実践していました。回復期リハビリは回復させることが目的なので運動がメインになりますが、呼吸はリラクゼーションに近いです。胸全体を使って呼吸するためには、胸のリラクゼーションが有用です。今後、当院でも呼吸器リハビリが必要だと考える人が増えてきたら少しずつ推進し、数年後にはあそか病院は呼吸を楽にしてくれる病院らしいよというイメージになればいいなと思います。理想は、この病院が皆さんにとって、楽しく元気が出る場所で、体も心もコンディショニングが良くなる病院となること。そんな病院になれればうれしいです。

最後に、地域に住む方々に向けてメッセージをお願いします。

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私は長く呼吸器医療に関連した多職種でのチーム医療を行ってきましたが、今後、病院の中も外も多職種連携協働が当たり前になり、当院がその中核になれればと思います。めざすのは、地域にお住まいの方を皆で一緒に支え、安心して過ごせる町にすること。地域の皆さんは、病気じゃなくてもぜひ当院に足を運んでみてください。先生の顔が見たい、おしゃべりしたい、といったことでも構いません。もともと私がめざしていたのは、昔の診療所のように、ストーブのある待合室で井戸端会議をしていると先生が「調子はどう?」と話に入ってくる、そんな医療でした。現在の病院の機能では難しいかもしれませんが、病院の声かけで開業医の先生にご協力いただいたり、地域の先生が忙しければ同じグループの特別養護老人ホーム「あそか園」で談話の会を開いたり、やってみたいことはたくさんあります。病院と地域がどのように変わっていくか、楽しみにしていてください。

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田中 一正 院長

1979年昭和大学医学部卒業。1989年昭和大学藤が丘病院内科(呼吸器)専任講師、1996年昭和大学附属豊洲病院(現・昭和大学江東豊洲病院)内科助教授、2005年昭和大学保健医療学部臨床医学内科教授、2006年昭和大学富士吉田教育部教授、2018年昭和大学特任教授、2022年昭和大学名誉教授。2023年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。

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