全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年4月25日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 北区
  4. 赤羽駅
  5. 医療法人社団福寿会 赤羽岩渕病院
  6. 熊川 寿郎 病院長

医療法人社団福寿会 赤羽岩渕病院

(東京都 北区)

熊川 寿郎 病院長

最終更新日:2020/05/18

MainMain

在宅医療を軸に地域医療に貢献

1999年4月に前身の医療法人社団恵和会 岡村病院、赤羽訪問看護ステーションが福寿会ネットワークに加わり、2000年8月に改称された「赤羽岩渕病院」。その後2010年6月に医療法人社団福寿会と恵和会が合併し、医療法人社団福寿会として再スタート。訪問診療専任の医師や看護師を24時間365日体制で配置、46床の地域包括ケア病床を有する機能強化型在宅療養支援病院として地域の在宅医療を支えている。少子高齢化が進む中、同院では、長く北区の地域医療に貢献してきた経験をもとに、高齢者の尊厳の保持と自立生活を支援。可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、在宅、地域包括ケア病床、一般病床を一体化するモデル「赤羽岩渕モデル」確立をめざす。同院の日々の取り組みについて熊川寿郎院長に話を聞いた。
(取材日2020年2月25日)

病院の特徴を教えてください。

1

当院は、50床あるうちの46床が地域包括ケア病床で4床が一般病床です。地域包括ケア病床は、国の政策として一時期、急性期治療後に引き続き入院加療を行うポストアキュートの機能がありましたが、今は在宅や介護施設でちょっと具合が悪くなったときに受診する、高度急性期病院へ行くほどではない人に対して医療を提供するサブアキュートの役割が強く、地域包括ケア病床を持つ病院で入院加療を含めて治療を完結するという流れが高まってきています。そのような中、地域包括ケア病床を軸とする当院は、地域の人が安心して頼りにできる病院として、重要な役目を担っており、在院期間60日という限られた中で、地域包括ケア病床の中で治療ができる病態なのか集中的な急性期治療が必要なのかを見極め、退院後は居宅へ戻るのか施設に入るのかを適切に調整しています。

日々の診療で大切にしていることはありますか?

2

病院と患者さまのあり方は、企業と顧客の在り方に置き換えて考えることができます。企業は製品やサービスを提供して顧客満足を獲得することで黒字になり存在することができます。そして企業が存続していくためには、現在の顧客満足のみならず未来の顧客満足をも獲得し続けることが必要となります。病院も同じで、病院が提供するケアに対して今の患者さまのみならず、未来の患者さまにも満足していただく必要があるのです。そこで、大切なのが患者さま中心の医療の徹底です。具体的には、21世紀の医療に求められるグローバルスタンダードは、安全性、有効性、患者中心性、適時性、効率性、公正性の6つだといわれており、当院でもこの6項目を念頭に日々の医療に取り組んでいます。これらは在宅を中心とした地域包括ケア病床の運営には不可欠で、スタッフの共通認識となるよう、説明を繰り返しています。

実際の診療で心がけていることはどういったことでしょうか?

3

問診や身体所見を取ることを非常に重視しています。高齢者はご自身のことを自分の言葉で表現しきれないことや、典型的な症状がはっきり出ないことがあります。例えば肺炎を広く合併していても、平熱よりちょっと高いくらいで咳も痰も出なくて食欲がちょっとないかなという判断で様子見されることがありますが、患者さんあるいはその家族が語ってくれる裏側にあることを探しつつ、踏み込んで丁寧に診察してみると肺炎を疑わせる身体所見がはっきりとわかることも。おざなりの診察ではなくて、「探索的な診察」をすることがとても大切ですね。また、やはり診療においては、安心感を与えることが大切です。そのために、医師や看護師には高いコミュニケーションスキルが求められており、自分たちの言いたいことを一方的に言うのではなく、反芻するように患者や家族の立場でどこまで理解があるかを確認しながら説明していくことを心がけています。

では、訪問診療ではどのような点に気をつけていますか?

4

訪問診療では、24時間体制で医師と看護師がペアになって患者さんのもとを訪問しています。そうすることで、時に緊張していたりうまく表現できないというときも、患者さんは看護師がいてくれると非常に気持ちが安堵してうまくコミュニケーションが取れるようで、看護師もうまく言葉を引き出してくれます。訪問診療では、言葉がけや診察だけではなく、居室の環境を把握することも大切です。スリップしやすい状況だとか物忘れがあって何かを自分で探しているような形跡があるとか、病院での診察ではわからないことも見えてきます。単に患者さまや家族、施設のスタッフの話を聞くだけではなく、どういう状況で生活されているかを観察することが非常に有益な情報をもたらし、今後の治療計画の参考になることもあります。

最後に今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

5

有効で効率的な在宅医療を提供するため、訪問診療、地域包括ケアシステム病床、一般病床を連動させたサービスを運用する赤羽岩渕モデルを確立したいと考えています。国際的な医療施設評価認証機関であるJCI(Joint Commission International)の認証の取得を目標に、国際的な医療の質、国際患者安全目標を達成していきたいです。これは簡単に言うと、在宅の患者さまが体調が悪くなり入院して検査や治療を進めていくことになった際、在宅で顔なじみの医師や看護師が病棟にも検査室にもいるということです。知っている見たことのある医師や看護師が入院しても身近にいる。「あら、先生」と病棟や廊下で見かけたときに声をかけられるのは安心感があり、非常に落ち着いて診療が受けられると思います。この地域には個性や特徴のある医療機関がたくさんあります。その中から当院を選んでいただければうれしいです。

Main

熊川 寿郎 病院長

1982年昭和大学医学部卒業後、東京大学医科学研究所附属病院、東京都健康長寿医療センターにて血液、老年病、内科が専門の医師として臨床に関わる。2003年筑波大学大学院にてMBA取得。2006年国立保健医療科学院経営科学部部長、2011年同院医療・福祉サービス研究部部長を歴任。2019年2月より現職。豊富な臨床経験と知識を持ちマネジメントの観点から医療を見つめる研究者。持続可能な組織づくりに尽力。

access.png