医療法人社団福寿会 赤羽岩渕病院
(東京都 北区)
寺内 厳織 院長
最終更新日:2025/08/28


地域の人たちが安心して暮らせるよう尽力
医療法人社団福寿会グループに所属し、地域医療に貢献している「赤羽岩渕病院」。内科・消化器内科・循環器内科・呼吸器内科・腎臓内科・整形外科・皮膚科などの診療科を掲げ、生活習慣病の管理、専門性の高い疾患の安定期の管理、がんの早期発見のための内視鏡検査、各種ワクチン接種、各種健診などを実施している。福寿会の「必要なときに、必要な人へ、必要なだけ、トータルにサービスを提供していく」という基本姿勢のもと、地域に住む人々が、住み慣れた町で末永く安心して暮らしていくために必要な医療の提供に努めている。外来診療、訪問診療、地域包括ケア病棟での入院診療、通所・訪問リハビリテーションを一体化して提供する「赤羽岩渕モデル」の確立をめざす同院の取り組みについて、寺内厳織院長に話を聞いた。(取材日2025年7月30日)
病院の基本姿勢を教えてください。

当院は、住み慣れた町、住み慣れた場で、患者さんが安心して暮らしていけるよう、「必要なときに、必要な人へ、必要なだけ、トータルにサービスを提供していく」という、福寿会グループの基本理念の体現をめざしています。患者さんやご家族ごとに、安心して生活するために必要なサービスは異なります。私たち医療者側のみの判断で、考えや都合を押しつけるものでは決してありません。患者さんはもちろんのこと、ご家族・医師・看護師・介護士・理学療法士・社会福祉士など、関係者が互いにコミュニケーションを取り、本当に必要なものは何かということを一緒に考える必要があるのです。また当院は50床のうち46床が地域包括ケア病床です。高齢化が進みご自宅や施設で過ごす方が多い現在、具合が悪いけれど高度急性期病院へ行くほどではないというときなどに、安心して頼りにできるような病院として重要な役割を担いたいと考えています。
そのために、どのような取り組みをされていますか?

地域の皆さんの医療の入り口として相談しやすい環境を整え、医療・看護・介護・リハビリテーション・退院支援などを、患者さんやご家族の希望に可能な限り沿う形で提供できるよう取り組んでいます。例えば平日は19時まで外来の受付を行っており、会社帰りに立ち寄られる働き世代の方も多いです。生活習慣病の管理や、悪性腫瘍を含めた疾患の早期発見、北区の各種健診にも対応。時にはグループ内の病院や施設、また近隣他院と連携しながら、適切な医療につなげられるよう努めています。通院が困難になってきた患者さんやご家族から、在宅医療のご相談を受けることも多いです。そのほか、看護とリハビリテーションにおいて大切にしているのは、患者さんの生活能力を損なわないようなサポートです。退院が決まれば、患者さんの状態や実際の生活を踏まえた上で必要なアドバイスを行い、その後の生活に則したサービス調整やリハビリテーションを提供します。
こちらで行っている訪問診療の特徴をお聞かせください。

医師と看護師がペアで訪問し、外来診療と遜色ないほどの診療の提供をめざしています。眼科・皮膚科・耳鼻咽喉科・整形外科など、専門の医師のバックアップがあるのも、当院における訪問診療の強みです。24時間365日いつでも看護師に電話相談ができ、臨時往診も可能な体制を整えています。またご高齢の方にとって、誤嚥性肺炎に関わる食事や嚥下の問題はとても重要です。当院では、専門に学んだ医師が嚥下の評価をして、必要に応じて嚥下リハビリテーションを行っています。患者さんの背景はそれぞれですが、その方の年齢や家族構成も考慮して、生活に寄り添った在宅医療を提供していきたいですね。機能強化型在宅療養支援病院の強みである、訪問診療と地域包括ケア病棟の高度な連携を生かし、必要に応じて早めの入院を調整するなど、退院後に再び地域で安心して暮らせるようサポートさせていただきます。
そのほか、今後注力していきたいことはありますか?

スタッフにとって働きやすい環境づくりと、教育カリキュラムの構築です。外来・病棟・訪問診療など日々の担当範囲の枠にとらわれず、全体を見通せるような知識を身につけてもらえればと思っています。現在も患者さんに安心していただけるような看護体制を整えていますが、皆で知識をアップデートすることで、より良い医療が提供できるようになると思うのです。また基本的なことですが、あいさつなどの院内コミュニケーションも大切にしています。当院には産前産後休暇・育児休業を取得するスタッフや、子育て中のため短時間勤務のスタッフも大勢います。スタッフ同士のコミュニケーションが日頃から取られていれば、急な休みが発生した場合でも「お互いさま」の精神で助け合ったりと、気持ち良く仕事ができるでしょう。そのような温かな職場をめざしていきたいですし、そうした働きやすい環境は、仕事の質や医療サービスの向上に直結するかと思います。
最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。

人生100年時代、さまざまな事情で医療を必要とする方がいます。中には症状から生活に支障を来したり、在宅医療に迷いのある患者さんやご家族もいらっしゃるでしょう。そのような事態に陥る前に、私たちを頼ってほしいです。当院では多様な専門性を持つ医師による診療のほか、栄養士による外来・訪問での栄養指導、理学療法士による通所・訪問でのリハビリテーションを行っており、近年は在宅でのお看取りにも対応しています。またご高齢の方だけでなく、働き世代やもっと若い世代など、地域に暮らす皆さんの健康を守るため、予防や健康維持のための取り組みとして各種検診や、禁煙専門の外来にも対応しています。グループ内や地域の病院や施設との連携にも力を入れ、外来診療、訪問診療、地域包括ケア病棟での入院診療、通所・訪問リハビリテーションを一体化して提供する「赤羽岩渕モデル」の確立をめざし、これからも力を尽くします。

寺内 厳織 院長
帝京大学医学部卒業後、獨協医科大学埼玉医療センターや関連病院の消化器内科で研鑽を積む。その後、クリニックの立ち上げや院長職を経験し、2024年に福寿会グループに入職。2025年8月より現職。医師になる前は大手自動車メーカーに勤務していたという、自動車整備士資格も持つ。「車と同様、人の体も些細な違和感を見逃さないように」と常に心がけ、患者の思いや生活に寄り添う姿勢を大切にしている。





