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医療法人社団 金地病院

(東京都 北区)

山田 哲 理事長

最終更新日:2020/11/25

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甲状腺疾患の診療を一貫して担う専門病院

甲状腺疾患の専門病院として知られる「金地病院」。遠方から訪れる患者にとっては、JR山手線駒込駅東口から徒歩1分という便利さがうれしい利点だ。すべての甲状腺疾患に対して、検査・診断・治療を迅速に行うほか、放射線科ではアイソトープ治療を行う際の専用病室や浄化設備などを完備。理事長である山田哲先生が外科、妻の山田惠美子院長が内科をそれぞれ担当し、長年にわたり二人三脚で診療にあたってきた。「甲状腺疾患は、橋本病のように一生薬を飲み続ける場合もあります。ある程度安定すればかかりつけ医にバトンタッチして薬を処方してもらうのですが、少々遠くてもずっとここに通いたいと言ってくださる人も多いですね」と山田理事長。専門病院に通うことへの安心感もさることながら、理事長のユーモアや、院長の温かな雰囲気にふれる楽しみもあるようだ。甲状腺疾患専門病院としての特徴や治療の内容・方針について、山田哲理事長に詳しく話を聞いた。(取材日2017年4月5日)

こちらではどのような診療を行っているのですか? 

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当院が開設されたのは1958年3月3日。初代院長は現院長の父にあたります。以前、私は大学病院の脳外科に在籍していましたが、脳外科でも頸動脈など甲状腺周辺に関わる治療をする機会があるため、それまでの経験を生かすことができ、現在に至っています。診療科は内科、外科に放射線科を加えた3本柱。私の専門は外科でがんの手術がメインですが、バセドウ病をはじめとする甲状腺機能異常の手術も行うことがあります。院長が担っている内科では、バセドウ病や橋本病など、甲状腺機能が亢進あるいは低下して起こる機能異常を主に診ています。診療の特徴としては、8外来すべてにエコーを置いており、医師自らが検査を行うことです。また、金地甲状腺病研究所という検査施設を近隣に併設しているので、甲状腺ホルモンの検査を迅速に行うことができます。当院の規模はそれほど大きくありませんが、1ヵ所ですべて完結できるのが強みです。

どのような症状を訴える人が多いのですか?

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患者さまのほとんどは中高年の女性で、訴えは多岐にわたります。症状のタイプは大きく2つあり、1つは甲状腺機能の異常によるものです。甲状腺機能が亢進すれば、疲れやすい、動悸がある、汗がたくさん出るなどの症状が出ますが、反対に甲状腺機能が低下すると、むくんだり寒がりになったりします。もう1つは、甲状腺機能に異常がないのに、健康診断で首の腫れ・しこりを指摘される人です。甲状腺の症状は更年期障害と似ていてわかりにくいので、かかりつけ医から当院を紹介される人が多いですね。例えば、体がほてって汗をかく症状は、更年期でもバセドウ病でも見られます。更年期症状はパッと暑くなってすぐに引きますが、バセドウ病は慢性的に暑い状態が続く、そこが少し違います。更年期は、さまざまな病気を除外して初めて更年期と呼べるものです。「どうせ更年期だから」と放っておかないで、気になる症状があれば気軽に相談してほしいと思っています。

甲状腺疾患の専門病院ならではの特徴は何ですか?

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当院の大きな特徴は、アイソトープ治療に対応できる点です。アイソトープ治療では、ヨウ素に放射能をくっつけた放射性ヨウ素I131が入ったカプセルを服用します。放射線を体外から当てる外照射と違って、カプセルを飲むことでヨウ素を甲状腺組織の細胞に取り込ませ、放射線を内照射させる治療です。放射性ヨウ素はある一定量までは外来で使えますが、量が多い場合は入院を要します。入院期間は服用量によって異なりますが、隔離された専門病室に3~4日入院します。治療を受けると呼気からも放射能が出るため、室内の空気はフィルターを通して外に出さなければなりません。トイレの排水もそのまま下水に流せないので、放射能が減るまでタンクで浄化する必要があります。このような設備がそろった病院は全国でも多くないのが現状で、当院では大学病院からも患者さまを受け入れています。主に使っている隔離病室は4室あり、いずれもフル稼働しています。

外科ではがんの手術が多いとのこと、治療方針を教えてください。

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甲状腺のがんの中で、最も多いのは乳頭がんです。乳頭がんは進行が遅く、どんどん進行していくタイプのがんではありません。かといって、がんが小さければ絶対に安全とも限りません。がんの原発巣が見つかる前に、リンパ節への転移が見つかることもあって、当院では発見すれば摘出するようにしています。施設によっても方針は異なり、原発巣が1cm未満なら摘出しないで、少し大きくなるまでは経過観察とする考え方もあるようです。でも、原発巣が1cm未満であっても、それが甲状腺の表面近くに存在し、神経の近くにあれば神経麻痺が起こることもありえるので、私たちは早期に摘出したほうが良いと考えています。入院期間はその人の状態によって変わってきますが、当院では平均すると10日超でしょうか。手術の2日前あたりから入院して、手術は基本的に全身麻酔で行っています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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当院は個人病院でそれほど大きな規模ではありませんが、甲状腺専門病院は全国にあまりないので遠方から来る方も多く、北海道や九州からという人もいます。割合としては他院から紹介されて受診する人が多いですが、最近はホームページを見て来院する人も増えてきました。これを受けて、2017年4月にホームページをリニューアルしました。甲状腺疾患の説明コーナーを充実させていて、患者さまからも好評です。こんな症状があれば甲状腺疾患かも、という自己チェックリストも掲載しています。試してみて、気になることがあればぜひお越しください。初診時には病気に関する基礎知識のパンフレットも渡して、しっかりご説明もします。今後の課題の1つは、病院の建て替えです。これまで耐震工事を加えたり内装を変えたりしてきましたが、そろそろ建物全体を見直さなければと思っています。具体的には未定ですが、さらに来院しやすい病院にしていきたいですね。

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山田 哲 理事長

1972年東京慈恵会医科大学医学部卒業、1976年同大学院修了。同大学の脳神経外科や外科で臨床経験を積んだ後、1989年より金地病院の副院長・外科部長に就任。2001年に理事長に就任し、甲状腺疾患に特化した外科診療を行っている。日本医科大学客員教授でもある。医学博士、日本外科学会外科専門医。

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