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日本大学医学部附属板橋病院

(東京都 板橋区)

高橋 悟 院長

最終更新日:2021/07/27

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「患者ファースト」で進化する中核病院

「大学の附属病院は数あれど、病院がある土地の名前が入っている病院は少ないでしょう」と、「日本大学医学部附属板橋病院」の高橋悟院長。1935年の開院以来、特定機能病院として広く高度な医療を提供する一方、その名のとおり板橋の地に根差した中核病院として区民に愛されてきた病院だ。高橋院長は、2005年から同院の副病院長、泌尿器科部長として同院の診療をけん引する傍ら、「真に患者のためになる病院づくりを」とさまざまな取り組みを進めてきた改革の旗手。2021年4月の院長就任後は、新型コロナウイルスへ感染症の診療と通常診療の両立、救急の応需率アップ、患者サービス向上、駐輪場の改善等々、次々に新たな施策を推し進めて「新しい日大板橋病院」への脱皮を図っている。現在までの具体的な取り組みや、めざす病院像について、高橋院長に聞いた。(取材日2021年6月23日)

着任後、職員の皆さんにはどんなメッセージを伝えられましたか。

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地域医療がひっ迫する中、通常診療への影響を最小限に抑えつつ積極的に新型コロナウイルス感染患者を受け入れていくこと、安心安全な医療を前提に通常診療と新型コロナウイルス感染症診療を両立することを伝えました。具体的には、通常病床95床を50床の専用病床とし、かつ重症者にも対応できるハイケア病床に変更。散在していた病床の一元化を図り、コロナ病床に転用していた救急病床12床をフル稼働できるようにしました。これで、通常の救急の受け入れが正常化するほか、患者さんと職員の感染リスクもこれまで以上に抑えられると考えています。1ヵ月の短期間で改装工事を完了することができたのは、事務と看護部の皆さんが尽力してくれたおかげですね。なお、救急医療については、長年の懸案事項だった当直制を夜勤制にして、24時間体制を維持しつつ夜勤翌日はしっかり休めるようにするなど、医師の働き方改革を見据えた体制変更も行っています。

短期間でかなりスピーディに改革を進めておられる印象です。

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「やる」と決めて動けば、意外とすんなり進んでいくものなんですよ(笑)。診療以外でも、患者さんに「日大板橋病院は変わったな!」と思っていただけるような工夫をしようと職員に呼びかけ、「患者サービス向上WG」を立ち上げました。一人ひとりが患者さんになったつもりで客観的に病院を見直し、「あったらいいな」「こうだったらいいな」と思うアイデアをどんどん出し合って形にしてほしいと思っています。手始めに、正面玄関付近に無秩序に停められていた自転車を整理し、患者さんにはできるだけ公共交通機関をご利用いただくようにお願いしました。周辺がすっきりして出入りしやすくなるだけで、患者さんは安心して受診できるようになるでしょう。当院内での新型コロナウイルスのワクチン接種を進めていく上でも、安全性の確保はとても重要です。小さなことから真摯に取り組み、私たちが変わろうとしている意思を少しずつ伝えていけたらいいですね。

地域連携についてはどのようにお考えですか。

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喫緊の課題として、今まさに改善に取り組んでいるのが紹介率の向上です。これまでは一部の診療科で予約枠が不足しており、紹介状をお持ちの方の多くが思うように受診できていませんでした。31の診療科すべての責任者に状況をヒアリングし、ボトルネックを見つけて一つ一つ解消しているところです。同時に、紹介患者数の多い病院をリストアップし、ご挨拶にも伺いました。地域の医療機関と良い関係を築き、紹介・逆紹介のスムーズな流れをつくっていきたいと考えています。医療連携においては、病院同士だけでなく、医療従事者が互いに助け合いの精神を持つことが大切。5月ごろ、救命救急隊員へのワクチン接種の予定が立っていないと聞いて驚き、板橋区内2ヵ所の消防署に医師や看護師16人が出向いて3日間で接種を終えました。気づいたときに、できる人ができることをやる。そうした気持ちで、今後も積極的に地域医療に貢献していくつもりです。

診療面での注力ポイントについてもお聞かせください。

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専門性の高い高度な医療を提供する特定機能病院であり、「地域がん診療連携拠点病院」に指定されている当院は、地域におけるがん診療の中心的な存在でもあります。発展的で高度な医療を、チームで提供していくことが私たちに求められる役割だといえるでしょう。一方で、患者さんが「ここで最後を迎えたい」と希望されれば、ご家族とも相談の上で終末期医療にも取り組んでいます。最先端の医療をもってしても救えない命があることを知り、その終末期に向き合うことは、未来を担う若手医師が医療全体を知るうえで非常に重要なこと。大学の附属病院である以上、高度な先進医療の提供は言わずもがなであって、未来を担う医師たちの教育的な側面からも診療の在り方を考えることが大切ではないでしょうか。いずれ新病院ができれば、病床数は少なくても緩和ケアや回復期病床を作り、すべての若手医師に終末期医療に触れてもらいたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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1970年の建設当初はその内装や設備を称賛された当院も、時の流れとともに建物はいささか古くなりました。計画では、まもなく板橋キャンパスの再整備がスタートし、数年で新しい病院が完成します。それまでは、中身を常に刷新し続け、「患者ファースト」「地域ファースト」を忘れずにまい進してまいりますので、お気づきのことがあれば何でもお知らせください。患者さんの質問や疑問、改善の提案にオープンにお答えするシステムも構築する予定ですので、少しずつ良くなっていく当院にご期待いただければうれしいです。

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高橋 悟 院長

1985年群馬大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、国家公務員共済連合会虎の門病院、東京都立駒込病院を経て、米国メイヨークリニック勤務。帰国後、東京大学医学部助教授。2005年より日本大学医学部附属板橋病院に着任。泌尿器の専門家であり、全国的に見ても豊富な症例数と治療成績を持つ。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。日本大学医学部泌尿器科学分野主任教授。

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