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一般財団法人 精神医学研究所附属 東京武蔵野病院

(東京都 板橋区)

黄野 博勝 院長

最終更新日:2020/11/25

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急性期病棟を備えた地域の精神科医療拠点

東京メトロ有楽町線・副都心線と西武有楽町線が乗り入れる小竹向原駅から徒歩5分という至便な立地に建つ、1928年開院の「東京武蔵野病院」。練馬区、板橋区、豊島区、北区を含む区西北部医療圏における精神科医療拠点としての役割を担い、交通の便の良さから都内をはじめ埼玉県や神奈川県など広範囲から患者が訪れる。精神科を軸に、内科、外科、脳外科、整形外科、歯科、口腔外科と幅広い診療を提供し、身体合併症患者にも積極的に対応。精神科には20人以上の医師が在籍し、特に精神科の救急、急性期医療に力を入れている。「歴史と伝統のある病院として長年培ってきた風土を持ち、それぞれが高い目標を持つ多職種によるチーム医療が深く根づいている病院」と語るのは、2018年から現職の黄野博勝院長だ。スーパー急性期病棟、急性期病棟、慢性期病棟合わせて619床を有し、社会復帰のためのリハビリテーションや地域医療連携にも尽力する同院の取り組みや今後の展望などを聞いた。
(取材日2019年9月13日)

とても歴史のある病院だと伺っています。

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1928年に開設され、1943年から一般財団法人精神医学研究所附属の精神科病院として長く続いている病院です。当院には長い歴史と伝統があり、固有の風土や雰囲気がありますし、医師や看護師、心理士、薬剤師、栄養士、作業療法士など多職種の職員が高い意識を持って連携し、共同して働いていこうというチーム医療が深く根づいています。そういった歴史と伝統を大切にしながらも、現代社会に必要とされる精神科医療のリーディングホスピタルとして歩み続けてきた病院であると自負しています。

この病院の特徴、強みについて教えてください。

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当院がめざす精神科医療には、3つの柱があります。精神科救急などの急性期医療、地域移行支援、そして身体合併症医療です。精神科救急・急性期医療は地域のニーズとも合致しており、特に重点を置いて推し進めています。当院はスーパー急性期病棟と急性期病棟合わせて約200床有しています。一般の救命救急センターや急性期病院では受け入れが難しい精神疾患の患者さんは、医療圏域以外からも搬送されてきますが、「依頼の受け入れは断らない」という方針で対応し、できるだけ迅速に適切な医療を提供したいと考えています。精神科の病院としては、外来、新入院の患者さんともに数の多い病院であると思います。

地域移行支援、身体合併症医療についてはいかがでしょう?

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地域移行支援は、入院は引き受けていくけれども、できるだけ早い時期の退院をめざし、地域での生活に戻っていただきましょうというものです。訪問看護やデイケアなど、今は地域の受け皿が増えていますから、いろいろな社会資源と連携を図りながら、患者さんに地域で暮らしていただくことを目標としています。これからは病院ではなく、地域で患者さんを支えていくという形が主流になるでしょう。当院でも年々、訪問看護が増えていますが、将来的には訪問診療も始めたいと考えています。3つ目の身体合併症医療ですが、当院は精神病院でありながら内科、皮膚科、脳外科、整形外科などいろいろな診療科があり、昔は外科や脳外科、整形外科の手術も行っていました。ですから、身体的な疾患にも対応できます。今に始まったことではないのですが、超高齢化社会をむかえ近年は一層、身体合併症医療に力を入れていいます。

こちらには認知症病棟もあると伺っています。

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認知症は年々増えていくことが予想されますし、当院としてもどう認知症と関わっていくかということを真剣に考えているところです。1991年から55床の認知症病棟を設けていますが、非常にニーズが高く、入院希望の患者さんにお待ちいただいているような状況です。高齢の患者さんは、認知症以外にも心臓病や脳梗塞、糖尿病など多くの病気を抱えており、身体合併症医療も必要になります。また、当院では認知症の患者さんやご家族、地域の人などが集まって情報交換や交流を楽しむオレンジカフェも開催していますが、そういった取り組みをさらに活性化していきたいと思っていますし、今後は、もっと地域との連携を図っていきたいですね。看護師にも認知症の認定看護師の資格を取得してもらい、地域へ出向いていただき、広報活動や啓発をしていただくことができれば非常に良いのではないかと思います。

最後に精神科医療で大事なこと、今後の展望をお聞かせください。

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人間全体を診る視点というのが、一番大事なのではないかと思います。患者さんと良い関係を築き、本当に良い治療環境を維持していくということでしょうか。よくサイコ、バイオ、ソーシャルといいますが、病気の部分だけを見るのではなく、人間を社会的な存在としても見ていかなくてはいけません。ただ、やはり精神というのは、脳にかなり関係しているわけですから、脳を診る視点も大事だと思います。現在、精神科の病床数は全国で30万床ぐらいだと思いますが、厚生労働省は7万床ぐらいは減らしたいと考えているようです。当院でも2~3年後に病棟の建て替えを計画していますが、どのぐらいのベッド数が適正なのか、ダウンサイジングする中で何を特徴として進めていくのかを模索しています。精神科病院にしかできないことは何なのかを考えながら、当院の軸である3つの柱は、これからもしっかりと堅持していきたいと思います。

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黄野 博勝 院長

1987年慶應義塾大学医学部を卒業後、同精神・神経科教室入局。東京武蔵野病院に7年間勤務した後、1994年静岡赤十字病院精神神経科部長、1996年桜町病院精神神経科部長、2004年立川病院精神神経科部長を経て、2016年東京武蔵野病院の副院長に就任。2018年より現職。総合病院の精神科で長年、身体合併症の診療に携わってきた精神神経科のスペシャリスト。

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