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地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立豊島病院

(東京都 板橋区)

安藤 昌之 院長

最終更新日:2023/10/31

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医療と福祉の狭間まで手を差し伸べる

設立から120年以上の歴史がある「地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立豊島病院」。地域の急性期医療を担う病院であり、板橋区、北区、練馬区、豊島区からなる二次医療圏において24時間365日の二次救急医療とがん診療、脳・心血管疾患医療を提供するほか、精神科救急や周産期医療、緩和ケア、感染症、障害者歯科など、特色のある医療も展開する。新型コロナウイルス感染症の流行下では、都の要請に応じて多くの患者を受け入れ、大規模なプレハブでの発熱患者用の外来を設置するなど先陣を切って対応してきた。同院で20年以上にわたり消化器のがんの治療や腹部救急疾患の治療に取り組み、2020年4月に院長に就任した安藤昌之先生は、「コロナ禍が収束し、ようやく本来の病院の機能に注力できるようになった」と笑みを見せる。同院のこれまでの歩みと、コロナ禍の先に見据える未来について聞いた。(取材日2023年6月30日)

まずは貴院の成り立ちから教えてください。

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当院は1897年、板橋町のほか8ヵ所の町村組合が伝染病院を創設したのが始まりです。1899年に診療を開始した当時は有効な治療法がほとんどなかった伝染病の患者さんたちを隔離収容する役割を担っていたそうです。「豊島病院」の名前になったのは、1918年から1920年、スペイン風邪が流行した時期だったと聞いています。診療開始から100年目にあたる1999年には都立病院となり、2009年には財団法人東京都保険医療公社へ運営を移管しました。さらに、2023年、地方独立行政法人として組織化され、法人の中の一施設となりました。公社化後は13年間にわたって医療の質向上、安全、スピード感を重んじ、地域医療との連携を積極的に推進することで医療の発展に貢献しています。しかし、2019年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大で、当院を取り巻く環境も大きく変わりました。

コロナ禍では、非常に重要な役割を果たされたそうですね。

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一般診療が大きな影響を受けた2022年度、当院は新型コロナウイルス感染症診療のためにさまざまな活動を行いました。当時の方針は、新型コロナウイルスを制御すること、社会を守り、可能な救急診療と一般診療を行っていくことだったのです。冬にはインフルエンザとの同時流行が懸念されたことから、1日245人の発熱患者を受け入れられる体制を作るようにと東京都から通達を受け、敷地内にプレハブ造りの発熱診療棟を作りました。2023年3月まで24時間体制で発熱者に対応し、場所と人材の分離、救急車の応需率向上にも役立っていましたが、やりたい医療ができないことはジレンマでしたね。新型コロナウイルスが5類に分類されたことで、新型コロナウイルス感染症の重点施設としての役割は十分に果たしました。今後、医療と福祉の狭間で適切な診療が受けられずにいる人などに手を差し伸べる、本来の私たちの医療を取り戻していきたいと思っています。

コロナ禍で取り組んだ診療の成果についてもお聞かせください。

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2020年度から、「医療の質向上」「働きがいのある職場づくり」「経営の質向上」「包括的患者支援機能の充実・強化」を病院運営の重点事項としています。循環器内科では、心疾患を24時間受け入れてきたほか、心筋梗塞、狭心症、心不全に加えて不整脈治療に注力してきました。2022年には不整脈治療を拡大し、心筋焼却術を行っています。心不全や脳卒中の急性期診療を支える日曜リハビリテーションも導入しました。外科では先進の手術支援ロボットを導入して大腸がん手術を行ったことが大きなトピックですね。泌尿器科でも、ロボットによる前立腺全摘出術を標準治療としたほか、膀胱がん手術も症例数が増加しました。

がん診療についても教えてください。

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がん診療に関しては、ほぼすべてのがんに対応できるようスタッフをそろえています。特に胃がんと大腸がんは手術から化学療法、放射線治療、緩和ケアまでの総合的な診療に取り組んできました。放射線科はIMRT(強度変調放射線治療)を導入し、緩和照射も取り入れてがん治療に大きく貢献する見込みです。また、21年前から取り組んできた緩和ケアでは、ホスピスケアだけではなく、きちんと症状をコントロールして家に帰すことを目的としています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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3年を費やした新型コロナウイルス感染症の診療が終了した今は、活気ある急性期病院の構築に取り組んでいます。まずは、一般診療に加えて救急に注力し、断らない医療を実践してまいります。また、消化器救急疾患、がん医療、不整脈、虚血性心疾患、脳血管障害、整形外科疾患などの診療と、これらを支えるための日曜日を含めたリハビリテーションにさらに注力していく予定です。超高齢化社会に向けて、院内外の多職種との連携、看護に加えて介護体制の強化、さらには優秀な医師、看護師、コメディカルの育成を強化していきたいですね。

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安藤 昌之 院長

1981年弘前大学卒業後、東京医科歯科大学外科に入局。土浦協同病院、太田西ノ内病院、化学療法研究所附属病院(現・国際医療福祉大学市川病院)勤務などを経て1999年より同院。同外科部長、副院長などを経て2020年より現職。日本外科学会外科専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医、東京医科歯科大学臨床教授。

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