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つらい症状の緩和をめざす
リウマチ治療薬「生物学的製剤」

医療法人社団慈誠会 上板橋病院

(東京都 板橋区)

最終更新日:2021/09/30

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  • 保険診療
  • 関節リウマチ

関節リウマチは痛みを伴うつらい病気だ。進行すると骨が破壊される恐ろしさもあるが、今では治療法が進み、長年の症状を和らげる目的の画期的な薬も登場しているという。ところが患者の中には、専門家の適切な治療を受けていないために、重い症状で苦しみ続けている人も少なくない。生物学的製剤という新しい薬に早くから注目し、多くの患者の苦痛を取り除くことをめざす「上板橋病院」の小出純理事長に、先進のリウマチ医療について聞いた。(取材日2014年10月10日/情報更新日2021年9月29日)

高い効果が期待できる反面、副作用もある生物製剤。扱いに慣れた専門家のもとで、つらい症状の緩和をめざす

Q関節リウマチとはどのような病気ですか?

A

まずは、症状について医師に正確に伝えることが大事

関節リウマチは全身性の自己免疫疾患で、本来体を守るためにある免疫物質が出過ぎてしまい、そのために体内に炎症が起きる病気です。原因はまだ解明されていません。主な症状は、関節や骨の腫れや痛み。進行すると関節が変形したり骨が欠けたりし、壊れてしまった骨は元に戻りません。また、リウマチの病変は肺に入ることもあり、間質性肺炎という肺炎を引き起こします。リウマチ患者は、膠原病・自己免疫疾患の中では最も数が多く、全国に70〜80万人ほどいます。4人のうち3人が女性で、発症年齢の中心は40〜50代。指・手首・足首・膝・肘・肩・股関節など1ヵ所でも腫れや痛みが出たらリウマチの可能性があるので、注意してください。

Q治療は投薬で行うそうですが、どのような薬がありますか?

A

患者に合わせて投与する薬は変える

抗リウマチ薬の代表は、「MTX」という薬です。この薬によって、リウマチ治療はぐんと進みました。当院では、患者さんの3分の2に、この薬を処方しています。中には、MTXも使わず、比較的軽い抗リウマチ薬のみで済む患者さんもいます。一方、これらの薬ではコントロールができない難治性の患者さんには、「生物学的製剤」を用います。生物学的製剤は日本の21世紀の医学・薬学の分野でトップ3に入るほどの画期的な薬ともいわれます。これまでのリウマチ薬とは働きが桁違いで、病状が進んだ人の痛みも取ることをめざせるほどの薬です。生物学的製剤を使う患者さんも、MTXは併用し、治療の相乗効果を上げることを図ります。

Q生物学的製剤とはどのような薬なのか詳しく教えてください。

A

点滴や注射で投与する

リウマチの症状の出ている関節には「サイトカイン」と呼ばれる物質が出過ぎていて、これが炎症を引き起こすことがわかっています。生物学的製剤は、このサイトカインにピンポイントで働く薬なんです。早い人はすぐ、遅くとも1〜3ヵ月以内で、つらい症状の緩和がめざせます。当院で使用する生物学的製剤は7種類あり、患者さんの症状や検査結果、通院事情などを考えて選びます。月に1度の点滴や、週に1〜3回の皮下注射など特徴は違いますが、狙いを絞ってアプローチする点はいずれも同じです。バランスが崩れたサイトカインは、症状のある場所だけではなく血中にも出ます。そこへ点滴や注射で薬を入れるので、期待できる結果も大きいのです。

Q生物学的製剤には、難点もありますか?

A

作用は強いが副作用もある。専門性の高い医師に相談するのが一番

この薬は、残念ながら料金が高いのです。製造段階で費用がかかるため、保険診療でも高額になってしまいます。ただ、病気が進んで、手術をすることを思えば、たとえ高価でも早いうちに生物学的製剤を使って根治をめざすほうが、むしろ得だという考え方もあると思うんですよ。病状が早期なら、1年〜1年半で治療が済む場合もありますので、私もできるだけ患者さんの負担を軽くできるように考えて治療しています。もう一つの難点は、副作用です。速く強く働く薬なので、ある程度の副作用は仕方がありません。軽めの副作用として、頭痛・充血・動悸・発汗・めまいなどがあり、5〜6人に1人は肺炎などの重い副作用が起きます。

Q重い副作用が起きた際は、どのように対応されるのですか?

A

副作用を見越した対応のできる病院であれば、安心感を持てる

当院では、生物学的製剤治療に伴って肺炎などの副作用が起きた時に備え、病棟のベッドを空けてあります。患者さんに発熱などの症状が出たら、すぐに入院させられる態勢を整えているんですよ。投薬中から患者さんの様子をよく観察し、点滴の場合は30分ごとに体調の変化をチェックします。帰宅後でも問題が起きればすぐに対応して、私自身が診療にあたるようにしています。生物学的製剤は、結核や肺炎など肺に病気のある方には使えないので、事前の検査は徹底し、投薬日には、熱を測るなど患者さんの体調を調べてからにします。作用が強い反面、軽く見てはいけない薬なので、扱いに慣れ、副作用への態勢を整えた医師のもとで使うことが大事です。

患者さんへのメッセージ

小出 純 理事長

1981年慶應義塾大学医学部卒業。1987年から2年間スタンフォード大学(免疫学)留学。リウマチ・膠原病を専門として、大学病院などで診療。関節リウマチの病因解明の研究にも携わる。1998年から上板橋病院ほか慈誠会グループの院長を歴任。2017年1月からは慈誠会グループ理事長、2019年4月から上板橋病院の総院長を兼任。日本リウマチ学会リウマチ専門医・同学会評議員。

節に腫れや痛みを感じ、リウマチが疑われたら、なるべく早くリウマチの専門家にかかることをお勧めします。関節が痛むと、多くの人が整形外科を受診してしまうのですが、もしその先生にリウマチの知識が不十分だと、痛み止めの薬だけで治療してしまうことがあります。そうして半年〜1年たってしまうと、その間に病気が進行してしまいます。そうならないように、早めに専門家を受診してください。リウマチの治療は大きな進歩を遂げ、生物学的製剤をはじめ、良い薬がたくさん出ています。薬は早期に治療を始めるほど有用ですし、発症から時間がたってしまった方でも、適切な治療によって症状改善がめざせます。諦めずに治療していきましょう!

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