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医療法人社団慈誠会 慈誠会若木原病院

(東京都 板橋区)

初野 英之 院長

最終更新日:2023/02/03

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苦痛がなく、安心・安定した療養生活を支援

1986年開院の「慈誠会若木原病院」。41床の医療療養病床を持ち、同じ建物内に定員64人の介護医療院を併設する同院は、慢性期の医療・看護からターミナルケア、看取りまでを担っており、入居者にとっては同院が終の棲家としての暮らしの場になることが多い。「入居者が苦痛なく、心穏やかに日々を過ごせる環境こそ当院に求められているものだと考えています」と初野英之院長。開設から40年以上を経て、今なお清潔に磨き上げられた院内を見れば、初野院長と同様の思いを持つスタッフが多く在籍していることがわかる。身体拘束をできる限り避けるための工夫や、褥瘡を作らせない・悪化させない取り組みは、スタッフの発案による同院独自の活動だ。「今後は適宜システムを取り入れて効率化を図り、スタッフが直接患者さんと接する時間をより多くつくれるようにしていきたい」と展望を語る初野院長に話を聞いた。(取材日2022年12月27日)

病院の特長についてお聞かせください。

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当院は、お看取りまでのターミナルケアを担う慢性期病院です。41床の医療療養病床では中心静脈カテーテル管理、酸素療法、喀痰吸引などの医学管理が常時必要な方の医療ケアを行い、併設する介護医療院では急性期の治療が終わって病状は安定しているものの、長期的な医療と介護が必要と判断された方を受け入れています。2020年、それまでの介護療養病床が介護医療院になり、より生活の場としての意味合いが強まりました。日常的な医学管理、およびターミナルケアや看取りと併せて、安心・安全な暮らしを提供することが私たちに求められている役割です。介護医療院のほうは少しスペースを広く取り、余裕をもって生活していただけるよう工夫しています。入院患者さんの平均年齢は85歳。要介護度4または5の認定を受けた方ばかりなので、病室の窓から入ってくる若木原公園の涼やかな風を感じながら、穏やかに過ごしていただきたいと思っています。

患者さんの受け入れの際、気をつけておられることはありますか?

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入院に関するご相談はいったん医療ソーシャルワーカー(MSW)が取りまとめ、かかりつけ医の紹介状や検査データなどの情報を見て受け入れ可否を判断することになります。受け入れ可能であれば、ご家族との面談や病院内の見学を経て最終決定するわけですが、当院では面談を担当するMSWが頑張ってくれています。病気の方とそのご家族が抱える悩みは、入院に関することだけではありません。経済的なことから精神的なことまで、実にさまざまです。特に、当院のような慢性期病院は、長期的な治療や入院が前提であり、お看取りまでを見据えてきめ細かな支援を行う必要があります。豊富な知識とホスピタリティーで適切なアドバイスができるMSWの存在は、ご家族にとっても大きな安心材料ではないでしょうか。看護の視点が必要なときは、看護部長とコンタクトを取り、面談に同席してもらうなどの協力体制も確立されています。

職種を超えた連携体制が特徴の一つですね。

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あらゆる職種が連携し、1つのチームとして患者さんをサポートしています。近年、当院はほぼ満床の状態が続いているのですが、患者さんの過ごしやすさを第一に考えるスタッフの働きがあってこそだと思いますね。実際、見学にいらしたご家族の多くは、スタッフがきびきびと立ち働く様子や患者さんへのケアの様子を見て入院を決めています。患者さんの多くがきちんと入浴できていて、清潔な状態で過ごしていることが決め手になったというお言葉をいただくこともありますよ。新型感染症の流行でいったんは減った院内のイベントも、徹底した感染症対策とスタッフの努力で少しずつ再開されています。就任してすぐスタッフがサンタの帽子かぶって開催したクリスマス会で患者さんが喜ぶ様子を見て、とてもうれしい気持ちになりました。決して新しいとはいえないハード面を補って余りあるスタッフのソフト面が、当院の最大の特徴であり強みであると思いますね。

褥瘡対策にも力を入れていると伺いました。

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医療療養病床・介護医療院どちらとも寝たきりの患者さんが多くいらっしゃいます。自力での寝返りや体動が困難で褥瘡発生リスクが高い患者さんに対しては、うまく体圧を分散することができるよう、入院時に褥瘡委員が体圧を測定して全員に共有しているんですよ。常に最善のポジショニングをつくることで褥瘡ができるのを防ごうという取り組みですね。入院した時点ですでに褥瘡がある方には、薬を使わずに自己治癒力を引き出すことで症状の改善を図るための湿潤療法を行っていきます。また、褥瘡対策と同じくらい、身体拘束をしない工夫にも注力しています。点滴やチューブを抜去したり、皮膚をかき壊したりするのを予防・軽減するための手袋や、中心静脈カテーテルを保護する首カバーなどのグッズは、スタッフの手作りなんですよ。日々の看護の中で何が必要かを話し合い、自主的に動いてくれています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

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慈誠会グループ10病院中、初めて介護医療院を併設した病院として、患者さんの一生を総合的にサポートできる仕組みづくりをより積極的に進めていきたいと思っています。その一環として、これまで手作業で行われてきた部分に適宜システムを入れて、スタッフの負荷を減らしていくことも重要だと考えています。手作業の温かさは当院ならではの良さですが、患者さんやそのご家族と直接関わる部分以外、必ずしも人の手でなくても良い部分があるのも確かです。ルーティンワークをシステム化することで、人間ならではの心遣いが必要なところに当院のスタッフのきめ細かな支援をより多く投入できると良いですね。

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初野 英之 院長

1978年順天堂大学医学部卒業。同年、同大学整形外科学教室入局。国立伊東温泉病院を経て、浦安市川市民病院勤務。順天堂大学医学部整形外科教室助手、浦安市川市民病院医長。2003年より医療法人社団慈誠会前野病院勤務。20年の長きにわたり、副院長として高齢者の健康寿命延伸に関わった後、2022年12月より現職。穏やかで温かな人柄が同院のアットホームな雰囲気にフィットし、スタッフの信頼を集めている。

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