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医療法人社団翠会 陽和病院

(東京都 練馬区)

牛尾 敬 院長

最終更新日:2020/03/13

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地域密着型のチーム医療で早期改善をめざす

石神井公園駅からバスで15分ほど離れた閑静な住宅街の中にある「医療法人社団翠会 陽和病院」は1958年の開設以降、精神衛生法から精神保健法への変遷に象徴される精神医療の大改革の中で病院の開放化運動をリードし、長期入院者の退院促進を行ってきた地域密着型の都市型単科精神科病院だ。牛尾敬先生は2019年に院長に就任。一般精神科疾患全般はもちろん、幅広いメンタルヘルスのニーズに応え、高齢者や認知症患者の診療を充実させてきた。また近年では精神科医療全体の急性期化に対応すべく、精神科救急医療や急性期治療にも積極的に取り組んでいる。周囲に相談することが困難な心の病を抱えた患者を支えていくために、多職種によるチーム医療を重視し、公的機関や地域の機関との連携に力を入れてきた伝統を守り続けている牛尾院長に詳しい話を聞いた。(取材日2020年2月25日)

今日までの病院の歩みを教えてください。

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当院は精神科単科病院として1958年に開設されました。1970年代から実施してきた病院の開放化や長期入院者の退院促進は、現在も当院の底流を形作っています。1990年代には「柔らかい治療主義」をキーワードとして治療に集団精神療法的視点を積極的に導入し、患者さんの抱える問題を各職種が共有しながら解決を図る「チーム医療」に尽力してきました。またデイケアや作業療法と併せ、グループホーム、老人保健施設、訪問看護ステーション、地域包括支援センターや居宅介護支援センターなどの諸事業を展開、2003年には石神井公園駅前にサテライトクリニックを開設し、地域の多様なニーズへの対応を図っています。2010年からは精神科救急医療、精神科リハビリと社会参加、高齢者や認知症医療、地域精神医療などの統合と強化をめざし、2013年からは休日夜間の入院受け入れを積極的に行うなど地域のニーズに応える取り組みを進めています。

ポリシーと治療方針についてどのようなお考えをお持ちですか?

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昨年の4月に陽和病院を中心とした練馬地区の医療・介護・福祉の事業所の理念を作成しました。それが「永続する良心」です。ご自身やご家族が病に悩み、障がいにつまずき、老いや死に向かい合ったとき、私たちは共感をもって真摯に対話を重ね、地域の人たちとともにあらゆる知恵とケアを尽くして一緒に困難を乗り越える良心的診療を心がけています。当院の患者さんはお子さんから高齢者まで幅広く、統合失調症や躁うつ病の方、うつ病、発達障害、神経症の方、また最近は認知症の方も増えているのですが、そういった患者さんが退院し、どのように地域で暮らしていただくかということに早々に取り組んできました。精神科領域の方も認知症の方も、入院治療が必要な方には迅速な対応でなるべく早く入院していただいて症状の改善を図り、およそ3ヵ月以内で地域にお返しし、その後の生活については多職種によるチームで考えていくという治療を行っています。

精神科アウトリーチに積極的に取り組んでいるそうですね。

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アウトリーチとは「外へ手を伸ばす」という意味で、病院で患者さんを待つのではなく、こちらから出向いてなるべく地域の在宅で生活できるように支援をすることです。精神科領域の患者さんで治療が必要だが受診していない方、あるいは治療を中断して調子が悪くなっている方などが対象です。最初のうちは、ご本人よりもご家族との相談を積み重ねていくことが重要なのですが、その際には医師の他に地域担当の保健師さん、また院内に設けている地域支援室と相談室から看護副部長や相談課長、専従の看護師なども含め、チームを組んで伺うことがほとんどです。公的機関や地域の機関との連携には伝統がありますので、地域ぐるみでより一層密接な連携ができると、患者さんやご家族が地域で過ごしやすくなるのではないかと考えています。

どのような時に、どんなふうに受診すれば良いのでしょうか。

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最初に受診する際には、ご自身でも主訴がまだわからない段階であることが多いものです。そうした場合に最も基本的なバロメーターになるのは、きちんと眠れているかどうかということ、それから食欲があるかないかということです。この2点については、どの病気でもひとつの指針になり得ます。悩んでいるものの、病院の敷居が高くて来院しづらい方でも、まずは精神保健福祉士が丁寧にお話しをうかがいます。状況や状態によっては、医師とも相談してアドバイスをさせていただきます。昔から密接に連携している地域の保健師さんやケアマネジャーさんからも、ありがたいことに「相談しやすい病院」と言っていただくことも多いので、患者さんご本人やご家族の方にも気軽に相談していただけたらうれしいですね。

今後の展望と地域の方々へのメッセージをお願いします。

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国全体の少子高齢化、労働人口の低下が進む中、地域包括ケアシステムの確立が急務となっています。当院は医療・介護・福祉を統合した体制で地域医療に力を入れてきました。今後はアウトリーチの経験を生かし、在宅診療でも貢献できるようにと現在推進しています。訪問診療や往診といった分野も近々に起ち上げる予定です。ストレスの多い困難な時代にあって、精神科メンタルヘルス領域の敷居をできる限り低くしていくことは我々の使命です。相談されるご本人もご家族も、さまざまな悩みやご事情、お気持ちを抱えていらっしゃいます。お子さんから高齢の方まで幅広い年齢層の方の気持ちに寄り添い、親身になって相談に乗り、ご本人ご家族の人生と生活を丁寧に応援していきたいと思っています。またここ数年は高齢の方、認知症の方の診療にも力をいれておりますので、介護疲れなどの問題で悩んでいる方もぜひ相談にいらしてください。

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牛尾 敬 院長

1992年3月東京大学医学部卒業。同年6月より同大学附属病院で研修医を務めた後、1995年より多摩あおば病院常勤。1998年5月より虎の門病院精神科勤務。2004年9月より陽和病院の常勤医となり、2014年に副院長就任、2019年に院長就任。陽和病院は以前より東大病院と関係性が深く、牛尾院長も学生時代、陽和病院で実習を務めた縁を持つ。

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