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医療法人財団厚生協会 大泉病院

(東京都 練馬区)

半田 貴士 病院長

最終更新日:2024/03/22

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精神科急性期医療を担う地域に根差した病院

都市の自然的景観を維持するために定められた、緑豊かな風致地区の一角に「大泉病院」はある。2012年8月にリニューアルした病棟と外来は、風致地区の決まりに沿って高さを抑えていることもあり、病院独特の冷たさや威圧感がまるでない。昔からそこにあり、今もそこにあり続ける、地域とともに歩む病院ならではの温かさがにじみ出るようなたたずまいだ。2015年から同院の院長を務める半田貴士院長は、大学の医学部を卒業後、大学の医局に所属しながら大泉病院で勤務したことがあるという。時代とともに病院の役割は変わり、患者の顔ぶれも変わったが、「地域で暮らす人のためにできること」を粛々と実践する姿勢は変わらないそうだ。小さな悩みごとや困り事もすくい上げ、患者の立場に立って求められる医療を提供したいと話す半田院長に、病院の特徴や強みなどについて話を聞いた。(取材日2024年2月27日)

まずは、病院の概要からお聞かせください。

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当院は1955年に開設された病院で、精神科・神経科・心療内科の診療を行っています。2012年8月の改装の際、風致地区の規定に沿って病棟と外来を改装するとともに、病床数をダウンサイジングし診療の軸を急性期治療にシフトしました。現在は病床全体の4割を占める96床が急性期病棟で、チーム医療で早期の社会復帰を支援しています。入院は練馬区に限らず都内全域から来られ、隣接する埼玉県の方も少なくありません。救急病棟に入院される方は統合失調症とうつ病、双極性障害中心ですが、若い発達障害の患者さんも増加しています。精神症状のある認知症の症状にも救急急性期病棟で対応していますが、慢性期病床はないため、落ち着かれたら自宅や認知症対応の老人ホーム、他の病院の慢性期病棟などに移っていただく形を取っています。

外来についても、特徴を教えていただけますか。

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外来の中心は統合失調症、うつ、双極性障害ですね。若い年代の発達障害の方もよく来院され、臨床心理士による心理検査を行い診断治療に役立てています。また通常外来のほか、デイケアとデイナイトケアを行っているのが大きな特徴です。デイケアは症状が落ち着いていて自宅で暮らしている方が対象で、就労より生活の質の向上を図りたい方は生活中心の「第1デイケア」就労をめざす若い方は「第2デイケア」とグループ分けをして、それぞれに必要な指導などを行います。第2デイケアでは、チーム医療による指導・援助のもとでさまざまな活動をしながら社会復帰・就労に向けて力をつけていただきます。デイケアより滞在時間が長く、夕食まで過ごすのがデイナイトケアですね。

現在、特に力を入れている治療があればご教示ください。

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注力している治療は大きく2つあります。1つは電気けいれん療法です。これは、古くから精神科で行われている治療法の1つで、こめかみにつけた電極から電流を流し、脳を刺激することによって症状の改善をめざすものです。非常に切迫した希死念慮を持つ方、薬物療法での改善が期待できない場合に有用な治療法で、即効性が期待できる例も多いことから、麻酔科非常勤医師とともに週3回施行できる体制を整えています。他院からの治療依頼も受け入れています。また、治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン治療にも力を入れています。こちらも非常に有用な治療法ですが、副作用の危険があるため、定められた基準を満たす医療機関で実施することが必須となっており、当院では、有用性と危険性を検討して、厳重な管理のもとで自院の患者さんを対象として入院管理下で実施しています。

新たに訪問診療を始められたと伺いました。

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はい、保健所などとも協力の上、2022年から訪問診療を行っています。きっかけは、「病院外来にも来ることができない」、「学校や会社に行けなくなった」といった理由で、家から出られずに引きこもっている方が増えていることからです。患者さん自身は家から出たくても出られず、ご家族も万策尽きて困っているケースが多いことから、私たちのほうから足を運んで診療させていただくことにしました。意欲あるドクター1人とサポートの看護師、精神保健福祉士で始めたのですが、地域の中で当院が果たすこうした役割に価値と意義を感じてくれるスタッフが多く、現在では57人のチームで活動し、訪問診療に伴って訪問看護も行っています。何度も患者さんのもとに足を運んで根気強く呼びかけ、信頼関係を築いていく様子には、私も感心しております。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

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地域のクリニックの先生方との連携を深め、入院のご相談をフレキシブルにお受けしていきたいと考えています。通常診療後の夕方や夜間休日でも入院できるよう体制を整えてまいりますので、お困りの際にはぜひお声がけいただきたいですね。また、すぐには自宅に復帰できない方の受け皿となるグループホームを増やすことも検討しています。ともすれば社会からこぼれ落ちてしまいかねない方をしっかりと支え、愛着のある街で暮らし続けられるような環境づくりを進めてまいります。

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半田 貴士 病院長

1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学の医局と大泉病院で勤務した後、済生会中央病院の心療科・精神科部長を経て、2015年、大泉病院の院長に就任。精神科を専門にした理由は「病気のみでなく、人を診て、人生に寄り添いながら診療する点に魅力を感じた」から。現在も患者とまっすぐに向き合い、よく話を聞いて親切に接することがモットーだと話す。日本精神神経学会精神科専門医、精神保健指定医。

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