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特定医療法人社団研精会 東京さつきホスピタル

(東京都 調布市)

山田 多佳子 会長

最終更新日:2024/12/26

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子どもから高齢者まで広く心のケアを行う

2020年に京王線つつじヶ丘駅近くに開設された「東京さつきホスピタル」。前身は、60年以上にわたり精神科診療を通して地域医療を行ってきた山田病院で、新築移転する形で生まれ変わった。高齢者の認知症診療や、現役世代の精神疾患診療に取り組む他、小児科医師でもある山田多佳子会長は「あらゆる世代に対応していく心のケアを行う場所でありたい」と発達期・思春期に特化した部門も設置。不登校や引きこもり、発達障害などに悩む子どもとその家族への診療やケアにも注力する。また地域に開かれた病院をめざし、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種にも積極的に対応。「つなぐ、ひろがる、つづく」をスローガンに、患者や高齢者が地域でその人らしく生きていけるような仕組みづくりにも尽力する山田会長に、「東京さつきホスピタル」の特徴やめざすところを取材した。(取材日2021年10月29日/記事更新日2024年9月4日)

まず、こちらの病院の成り立ちを教えてください。

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当院の前身は、父、山田禎一が1957年に27床で始めた精神科診療を行う「山田病院」で、2020年に新築移転して「東京さつきホスピタル」として生まれ変わりました。従来、日本の精神科医療では長期療養が中心でしたが、近年は治療後の患者さんが地域でその人らしく生きられるような支援が求められています。そこで当院は、病床数を減らして外来にも注力し、従来の統合失調症を中心とした精神科の診療だけではなく、誰でも心を病むことがあるという考えをもとに、あらゆる世代の心のケアを行う場所をめざし、地域で支える精神医療と福祉の融合に取り組んでいます。当院では、精神科、心療内科など、精神医学一般に加え、発達期・思春期の精神科医療、認知症、小児医療など専門分野を持つ医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師といったスタッフが連携して患者さん一人ひとりに寄り添ったケアを行っています。

診療にはどのような特徴がありますか。

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発達障害や適応障害、気分障害、ストレスによるうつ、統合失調症、認知症など、「心を持つ人間だからこそ抱える、生きづらさ」を医療、介護、リハビリテーション、生活相談、就労支援など多様な専門家が連携して支えていくのが特徴です。「人間関係から生まれた病は人との関わりの中で癒やしていくこと」や、「つまずき、傷つき、心折れる患者さんや家族が、希望を取り戻していく道をともに歩んでいくこと」などを治療の原則としています。患者さんは多様で、メンタルクリニックや、児童相談所、地域包括ケアセンター、行政や家族会などからのご紹介も増えています。ご相談を受けた当日の入院を可能にしたり、施設入所の方で認知症の周辺症状が起きた場合に速やかに受け入れる体制も整えています。また院内でもスムーズに連携や情報共有ができるように、医局制ではなく、医師もスタッフも一緒に顔を合わすオープンな総合スタッフルームを設けています。

現役世代や女性のストレスケアにも力を入れているそうですね。

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院長の藤枝誠先生はストレス関連障害の診療経験が豊富です。複雑な現代社会の中でストレスによって体調を崩したり、心が疲れてしまうことは珍しくありません。そうした方に対して、専門のチームが心と体の回復のお手伝いをするとともに、十分な休息をとって静養していただくための環境を整えています。また、私は小児科出身ですので、子どもの心の問題への対応が必要と考え発達期や思春期に特化した診療を行う体制も整えました。そして子どもの心のトラブルや発達の問題には、親御さん、特にお母さんの問題が関わってきます。子どもを安心して生み、育てられる環境で、幸せに満ち足りて暮らせるよう、女性医師によるウィメンズメンタルケアにも対応しています。子どもの場合、虐待によって情緒障害を起こすケースも目立ちます。虐待の連鎖ということもあるので、妊娠前や妊娠中から心のケアを受けられるような取り組みも、地域の中でも行っていきたいですね。

発達期・思春期の精神科診療について教えてください。

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遠藤季哉副院長を中心に、小学校高学年から18歳までの精神的問題全般に加え、18歳から35歳くらいまでの方の発達障害に対する診療を行っています。思春期の精神科では、気分の落ち込みや幻覚・妄想などの症状ばかりでなく、不登校やゲーム依存、引きこもりなど、その背景を本人や家族と一緒に考え、環境調整や助言をしたり、症状に応じて薬物処方を行ったりします。思春期の診療では、子どもたちの自律性を重視し、多職種が関わり退院後へのスムーズな移行をめざして治療を行います。また成人の発達障害は、対人関係や社会的手続きにおいて困難があり、適応の難しさを自覚または周囲から心配されている方、生きづらさを抱え社会参加に意欲が持てず、引きこもりやゲーム依存などの傾向にある方が対象です。単に診断をつけるだけでなく、生きづらさの理由を共有し、その人らしい社会参加の方法を一緒に考えることを心がけています。

今後の展望について聞かせてください。

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高齢の方や障害のある方が地域でその方らしく生活できるよう、訪問看護の他に医療・福祉のサービスを含めた生活支援を充実させたいと考えています。また、児童精神福祉機能についても充実をめざして取り組んでまいります。法人全体で取り組んでいる包括的な食の支援もより一層進めていきたいですね。そして「つなぐ、ひろがる、つづく」というスローガンを実現できるよう、人間同士のつながりを大切にし、医療と福祉の両輪で地域に広がり、明るい未来を築けるような活動を続けていきたいです。地域で支えあうシステムの中心に当院を定着させ、診療に携わる医師やスタッフが誇りを持って働けるような病院に成長していきたいと考えています。人である限り心があり、その心は浮いたり沈んだり、傷ついたりすることもあります。どうしても自分だけでは抱えきれない生きづらさや、困り事、ご家族のことでのご相談など、ぜひ気軽にご相談いただきたいと思っています。

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山田 多佳子 会長

1979年東京女子医科大学卒業後、同大学小児科入局。1984年同大学母子総合医療センター新生児部門助手を経て米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。1991年国立国際医療研究センター入職、国際医療協力局派遣課の職員としてカンボジアやバングラデシュで支援活動を行う。2003年医療法人社団研精会に入職。診療に加え、各施設の理事、施設長等を歴任。2015年理事長、2024年会長に就任。趣味は乗馬。

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