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日本赤十字社 武蔵野赤十字病院

(東京都 武蔵野市)

泉 並木 院長

最終更新日:2020/11/25

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高度急性期医療に特化した多機能病院

「住みたい街」の代表格、吉祥寺を有する東京都武蔵野市。1949年の創設以来、武蔵野市の中核病院として住民の厚い信頼を得ているのが「武蔵野赤十字病院」だ。「愛の病院」を理念に掲げる同院は、高い専門性が求められる高度急性期医療に特化した病院として地域に貢献。長年にわたる情報共有を通じて地域の病院や開業医との協力体制を確立し、2013年からは完全紹介予約制を導入。地域医療の機能分担と連携を実現することで、効率良く効果的な医療の提供に努めている。同院で30年以上のキャリアを重ね、2016年に院長に就任した泉並木院長は、厚生労働省が取り組む肝炎治療戦略会議委員も務める肝臓のスペシャリスト。緊急度の高い救急医療を担う三次救急医療施設として多くの搬送を受け入れ、地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院、地域周産期母子医療センター、東京都肝疾患診療連携拠点病院など、多くの機能を持つ同院を統括する。「これからは医療の進化、時代の変化に即した総合的な患者サポートが重要」と語る泉院長。言葉の端々から誠実な人柄が伝わってくる泉院長に、地域における同院の役割と今後の展望を聞いた。(取材日2018年1月30日)

こちらは、完全予約制と伺っています。

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2013年から紹介予約制を導入し、現在はほぼ完全紹介予約制です。ご紹介いただくためには、当院で行っている医療をきちんと広報し、よく知っていただくことが重要です。当院が高度急性期入院病院という役割を担っていることを意識し、病院運営をその方向に持っていくということですね。ですから、救急車の受け入れがどんどん増えていて、平均すると1日30台にのぼります。救命処置を必要とする三次救急だけでも毎日複数件ありますが、そこは高度急性期病院の使命ですので、特に重症の三次救急は断らずに受け入れられる体制を強化しています。また、高度急性期病院で重要な手術では、さまざまな機器や医師の配置を整備し、おかげさまで手術件数もずいぶん増えています。合併症のない手術をめざし、循環器内科のカテーテル治療、大腸がんの内視鏡手術、肺がんの胸腔鏡手術、がんの外来化学治療などさまざまな分野で高度医療に取り組んでいます。

高度救急医療において、特に増えているケースはありますか?

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最近は、分娩年齢が年々上がってきており、30代後半の方の出産が多くなっています。年齢に伴い内科的な合併症が多くなるため、母体の救急搬送も増加しています。クリニックで検査し、分娩予定だった方が大出血して、緊急帝王切開するというスーパー母体救命のケースが1ヵ月に1人はいらっしゃいますね。病院の使命として、少し年齢が上がってきた妊婦さんを安全に管理することに力を入れて取り組んでいます。常勤医師は産婦人科全体で15人、新生児科に5人おり、NICU(新生児集中治療室)などを備えた「地域周産期母子医療センター」として都の指定を受けています。3年後に病院が新しくなるのを機に、MFICU(母体・胎児集中治療室)を備えた「総合周産期母子医療センター」の体制を整えたいと考えています。また、小児科では常勤の医師が10人で救急にも対応しており、この地域の小児医療における「最後の砦」的な役割を果たしています。

入院日数の短縮化を進めているとお聞きしています。

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いつでも救急入院に対応できるよう、合計で611床あるベッドは一定の余裕を持たせるようにしています。入院日数を短くするためには、転院、退院をスムーズにしなくてはいけないということで、力を入れて取り組んでいるのは入院支援センターです。転院先となる病院の得意分野やニーズを把握しておくことに加え、入院前に手術で麻酔を受けるための診察予約や心電図を撮るなどのアレンジ、看護師との面接、入院時の状況説明、さらにどのような医療費の助成が受けられるか、行政サービスの案内など、全部完璧にしてから入院すると、入院期間が短くなりますし、準備が整っているので医師も安心して手術に取り組めます。高度急性期医療に集中するためには、環境の整備が極めて重要です。この4月から「入院前から行う支援」を診療報酬で評価されることになったことは非常にありがたいことだと思いますね。

この地域は、病院の連携が非常に強固だそうですね。

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当院だけでなく、地域の病院や開業医の先生方が協力してくださり、全体で良い地域をつくろうという意識が非常に高いですね。それぞれの病院が「自分の病院がどういう役割を担うのか」という点が非常に明確です。回復期のリハビリテーションに早い時期から取り組んでくれる病院もありますし、施設に入居している高齢者で合併症を持つ患者さんを施設へ戻る前に受け入れ、医療提供してくれる病院もあります。在宅に復帰される患者さんであれば、往診の先生も一緒になって、地域でしっかり医療体制を整えようと努力をしています。特にがんの患者さんを在宅でケアしてくださるドクターとは、頻繁に勉強会を行い、医師、看護師、薬剤師など、たくさんの方が参加しています。当院が肝炎の対策の一環として15年以上前から取り組んできた連携が、今のがん患者のサポートにもつながっており、病院運営における地域連携のとても良い勉強をさせてもらったなと思いますね。

最後に今後の展望をお聞かせください。

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現在力を入れているのは、小児医療の充実とがん治療です。小児医療では、少子化で育児経験が十分でない親御さんの不安を解消する何かを考えていかなくてはいけないと考えています。また、最近のがん治療では、免疫チェックポイント阻害薬のような新薬が登場し、余命3ヵ月と言われた人が、元気で何年も生きるケースも見られます。そういうがん患者さんに対する支援として、仕事をしながら治療もしましょうという両立支援を行っています。手術後の機能回復は、生活の質を保つためにも重要なので、がんのリハビリテーションにも力を入れてます。がんだけでなく、今後は生活の質を高めながらの治療が病院の役割になってくると思いますね。当院では「病院総合力」をテーマに、いろいろな支援やケアができ、多くの職種が協力し合って提供できる医療をブラッシュアップすること、そして患者さんが厳しい状況を乗り越えていけるように支援をしていきたいと思います。

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泉 並木 院長

1978年東京医科歯科大学医学部卒業後、東京医科歯科大学第二内科に入局。1986年より武蔵野赤十字病院内科副部長、同消化器科部長、同副院長を歴任し、2016年院長に就任。C型肝炎ウイルスが発見される以前からインターフェロン治療に取り組み、肝がんのラジオ波熱凝固療法で世界的にも知られている。日本肝臓学会肝臓専門医であり理事、日本消化器病学会消化器病専門医であり財団評議員、肝炎治療戦略会議委員。

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