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一般財団法人天誠会 武蔵境病院

(東京都 武蔵野市)

天野 英介 院長

最終更新日:2020/11/25

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地域包括ケアの核として存在感を発揮

JR中央線・西武多摩川線の武蔵境駅から徒歩3分。住宅街の一角に、1954年の設立から一貫して地域の人の健康を見守り続けてきた「武蔵境病院」はある。自身も武蔵境で生まれ育ち、幼い頃は自宅に隣接した同院でよく遊んでいたという天野英介院長は、地域の人のかかりつけ医として信頼を集める同院の存在を最も身近に感じてきた一人だ。院長就任後は、高齢化が進む地域のニーズに応えるべく病院機能の見直しを図り、在宅医療システムの充実、情報通信技術による地域医療連携などを進めてきた。「地域包括ケアシステムの核になりたい」と話す天野院長に話を聞いた。
(取材日2019年10月30日)

まずは、病院の成り立ちと歴史から教えてください。

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当院の設立は1954年。私の祖父が、世田谷区の永福町で経営していた銭湯の土地が京王電鉄の車庫になるにあたってその権利を売り、病院が少ない地域を選んで建てたのが当院です。当時、武蔵境の駅前は畑ばかり。線路を走っていく中央線を、病院から一望できたと聞いています。設立当初は、国民病と言われていた肺結核を専門に診る病院でしたが、患者さんのニーズに合わせて内科、外科、小児科も診るようになりました。その頃はお産をする人も多かったので、産婦人科もあったそうです。現在は、内科・整形外科・リハビリテーション科を軸に、プライマリケアを担う地域のかかりつけ医としてご利用いただいています。地元に昔から住んでいる人たちは武蔵境を縮めて「境」と呼ぶのですが、当院も「境病院」と呼ばれて親しまれているんですよ。「体のことで困ったら境病院へ行く」と言ってくださる方が多いのはうれしいことですね。

地域包括ケア病床を開設し、在宅復帰にも注力されています。

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クリニックのような身近さが魅力の当院ですが、いざというときに入院できるベッドがあるのはやはり病院ならではの強みです。大病院と違って、「急な高熱で食事が取れない」といった症状でも受け入れが可能なので助かるという声を主に高齢の方から多くいただいてきました。こうしたニーズがより高まっていくことは明らかで、今後は入院して終わりではなく在宅復帰につなげる仕組みづくりが不可欠です。そこで、2017年に地域包括ケア病床を開設しました。急性期後、症状が安定した患者さんに対してリハビリを行い、在宅復帰をめざす回復期リハビリテーション病棟の内科版と言えばわかりやすいでしょうか。一定期間の加療を要する方、在宅療養中で症状の悪化やご家族の都合等により入院が必要な方など、疾患に関わらずご利用いただけるのが特徴ですね。安心してご自宅へお帰りいただけるよう、治療と並行して適切にリハビリを行っていきます。

地域密着型の医療が最大の特徴ですね。

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急性期を担う地域の基幹病院と当院では、求められる医療が大きく異なります。当院の役割は、患者さんが武蔵境という住み慣れた地域でできるだけ長く生活できるよう、医療・保健・福祉の面で支援すること。それが当院をはじめとした天誠会全体の目標であり、理念です。幸いにも、この地域は病院間の医療連携が充実していて、医師からコメディカルまで互いの強みと特徴を理解して協力し合うことができています。地域にも「体に関する不安なら境病院」「急性期なら武蔵野赤十字病院」といった役割分担が浸透しつつあり、各医療機関の役割を患者さん自身が把握して、症状や困りごとに応じて適切な医療機関を選択してくださっていると感じますね。私たちは、地域の皆さんが気軽に健康相談ができたり、ご家族に休息が必要なときに看護や介護のサポートを提供したりと、すべての人が安心して暮らし続けるための環境づくりをサポートしていきたいと思っています。

天誠会グループとしての活動についても教えてください。

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天誠会は、武蔵境病院のほかクリニック、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、認知症グループホームなどの事業所を有し、居宅系・在宅系のサービスを広く提供しています。いずれも、地域の高齢化に対応するため、これまで当院が培ってきたノウハウを生かしてつくられたものです。そのほか、武蔵野市からの委託を受けて、病児・病後児保育施設の運営も行っています。

最後に今後の展望をお聞かせいただけますか。

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今後は、高齢で体が不自由になり、病院に来たくても来られないという患者さんがさらに増えていくことでしょう。従来の「待つ医療」ではなく、こちらから患者さんのもとへ足を運ぶ医療でなければ、ニーズに応えきれなくなると感じています。そこで、当院では2014年から訪問診療をスタートし、在宅医療にも力を入れ始めました。訪問リハビリテーション、訪問看護、訪問介護のスタッフに加え、ママさん医師が加わってくれて、体制は充実してきています。すべてのスタッフが「地域の人を支えていこう」という意識を持って、自主的に動いてくれるのでとても助かっているんですよ。これからも、患者さん一人ひとりが持つ事情を踏まえて一緒に人生設計を考え、何かあったときに頼れるかかりつけ医として存在感を発揮していけたらと思っています。地域包括ケアの核として、システムの定着にも尽力していきたいですね。

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天野 英介 院長

1998年、東京慈恵会医科大学卒業。専門は腎臓内科。東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)で東京ERと呼ばれる総合救急診療部門の立ち上げに参加した後、武蔵境病院院長に着任。地域に暮らす人が医療や介護を継続して受けられるような仕組みづくりに尽力する一方、広く高齢者全般の診察にあたる。急性期を担う大規模病院で患者の病状を見極めてきた経験が、現在のプライマリケアに生きているそうだ。

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