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救世軍ブース記念病院

(東京都 杉並区)

及能 克宏 院長

最終更新日:2020/11/25

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ホスピスや特養を備え、最期まで見守る

東京メトロ・丸ノ内線の東高円寺駅より徒歩13分の「救世軍ブース記念病院」。大正初期にプロテスタントの団体が立ち上げた同院は現在、高齢者医療に力を入れ、院内外で患者の最期まで対応する病院として支持されている。療養病棟と緩和ケア病棟のほか、介護老人保健施設と特別養護老人ホームを持つ。キリスト教の愛の精神が病院の特徴にも反映されており、精神科を標榜するほか、常駐する牧師が患者の相談に対応するなど、精神的なサポートも行っている。今年で設立100周年。「患者さんのQOLを上げて、安らかな最期が迎えられるようバックアップしたい」と話す及能(きゅうの)克宏院長に同院の成り立ちや特徴を詳しく聞いた。(取材日2016年12月9日)

まずは同院の成り立ちについてお聞かせください。

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当院は院名にもあるように、救世軍という、キリスト教の会派・プロテスタントの社会福祉団体が立ち上げた病院です。救世軍は1865年、ロンドンの牧師であるウイリアム・ブースにより設立されました。その後、日本を訪れた救世軍のメンバーが当時まだ医療の後進国だった日本の状況を見て、医療機関の必要性を感じ、1916年に現在の場所に結核サナトリウムの「救世軍杉並療養所」を開設したことが始まりです。医療の高度化に伴い結核の治療が必要ではなくなったことで1968年に現在の院名に変わり、一般病院になりました。現在も宗教法人格である救世軍が運営しています。患者さんは信仰によらず、一般の方が広くご来院いただいています。

キリスト教の愛の精神が反映されているとお聞きしました。

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そうです。人間を体、心、社会的な立場などあらゆる角度から捉える全人的な医療を行うことが当院のコンセプトです。その意味で当院では精神科も標ぼうし、患者さんの精神的なサポートにも力を入れています。院内には牧師(チャプレン)が常駐していて、毎朝、院内で礼拝を行っています。礼拝には患者さんも参加でき、また、ご要望があれば牧師が患者さんのもとに行き、相談に耳を傾けています。特に入院患者さんは人との会話が減りがちですから、自分の思いを聞く人が常に近くにいるだけで、気持ちが楽になるケースもあります。牧師はカンファレンスにも参加して患者さんにどんな悩みがあるのかを話してくれるので、われわれ医療者もとても参考になり、治療に生かせることも多いのです。

療養病棟と緩和ケア病棟を備えられていますね。

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一般病棟32床、療養病棟147床、緩和ケア病棟(ホスピス)20床を備えています。また、老人保健施設「グレイス」を併設し、近くで特別養護老人ホーム「恵みの家」を運営しています。院内外で患者さんの最期までフォローできる体制を築いているのが強みと言えるでしょう。大学病院などは高度医療の提供が最優先事項なので、ご高齢の方は長く入院できないことが多々あります。当院ではそういった方を含め、活動性のある時期、落ち着いている時期、最期へ向かう時期と患者さんの状態によって柔軟に対応できます。ホスピスはキリスト教に端を発するもので、当院では2003年に開設し、抗がん剤治療が終わったり、行える状態ではなかったりして最期を迎えようとする患者さんを受け入れ、身体的、精神的な痛みを和らげて良い最期を迎えられるように努めています。

先生が神経内科を専門にしたのはなぜなのでしょうか?

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私が医者になった当時は検査機器が発達していなくて、MRIもまだ普及していない状況でした。そんな中、神経内科の先生が問診や触診、ハンマーなどを使った検査で腫瘍の場所を見事に当てる様子を目にしたのです。医者としての技術が磨けるのではないかとこの科を専攻しました。北里大学病院は病床数が多かったこともあり、たくさんの神経内科疾患の患者さんが来院していたので、トレーニングの場としては最適でした。それに加え、この道の権威である田崎義昭教授や古和久幸教授といった魅力的な先生がいたことも大きかったですね。私の専門はパーキンソン病や多系統萎縮症などの変性疾患です。これらの病気は特殊なトレーニングを受けていないと診断が難しく、また杉並区には神経内科に詳しい医師が少ないため、インターネットなどで私のことを調べて受診される方もいらっしゃいます。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

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当院は今年で100周年を迎え、11月に記念式典を開きました。式典の準備を進める中で病院の歴史を深く知っていったのですが、第二次世界大戦の最中に「鬼畜米英」と言われ、救世軍を名乗ることもできない中、良い医療を提供しようと先人たちが奮闘して時代を乗り越えたことには頭の下がる思いがします。そして現在の病院があり、院長を私が努めていることに感慨を覚えます。私が医者になった当時は患者さんの命を1分1秒でも長く持たせることが命題でしたが、現在は患者さんが自分の最期を選ぶ時代。ご高齢の方への医療に力を入れている当院の役割はますます大きくなるでしょう。今後、団塊の世代の方々が亡くなり人口ピラミッドが崩れると、保険制度なども変わるかもしれませんが、当院の理念は変わりません。全人的な医療をモットーに、患者さんのQOL(生活の質)を上げて安らかな最期が迎えられるよう、力を尽くしていきます。

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及能 克宏 院長

1986年に北里大学医学部を卒業後、同大学の神経内科に入局し、パーキンソン病や多系統萎縮症などの変性疾患を専門に診療を行う。1994年から旧国立大蔵病院(現国立成育医療研究センター)に勤務し、2001年に救世軍ブース記念病院へ。2014年、院長に就任。

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