医療法人社団 愛宝会 浜田山病院
(東京都 杉並区)
小瀬 忠男 理事長
最終更新日:2025/05/19


情熱と優しさで地域に届ける高度医療
1947年から浜田山の地で地域医療に力を尽くす「浜田山病院」。連日多くの患者が訪れる脊椎・人工関節の専門病院で、高度な治療・手術を長年追究し続けている。手術では、膝や股関節から肩、肘、足関節まで総合的に対応できる人工関節置換術をはじめ、圧迫骨折への先進的な治療、経皮的椎体形成術(BKP)、腰痛改善には脊髄刺激療法(SCS)、腰椎椎間板ヘルニアの治療には体に負担の少ない低侵襲内視鏡下椎間板摘出術(MED)など、さまざまな手術に対応可能。また、二次救急救急医療機関でもあり、スポーツ外傷、交通外傷、転倒による外傷など様々な整形外科疾患の手術にも対応している。ただし、同院の方針はあくまでも「患者第一主義」。手術を望まない患者のつらさには、ペインクリニック外科の外来で薬物療法や神経根ブロック、硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、トリガーポイント注射などを実施し、痛みの軽減とQOL向上を図る。「一人でも多くの患者さんを幸せにしたい」と、昼休み返上で患者と向き合い続ける小瀬忠男理事長に、診療方針や地域への思いについて話を聞いた。(取材日2025年2月20日)
まずは、病院の成り立ちをお聞かせください。

当院は1947年の開業以来、長く浜田山で診療してきた病院です。2016年に院長として着任が決まった際、地域に密着した当院の立ち位置はそのままに、大学病院と比べても遜色ない高度な医療が受けられる環境をつくろうと考えました。地域の皆さまの信頼によって成り立っている病院である以上、地域の皆さまにとってより良い病院をめざすのは当然のこと。診断から手術まで高いレベルで完結できるかかりつけ病院がそばにあれば、患者さんとそのご家族の負担を大幅に軽減することができるでしょう。おかげさまで、私が描く病院像に共感してくれる先生方が少しずつ増え、現在は腕の立つ先生方が整形外科、および内科の診療・手術をけん引してくれています。
整形外科には、どのような特徴がありますか?

一言でいうと、整形外科領域のあらゆる疾患について、幅広い選択肢から患者さんのニーズに合う治療法を選んで対応することができます。手術件数が非常に多く、難度の高い手術も頻繁に手がけていますが、決して「手術ありき」の病院ではありません。高度な手術ができることに執着し、医療の本質から離れてしまうことがないよう、常に「患者さん第一」の姿勢を徹底しています。どうしても手術はしたくない、という患者さんや、年齢や体力などを考慮して手術以外の方法が望ましい患者さんには、硬膜外ブロック注射、神経根ブロック注射、トリガーポイン注射などの治療法で改善を図りますので、安心してご相談ください。また、当院での治療を希望してくださるすべての方に門戸を開いている点も特徴です。宗教上の理由などで輸血を希望しない方も積極的に受け入れ、無輸血手術を行っています。
手術の強みも教えてください。

東京医科大学整形外科名誉教授、当院顧問でもある今給黎篤弘先生をはじめ、東京慈恵会医科大学外傷班で骨折の専門家の間浩通副院長、千葉労災病院で人工関節センター長を務めた清水耕先生、千葉大学卒業の、外傷を担当する竹内仁煥先生、脊椎内視鏡手術を担当する星尚人先生、慶應大学客員教授で心臓と救急分野で知られる廣谷隆先生など、各分野のスペシャリストがそろい、最新かつ最善の手術を提供すべく力を尽くしています。中でも人工関節については、膝、股関節肩、肘、足関節のすべてで人工関節置換術を行っており、通常の病院では対応が難しいリバース型の人工肩関節置換術にも対応しています。高齢の方の転倒や骨粗しょう症で起きやすい背骨の圧迫骨折には、低侵襲なBKP(経皮的椎体形成術)を行うことが多いですね。高齢の方の場合、内科的な疾患をお持ちの方も多いので、循環器や消化器の専門医と連携して術前・術後の管理を徹底しています。
地域とつながる機会も大切にしておられますね。

年に1度、公開講座を開催し、地域の皆さんと交流しています。公開講座といっても単なる座学ではなく、浜田山病院主催のお祭りのようなものなんですよ。前回は当院のスタッフが焼きそばを焼いたり、ヨーヨーの屋台を出したりして、無料で来場者に振る舞いました。地域と患者さんを思う気持ちが強く、愛情深いスタッフが多いので、主体的に取り組んでくれてとても助かっています。病気だけでなく、防犯や防災についても考える機会にしてほしいと思い、消防署や警察署にもご協力いただきました。また、地域医療の質向上に向けた取り組みの一環として、公益社団法人東京都柔道整復師会と医療連携協定を締結しています。強みが異なる医療従事者が互いに手を組むことで、適切な医療と迅速につながれる地域をつくっていきたいですね。
読者にメッセージをお願いします。

患者さんは20代の頃のように動ける体を夢見て受診されますが、現代の医療でそれをかなえて差し上げることはできません。その一点をもってしても、私たち医師に神の手がないことは明らかです。私たちにできるのは、患者さんの訴えを聞き、その痛みに文字どおり手を当てて、一緒に憂うこと。そして、現代における最新の医学に裏打ちされた最善の治療を、真摯に追究することです。実績におごらず、うぬぼれず、心を大切にする医療機関であり続けたいと思います。地域とともにある私たちは、困ったときのよろず相談所。体の痛みや不具合はもちろん、その他の体の不調についても、お気軽に相談にいらしてください。回復期リハビリテーションにも力を入れ、充実した施設と17人の情熱あるスタッフが社会復帰をサポートします。

小瀬 忠男 理事長
1988年東京慈恵会医科大学卒業後、同大学整形外科教室に入局。神奈川リハビリテーション病院、松本病院に勤務、東京慈恵会医科大学附属青戸病院整形外科医長、総合川崎臨港病院整形外科部長などを経て、2016年に現職。日本整形外科学会整形外科専門医。