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荻窪病院

(東京都 杉並区)

布袋 祐子 病院長

最終更新日:2024/04/02

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DXでさらに進む、患者目線の温かな医療

荻窪の地に根差して90年の「荻窪病院」。航空機メーカーの医務室を原点に、時代のニーズに応えながら地域に必要とされる医療を提供し続けてきた。三次救急病院がない杉並区において同院が担う役割は大きく、252床の中規模病院ながらも、地域の医療機関と連携して多数の救急受け入れを行うほか、専門的で高度な診療を通じて区民を支えている。そんな同院について、「医療の質の高さはもちろん、職員たちのチーム力はどこにも負けません」と笑顔を見せるのは病院長を務める布袋祐子先生だ。そのチーム力と、近年力を入れているという業務のデジタル化、「DX」を通じ、「患者目線の温かな医療を追求したい」と語る病院長。「デジタル化」「DX」と聞くと無機質な印象を受けやすいが、むしろその逆だという病院長に、デジタル化の背景にある考えや具体的な取り組み、病院を束ねるトップとしての想いなどについて語ってもらった。(取材日2024年1月10日)

歴史ある病院ですが、まず概要について教えてください。

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当院がスタートしたのは1933年。航空機メーカー、中島飛行機の東京工場内にあった医務室がその原点です。その後、医療法人となり昨年、設立90周年を迎えました。杉並区は三次救急病院がないこともあり、医療機関同士の連携が欠かせません。その中で、私たちは急性期医療を担う中核病院として、開業医の先生方や民間病院と協力し合って区民の健康を支えてきました。252床の中規模病院ですが、400床の病院にも負けないくらいの働きをしてきたという自負があります。そう思えるのは、診療科の垣根を超えてドクター、スタッフが協力し合えるアットホームな風土と、一人ひとりの柔軟な姿勢があるから。コロナ禍での対応は、それを象徴するものでした。役職や職種に関係なく、全職員が地域のため・患者さんのために一丸となって動いてくれたことに心から感謝していますし、そんな職員がそろっていることが当院の一番の強みだと思っています。

診療面の特徴についてはいかがでしょうか?

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診療においても、チーム力が発揮されていると感じますね。例えば、心筋梗塞や大動脈解離といった心臓・血管疾患に関しては、循環器内科と心臓血管外科分野が連携し、24時間365日体制で専門的な治療を提供しています。胃・大腸がん、胆石症などの消化器疾患に関しても、内視鏡検査・治療を行う消化器内科と、腹腔鏡手術を強みとする消化器外科による迅速な連携で、質の高い診療を行っています。また、中規模病院ならではの情報共有のしやすさにより、関連部署を横断したスピーディーな検査・診察を行えるというメリットも。これは、患者さんにとっても安心できる点だと思います。他にも、こうしたチーム力を生かしながら、専門性高い整形外科診療、血友病などの血液凝固異常に関する診療、不妊治療などに力を入れています。

院長になられてから注力して取り組んでいることは?

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トータル・クオリティー・マネジメントを担うTQM推進部長を兼任していることもあり、業務のデジタル化に力を入れています。当院では、以前から医療の質を担保するための効率化に取り組んできましたが、労働人口が減少する中で人の力だけでは限界があると感じ、機械にできることはお願いしようと考えたのがきっかけです。デジタル化と聞くと冷たい印象があるかもしれませんが、むしろ逆。人にしかできないことに焦点を当て、患者さん目線の温かな医療を提供するためのものだと考えています。例えばデジタル化の結果、定型業務にかかっていた時間を年間で6000時間相当削減できました。これによりスタッフの負担軽減につなげられたのは素晴らしいことですが、一番大事なのはその時間をどう使うか。事務作業は機械にできるけれど、患者さんと向き合うことは医療従事者にしかできませんから、そのための時間を増やせたことが何よりの収穫だと思います。

デジタル化を進める上で、周囲の反応はいかがでしたか?

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ほかにも、AIを用いた問診ツールや検査・治療の説明用動画の運用などを行っていますが、最初はスタッフから不安の声もありました。そこで、まず私の専門である皮膚科で導入し、形で示したんです。何でもそうですが、言葉だけでは説得力がないですから。結果的に浸透するのは早かったですね。患者さん側も、お孫さんとSNSでやり取りしていることもあってか、高齢の方にもスムーズに受け入れていただけました。もちろん何が何でもデジタルでというわけではなく、状況に応じて従来の方法を使うこともあります。例えばアトピー性皮膚炎の方の場合、全身をよく診て触った上で薬の量や塗り方などを調整する必要があるので、動画ではなく口頭で説明をしています。医療は個別性が高く、対面でなければできないことももちろんあるので、そこを見極めながら今後もデジタルを活用していきたいですね。

最後に、読者や地域住民に向けたメッセージをお願いいたします。

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病院長になって2年たちますが、今も外来を担当していますし、1日に1回は必ず病棟を回って患者さんやスタッフの様子を見に行くようにしています。やっぱり私は人と接することが好きですし、丁寧なコミュニケーションが土台にあってこそ、患者さんに寄り添えるのではないかと思うからです。「寄り添う」とは、マニュアルにとらわれず患者目線のサポートをするということ。そのためには自分の背中を見せつつ、職員一人ひとりが人間力を高めて「人」にしかできない仕事に力を注げるよう、バックアップしていきたいですね。少し前から「患者さん、地域のために持続的な健康と幸せを」というパーパス(存在意義)を掲げているのですが、めざすゴールはそこです。パーパスの実現に向けて、これからも地域の皆さんに「荻窪病院があって良かった」と思っていただけるような、温かな医療の提供をめざします。お困りのことがありましたら、ぜひ相談にいらしてください。

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布袋 祐子 病院長

1992年慶應義塾大学医学部卒業。自己免疫性水疱症、アトピー性皮膚炎、じんましん等が専門。医学博士。慶應義塾大学皮膚科学教室非常勤講師。日本皮膚科学会皮膚科専門医。医師としてまず患者の全身を診ることを信念に、難治性皮膚疾患治療に取り組む。2022年5月の病院長就任後は、職員や患者の声を聞くために院内を回ることが日課に。

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