2タイプあるアレルギー性鼻炎
原因物質の特定がポイント
立正佼成会附属 佼成病院
(東京都 杉並区)
最終更新日:2021/10/05


- 保険診療
- アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎とは、アレルゲンと呼ばれるアレルギーの原因物質が、鼻の粘膜を刺激することによって、くしゃみ、鼻水などの症状を引き起こす疾患のこと。代表的なアレルゲンとして、スギ花粉やダニ、ハウスダストなどが挙げられる。人によって症状の原因となるアレルゲンは異なり、複数のアレルゲンを持つケースも少なくない。近年、多くの人が悩むこのアレルギー性鼻炎をはじめ、幅広い鼻疾患に対応し、手術にも注力してきたのが杉並地域の中核病院である「佼成病院」だ。院長の甲能直幸先生は、「診療科にとらわれない全病院的な治療」をモットーとしている。耳鼻咽喉科のスペシャリストとして、他科とも連携しながら治療にあたる甲能院長に、アレルギー性鼻炎の症状や治療について話を聞いた。 (取材日2020年10月6日)
目次
アレルゲンに一定期間さらされることで発症。薬で症状を抑えることをめざす
- Qアレルギー性鼻炎にはどのような症状が見られますか?
- A
他科と連携をするなど総合病院ならではの治療を実現
主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻詰まりです。また、目にかゆみや充血、異物感が現れたり、顔の皮膚にもかゆみ、ぴりぴり感などが出たりします。アレルギー性鼻炎は、季節性のものと通年性のものに分けられますが、季節性の場合は風邪の症状と似ていて、判別しにくいケースがあります。一方、通年性の場合は一年を通じて症状が見られ、特に朝に症状が出やすいのが特徴です。
- Q何が原因で発症するのでしょうか?
- A
耳鼻咽喉科の診察室
アレルゲンと呼ばれる原因物質に一定期間さらされることによって発症します。アレルゲンにさらされると体内に抗体ができ、原因物質を体の外に排出しようとする働きが起きます。その結果、くしゃみや鼻水が止まらなくなるのです。季節性アレルギー性鼻炎のアレルゲンとして特に多いのは、スギ、ブタクサなどの花粉です。通年性アレルギー性鼻炎の場合は、ハウスダスト、カビ、ペットの毛、そば殻などさまざまなものが挙げられます。また、遺伝的な影響もあるといわれています。
- Q診断はどのように行われますか?
- A
問診やさまざまな検査を通して原因物質を特定する
まずは問診で、どのような自覚症状があるかをはじめ、ペットを飼っているかどうかなどその方の生活環境や、他のアレルギー疾患など既往歴の有無について、詳しく聞いていきます。その後、パッチテストと呼ばれる皮膚アレルギーテストを行い、アレルゲンを特定するのに加え、鼻水を採取して調べたり、血液検査をして抗体の値を見たりすることもあります。また必要に応じて、エックス線やCT、MRIによる画像検査を行い、副鼻腔炎などの合併症がないかどうかを確認します。
- Q治療について具体的に教えてください。
- A
治療方法について説明する甲能院長
抗ヒスタミン薬やステロイド薬を用いて、アレルギー反応を起こす物質の働きを抑えていきます。アレルギー性鼻炎の薬にはさまざまな種類があるため、適切なものを選ぶことが重要です。症状がひどい場合には、鼻水の吸引、薬の噴霧、ネブライザーと呼ばれる機器を使って吸入を行うこともあります。また、アレルゲンを皮下や舌下から少しずつ取り入れ、徐々に体を慣れさせていく「減感作療法」も有用です。症状が重く、副鼻腔炎などを合併している場合は手術も検討されます。
- Q手術は、どのような機器を用いて行うのですか?
- A
当院はアレルギー性鼻炎をはじめとした鼻疾患の手術に力を入れており、鼻専用の内視鏡や先進的なナビゲーションシステムを導入しています。こうした機器の活用によって、手術中の副鼻腔内の状態や手術器具の位置をリアルタイムで把握しやすくなり、損傷リスクや患者さんの負担の軽減を図ることが可能になりました。近年の手術は、低侵襲や短期入院が重視される傾向にあるため、当院もそうしたニーズに応えられることをめざしています。

甲能 直幸 院長
1974年慶應義塾大学医学部卒業、医学博士。専門分野は頭頚部腫瘍。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本気管食道科学会気管食道科専門医。