学校法人 国際医療福祉大学三田病院
(東京都 港区)
池田 佳史 病院長
最終更新日:2024/05/30
患者をトータルに診るチーム医療にも注力
前身となる病院が港区三田に誕生して約90年。2005年に開設された「国際医療福祉大学三田病院」は東京都心の地域医療支援という長年の役割を受け継ぎながら、急性期医療に貢献できる診療体制の充実にも努めてきた。診療科の拡充やセンター化による診療科間の連携強化を進め、「2012年に完成した現在の建物は11室もの手術室を備え、ハイブリッド手術室も設置されるなど、多数の外科手術がスムーズに行える環境となりました」と池田佳史病院長は言う。「特に超高齢社会の中で増える心筋梗塞や脳卒中には、循環器内科、脳神経外科で24時間対応可能です」。こうした救急医療に加え、同院はがん診療における地域の基幹病院として、内視鏡検査から各種の治療、緩和ケアまで広く対応する。さらに循環器のカテーテル治療、肝臓・胆道・膵臓分野の治療、頭頸部腫瘍の治療などに強みを持ち、泌尿器科や婦人科でのロボット支援手術にも取り組んでいる。「これからも急性期医療と地域医療の両方を重視する方針は変わりません」と話す池田病院長に同院の特徴などを聞いた。(取材日2024年4月30日)
病院の成り立ちや地域での特徴などをお聞かせください。
1933年の開設時は大蔵省所轄病院で、その後は日本専売公社東京病院や東京専売病院として長く地域密着の医療を展開してきました。2005年に国際医療福祉大学三田病院となってからは、地域のためにも高度医療を充実させる方針を掲げ、現在までに診療科の大幅な拡充、関連する診療科の連携を強化するセンター化などを推進してきました。特に2012年に病院の建物を新築した際には、291床という中規模な病院ながら手術室を11室設け、うち1室はハイブリッド手術室にするなど、多数の手術を実施できる環境も整えています。さらに2023年には国産の手術支援ロボットを導入して、まずは泌尿器科と婦人科で保険診療で手術できるようになりました。また、当院は大学病院ですから、こうした先進的な医療に加えて医療福祉分野の教育・研究にも力を入れ、学生や臨床研修の医師を多く受け入れているのも特徴の一つといえるでしょう。
診療科の拡充はどのように進んだのでしょうか?
2005年の当院開設時に頭頸部腫瘍センター、消化器センター、呼吸器センター、予防医学センターなどを設置したほか、初代病院長の専門である消化器外科を中心に外科系の診療科から強化が進みました。その後、2代目病院長の専門である循環器内科が発展してカテーテルによる血管内治療が盛んになり、次の病院長の時代から消化器分野の中でも肝・胆・膵(肝臓・胆道・膵臓)の手術が多く行われるようになっています。このように外科手術が急増する中、麻酔科を専門とする前病院長が就任したことで、安全に配慮して手術が行えるようサポートする麻酔科も充実しました。一方で当院には東京専売病院の頃からの患者さまを含め高齢の患者さまも多く来院され、生活習慣病など複数の病気がある方も珍しくありません。そのため内科全般に加え、糖尿病、高血圧、腎臓病などを診る内科系の診療科も設け、急性期医療と地域医療の両立を図っています。
改めて急性期医療での特徴を教えてください。
一つは救急医療で、救命救急センターが重篤な患者さまを診るのに対し、当院は重症の方を広く受け入れる二次救急医療機関の役割を担っています。救急車の到着に合わせて対応できる医師が診療にあたりますが、循環器内科と脳神経外科は24時間治療可能な体制で、超高齢社会を迎えて急増する心筋梗塞や脳卒中への対応を充実させています。さらにハイブリッド手術室のおかげで血管内治療と外科治療の連携がスムーズな点も強みも一つ。また肝・胆・膵分野は現在も多くの患者さまを診ていますし、将来は肝臓のほか食道、大腸などのロボット支援下手術も検討しています。開設当初からある頭頸部腫瘍センターでは頭部や口腔内の腫瘍の治療、耳鼻咽喉科領域の人工内耳などで手術件数が多いのも当院の特徴です。また私の専門として、消化器分野の経験を生かした甲状腺の内視鏡治療の件数を増やし、首に傷痕が残りにくい治療法を実践できる医師を多く育てたいですね。
地域医療ではどんな点が強みなのでしょうか?
患者さまをご紹介いただく先生方とは互いに顔の見える関係をめざして連携を深めています。2023年には医療機関から当院の心臓外科の医師に24時間365日連絡できる「心臓ホットライン」を開設。専門の医師に直接ご相談いただくことで、より迅速に適切な対応が可能になりました。緊急と考えられるケースや手術の適応に迷われるケースなど気軽にご相談いただければと思います。また、地域の患者さまに「また来たい」と思っていただけるホスピタリティーも当院の大きな強み。単に対応が親切というだけでなく、医療職から事務のスタッフまで患者さまのことを第一に考え、慢性の腎臓病で来院された方には背景にある糖尿病を念頭に置き、目が悪くなったと聞けば糖尿病網膜症も考慮するなど、一人の患者さまをトータルに診ることを大切にしているからです。このほか日本語を母語としない患者さまには、当院の国際室で英語と中国語の医療通訳により対応可能です。
今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。
当院は前述した以外にも、がん診療では内視鏡での検査のほか、内視鏡治療およびロボット支援下手術も含む外科手術、放射線治療、抗がん剤治療、緩和ケアと広く対応。また、不整脈の原因部分をカテーテルで処置するアブレーション治療、心臓のペースメーカーにつながるリード線(電線)をカテーテルで抜去する手技、指定難病である肺動脈性肺高血圧症の治療など、診療面でまだまだ多くの強みを備えています。さらに今後は健康診断や人間ドックなど予防医療にも力を入れ、健康で長生きできる地域づくりへの貢献にも力を入れていきますので、地域の先生方からのご紹介の際にはぜひ当院を選んでいただければと思います。また、診療科同士が深く連携する体制にとどまらず、センター同士が連携し、さらには病院全体での連携がスムーズに機能するような体制づくりも進め、急性期医療と地域医療のさらなる充実を図りたいと考えています。
池田 佳史 病院長
1988年慶應義塾大学医学部卒業。初期研修後は慶應義塾大学医学部外科学教室に入局、大学病院消化器外科のほか、足利赤十字病院、福生病院で経験を積む。2002年に帝京大学医学部に籍を移して講師、准教授を担う。2014年から国際医療福祉大学三田病院消化器外科教授として勤務、副院長、消化器センター長を兼任。2019年から2024年3月まで国際医療福祉大学熱海病院で病院長を務めた後、2024年4月から現職。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/6万8200円~