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ロボティックアーム支援で行う
変形性股関節症の人工関節手術

NTT東日本 関東病院

(東京都 品川区)

最終更新日:2022/06/20

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  • 保険診療
  • 変形性股関節症

股関節などの関節の痛みや動かしづらさを感じる患者は、高齢者だけでなく若い人にも多いというのは、「NTT東日本 関東病院」の人工関節センター長・大嶋浩文先生だ。「症状の原因の一つである変形性股関節症は、股関節の発育不全に起因することが多く、40代、50代から増える病気なのです」。最近はこうした症状を薬で抑えていくほか、人工関節への置き換えで痛みや動かしづらさの解消をめざす手術も盛んになっているという。「加えて、手術の精度や安全性を高めることをめざしたロボティックアーム支援による人工関節の手術も保険診療でできるようになり、治療の選択肢は広がっています」といい、生活の質の大幅な向上にも期待できるそう。人工関節手術のメリットや手術後の注意点などを大嶋先生に詳しく聞いた。(取材日2021年9月15日)

寿命が延びた人工関節のメリットを生かす、ロボティックアーム支援による正確性・安全性重視の股関節手術

Q変形性股関節症の原因や治療法などを教えてください。

A

変形性股関節症について語る大嶋先生

変形性股関節症は股関節に痛みや歩きづらさを感じる病気で、日本人の場合は寛骨臼形成不全などによる「股関節のかぶりの浅さ」が主な原因といわれます。子どもの頃に股関節の治療を受けた方などは、股関節分野に詳しい整形外科に一度相談されるといいでしょう。今は痛みがなくても、将来の見込みと対策などを説明してもらえると思います。治療法は薬で痛みを抑えていきつつ、体重を管理して関節への負担を減らす、適切な運動指導で筋力や柔軟性を高めることをめざす、といった保存療法から始めます。痛みが強い場合、注射薬で痛みをブロックする目的の治療の併用も考えられます。これらで症状の緩和が難しい患者さんは、手術も選択肢になります。

Q手術で人工関節への置き換えもできると聞きました。

A

症状によってさまざまな手術が行われる

変形性股関節症の初期にはご本人の関節を残す関節鏡視下手術や骨切り術、症状が進んだ方は人工関節に置き換える手術が行われます。特に人工関節は痛みや歩きづらさの解消、生活の質の大幅な向上に期待でき、病気の初期でも人工関節を希望される方が増えています。さらに、人工関節の材質が長期間使えるよう進化し、安全重視で手術できる環境も整備され、将来の再手術のリスクが減り、50代くらいの患者さんも積極的に選択されるようになりました。この病気は生命を脅かすものではない一方、日常の動作に支障があるなど生活面に大きな影響を与えます。このため手術の適用は、患者さん自身が暮らしの中でどの程度お困りかが判断基準になります。

Qロボティックアームによる手術は通常の手術とどう違いますか?

A

ロボティックアームを用いることで、通常より精密な手術が可能に

人工関節の手術に用いるロボティックアームは、事前に立てた計画どおりに手術ができるよう、手術器具を持つ医師の手と腕の動きを補助・抑制する働きをします。たとえ医師の経験や技量に差があっても、手術は高い精度と安全性が追求でき、費用は通常の手術と変わりません。さらに人工関節がより使いやすくなる点も重要です。寿命が延びた人工関節とはいえ、設置する位置が適切でなければ、次第にゆるみや不具合が起きて再手術に至ることも考えられます。その点、ロボティックアーム支援の手術なら適切な位置に設置することで、脱臼リスクの軽減が図れます。左右の足の長さをそろえ、手術前より歩きやすくなったと感じられるようにしていきます。

Qこちらのロボティックアーム支援手術の流れを教えてください。

A

先進の機器とスタッフ同士の連携で精密かつスムーズな手術が可能

人工関節センターでは、人工関節手術の精度・安全性を高めるため、以前からコンピューターナビゲーションシステムを用いてきました。これは股関節の3D画像をもとに、コンピューターシミュレーションで人工関節の適切な位置を検討、その結果を手術箇所の映像と重ねて表示しながら手術する手法です。ロボティックアーム支援の手術でも同様に位置決めを行った上で、術者の手と腕の動きをロボティックアームがサポートすることで、シミュレーションどおりの手術が可能になりました。一般的に手術時間は通常の手術より長くなる傾向ですが、当センターでは人工関節を専門にした医師、スタッフの密接な連携で手術時間を同程度にするよう努めています。

Q人工関節の手術直後、または日常生活での注意点はありますか?

A

術後はリハビリテーションによって支障のない日常生活へ

手術翌日から股関節に全体重をかけて歩ける方がほとんどですが、筋力や可動域の回復、歩き方の癖の調整など、機能改善を図るリハビリテーションは欠かせません。さらに、普段の生活が椅子中心なのか正座が多いのかなどにより、機能改善の目標も変わります。当センターでは最初にしっかりと筋力回復や歩き方のトレーニングをしていただくため、手術後1週間から10日間ほどの入院リハビリテーションを目安としています。日常生活の注意点はほとんどなく、適度なランニング、趣味のテニスやゴルフも問題ありません。ただ、跳躍を繰り返したり体がぶつかったりするサッカー、バスケットボールなどは人工関節の損傷が考えられ難しいでしょう。

Qこちらで股関節の治療を行うメリットを教えてください。

A

当センターは股関節のほか、膝関節、肩関節に対して人工関節による治療を行うチームで、それぞれの関節を専門とする医師、人工関節の手術に習熟したスタッフがそろっています。また、空気浄化のフィルター数が多く、清潔度の高い手術室を持ち、ロボティックアーム支援のほかリアルタイムナビゲーションで手術を行うシステムも導入するなど、設備面でも充実しています。このほか整形外科全体では保存療法、人工関節以外の手術も実施し、ペインクニックによる痛み緩和のためのケアも行うなど、患者さんに合ったアプローチが選べます。さらに心臓や腎臓などに病気がある患者さんも、他の診療科と協力して治療できる総合力も強みです。

患者さんへのメッセージ

大嶋 浩文 人工関節センター長

2004年弘前大学医学部卒業後、東京大学整形外科学教室入局。同大学医学部附属病院、JR東京総合病院、心身障害児総合医療療育センター、東京都立広尾病院、東京逓信病院などを経て、入職。2021年から現職。日本整形外科学会整形外科専門医ほか。専門は股関節外科、人工関節。

人工関節をはじめ手術による股関節の治療は、患者さんのご希望をもとに行うのが一般的です。このため痛みや不調を我慢しがちな方は、手術のタイミングが遅くなることもあります。時期が遅くても手術で症状の改善は図れますが、筋力の低下や可動域の減少が進むと、手術後の歩行がスムーズにならないことも考えられます。当センターは患者さん自身が人工関節を入れたことさえ忘れる“forgotten joint”を目標に、ロボティックアーム支援による人工関節手術と、一人ひとりの暮らし方に合わせたリハビリテーションに力を入れています。治療法も手術以外にさまざまな選択肢をご案内できますので、一度ご相談いただければと思います。

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