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阿部病院

(東京都 品川区)

木島 澄子 院長

最終更新日:2020/11/25

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最期のその日まで幸せに過ごすための医療を

都営浅草線五反田駅から徒歩2分、JRや東急池上線五反田駅からは徒歩4分。「阿部病院」は開業して65年、かかりつけ医として長く地元に貢献してきた。父親の後を継いで2代目院長となった木島澄子先生は、笑顔の優しい女性医師だ。患者の話によく耳を傾けてくれると評判で、取材中、質問に「とは思うものの、未熟者で」「そのように努めてはいるけれど、できるとは限りません」など謙虚な答えが返ってくることがしばしば。患者に誠実に寄り添おうとする先生の姿勢が見えてくる。医療療養型の病院として、日々患者に向き合い、終末期医療の困難さをよく知っているからこそ、安易な答えは返さないのだろう。誰にでも必ず訪れる人生の最期をどう迎えるのか。考えさせられる取材となった。
(取材日2014年8月18日)

こちらはたいへん歴史のある病院と伺いました。

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父が開業したのが1948年のことですから、今年で69年になりますね。周辺の様子は随分変わりました。かつては駅前に東京初の横断歩道橋がかかって、その下を銀座方面へ行く都電が走っていました。その頃からずっとあるわけですから、古いと言えば古いですね。時代とともに住んでいる方にも移り変わり、以前はたくさんあった小さな飲み屋さんや町工場はすっかりなくなりましたね。一方で、離れた土地からでも変わらず通ってくださる患者さんがたくさんいます。その他はご近所にお住まいの方、近辺の会社にお勤めの方たちですね。一般的な内科ですから、風邪の方やおなかが痛い方など、患者さんの症状はいろいろです。また「何がブツブツができた」とおみえになれば皮膚科へ、「目がおかしい」とご相談があれば眼科へ、と別の病院へご案内することも多いです。何も特殊なことはしていませんが、皆さん早く元気になってほしいなと思いながら診療しています。

診療で心がけていることを教えてください。

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患者さんがどのような人生を送りたいのか、どのような終末期を迎えたいのか、などのご希望を汲み取ってサポートすることを心がけています。直接お話できない方の場合は、ご家族と治療方針を決めています。患者さんの話を丁寧に聞くことに力を入れていますが、まだまだ満足してはいません。患者さん個人個人が病院に望むことは違うと思ますし、医師との相性だってあるでしょう。「ここでいい」と思ってくださった方を、どなたでも幅広く受け入れる、それだけのことですよ。また当院は、急性期医療を終えた方の長期医療を目的とした病院、いわゆる「老人病院」としての機能を有しています。ですから入院患者さんは、症状が慢性期の状態にあり医療を必要とする方たちとなります。現在84床ありますが、長く入院していらっしゃる方もいれば、ほんの数日の入院という方もいらっしゃる。滞在期間は病気の種類、程度によって違います。

終末期医療については人によっても考えが違いますね。

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終末期医療については、国の方針もどんどん変わりますし、医師の中でもいろいろな考え方があります。経済にも関係するし、宗教観もからんでくる。一律にこうだとは言えない難しい問題ですね。今日は「これで正しい」と思ったことも、明日には別の考えになるかもしれません。例えば、当院を手伝ってくださっている渡辺敏恵先生は『自分らしい「生き」「死に」を考える会』を主宰しており「最期まで自分らしく生きるために」どうしたらよいかを積極的にお考えになっています。それに賛同なさる方もいれば、違う考えをお持ちになる方もいらっしゃるでしょう。フランスでは延命治療としての胃ろうに疑問の声が上がり、法律的に「延命中止も合法」とする尊厳死法が成立したことで胃ろうが激減したそうです。安楽死についてもアメリカでは州によって法律が違いますし、それだけ終末期医療という考え方に幅があるということですね。

医師を志されたのはお父上の影響からでしょうか。

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私は消去法で医師になったようなものなんですよ。私の年代で女の人が何か職業に就こうとすると、看護師か医者か、それぐらいしか選択肢がなかったわけです。それに父を見ていて、医師は楽かなと思ったものですから(笑)。自身の健康で気をつけていることは、よく食べることです。与えられたものはなんでも。食べられるということ自体が幸せですもの。好き嫌いはありませんが、ラードは避けています。トンカツのヒレとロースを選ぶ時はヒレを選びます。患者さんの食に対してアドバイスを行うときは、症状の程度やその方の状況にあったお勧めをするようにしていますよ。バナナだったら赤ちゃんからお年寄りまで食べやすいですけれど、梨のような固い物はお年寄りはそのままでは召し上がれないでしょう。単純に「体にいいからお食べなさい」とは言えませんから、ケースバイケースでお話しています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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患者さんにして差し上げたいことや課題はたくさんありますが、特に看護師や看護助手などのスタッフを充実させていきたいですね。看護師は多ければ多いほど、そして一人ひとりが看護を熟知していればいるほど、患者さんにコンタクトできる率が高くなるわけですから。皆さんには、親御さんが元気な間に、また言葉を話せるうちに、胸の内をお聞きになってほしいとお伝えしたいです。新聞の記事や、関連書物を一緒にご覧になるのもよいと思います。お若い方に終末期医療や介護のお話をしても、なかなかピンと来ないものです。ご両親が病に臥せったり、介護施設に通い始めたりした時、初めてご自分の問題としてお考えになるのでしょう。人は育った環境も違えば、考え方もいろいろです。最期のその日までハッピーに過ごしていただければと願って診療していますが、それを実現するのは難しいことです。だからこそ、生きている時間を大事に、楽しく過ごしてくださいね。

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木島 澄子 院長

1970年東京女子医科大学卒業。卒業後、父から同院を受け継ぎ、2代目院長として地域に寄り添う医療に励む。診療においては患者とその家族の声に耳を傾け、丁寧な医療計画を立案することを心がける。健康法は「よく食べること」。患者に食のアドバイスを行う際は、一人ひとりの症状や生活習慣に応じた食材や献立を勧めているという。

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