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医療法人社団 緑水会 横浜丘の上病院

(神奈川県 横浜市戸塚区)

畑 俊彰 病院長

最終更新日:2023/10/31

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戸塚区で地域の精神科医療を支えてきた病院

戸塚区平戸にある「横浜丘の上病院」は地域の精神医療を支えてきた病院で、2023年で65周年を迎える。病院運営を担うのは3代目の畑俊彰院長。祖父が開設し、父が発展させてきた病院を守り、社会や時代に求められる医療の提供を多くの職員とともにめざしている。病院の開放化、自由化、民主化を理念に、医師や看護師、精神保健福祉士(PSW)、公認心理師、作業療法士などの多職種連携を重視して、患者の自主性や気持ちを大切にした診療を心がけているという。院内行事やリハビリテーションにも力を入れるほか、社会復帰をめざして退院後の患者にも訪問看護やデイケアで手厚くサポートする。また、精神科の敷居を低くして精神科診療を適切に提供したいという畑院長は、外来診療の受けやすさにも尽力。不眠や気分の落ち込みなど些細な症状にも対応し、予約なしでもその日のうちに診療を受けられるように配慮している。ストレス社会での不安や孤立にも対応して、地域に貢献したいという畑院長に、病院の成り立ちや診療の特徴を聞いた。(取材日2022年7月21日/情報更新日2023年8月31日)

まず、こちらの病院の成り立ちやあらましを教えてください。

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当院は精神科病院として65年にわたる歴史を持ち、さまざまな変革を経て現在に至ります。1958年に祖父である畑栄治が個人病院として「戸塚山谷病院」を開設したのがスタートで、その後、1976年に父の畑俊治前院長が診療に加わり、閉鎖病棟の半分を開放病棟に変え、患者さん同士が話し合う患者ミーティングや精神保健福祉士(PSW)の採用を始めました。ちょうど新しい薬物療法が登場して統合失調症の患者さんの症状改善が期待できるようになり、精神科医療が変化し始めた頃で、当院は率先して病院の在り方を改革したわけです。2003年には医療法人となり「横浜丘の上病院」に改名しました。私は、2005年から常勤医、2013年に院長に就任しました。現在は全218床で、精神一般病棟、精神療養病棟と、32床の急性期治療病棟を有しており、ゆっくり療養が必要な患者さんから、早期退院をめざす患者さんまで幅広く対応しています。

どのような患者さんが多いのでしょうか。

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症状としては、統合失調症、うつ病、躁うつ症、発達障害、知的障害、さまざまな神経症、適応障害などです。患者さんは、横浜市を中心に神奈川全域から来られます。心療内科や精神科といったクリニックからの紹介も多いですし、区役所など行政からの紹介も多いですね。救急受け入れについては、神奈川県と横浜市、川崎市、相模原市と連携して、精神科救急医療システムに参加しています。重い身体症状のある患者さんは受け入れられませんが、内科疾患などの通院レベルの患者さんでしたら、当院にて入院受け入れをしています。患者さんの年齢は幅広く、最近は女性の患者さんが多くなっています。ストレス社会で不安やつらい気分を感じたり、不適応を起こしたりという方が増えていると感じています。近隣のクリニックなどとも連携して、日頃から訪問看護を多めにするなど手厚いサポートを心がけています。

診療面での特徴について聞かせてください。

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当院は「患者さん自身の自己治癒力を引き出す治療と看護、病院の開放化・自由化・民主化、地域社会への参加とノーマライゼーション」を理念としており、患者さん自身の要望や考えを重視して、自主的に考え行動する機会や時間、環境を設けていることが特徴です。閉鎖病棟の患者さんも症状が落ち着いていれば、医師の判断のもとで自由に散歩などをされています。また精神保健福祉士(PSW)、作業療法士、公認心理師、栄養士などの多職種連携も特徴です。幻覚・妄想などの陽性症状は薬物療法で治療することも多いのですが、引きこもり、何もしたくないなどの陰性症状は薬物療法では成果が期待できないこともあります。そこで、医師や看護師、作業療法士や精神保健福祉士(PSW)が連携して行事やリハビリテーションを行い、その中で患者さんの不安や悩みを理解して解消に努め、社会に順応できるように進めていくことを心がけています。

診療する上で大切にしているのはどのようなことですか。

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患者さんとよく話して信頼関係が構築できてから、本当の治療が始められると思っています。そして疾患にもよりますが、疾病教育が重要と考えています。疾病教育により、例えば「幻聴が聞こえるのは病気のせいだ」と患者さん本人が理解する「病感」を持てるようにするのです。病感があると治療が進みやすく、退院後も症状が落ち着き、再入院が少なくなることが期待できます。精神科疾患の場合、退院がゴールではなく、日常生活が送れるようになり社会復帰することがゴールと考えていますので、退院後の訪問看護やデイケアサービスも重視しています。デイケアではリハビリテーションや就労前準備・就労後支援などのプログラムを用意しており、ここでも精神保健福祉士(PSW)や障害者の雇用環境の専門家といった多職種が活躍しています。現在も毎月の行事や地域の方との交流も積極的に行っております。

地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

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今後も患者さんの立場を重視した医療を提供し、開放化・自由化・民主化とともに患者さんの「心のバリアフリー」を実現できるよう、医局・病棟・外来・デイケア・訪問看護室・作業療法室・地域生活支援室など各部署が連携して、地域の精神医療に貢献したいと考えています。そして「精神科の病院は敷居が高い」と思われる方も少なくないので、一般の方にも精神科病院のあり方をご理解いただけるように積極的な発信も行いたいと思います。外来診療に関しては、予約なしで来院されてもその日のうちに診察を行うのが当院の特徴です。事前に電話連絡をしていただいたほうがスムーズですが、思い立った時にぜひ受診してください。眠れない、気持ちが落ち込む、ストレスを感じる、イライラしてしまうといった些細な症状でも、気軽に受診していただきたいと思います。また公認心理師による心理カウンセリングや心理検査も行っていますのでご相談ください。

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畑 俊彰 病院長

精神科医療に取り組む祖父や父を身近に見て育ち、精神科医師をめざす。大学病院、沖縄県の精神科病院を経て、2005年から「横浜丘の上病院」に勤務。2013年に院長に就任。2017年より理事長兼務。患者とよく話し、ともに行事やリハビリテーションに参加して距離を縮めて、信頼関係を構築する診療スタイルは沖縄で身につけたとのこと。

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