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医療法人社団幸栄会 幸和病院 介護医療院

(東京都 大田区)

宜保 陽介 院長

最終更新日:2020/11/25

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患者の意思を尊重し最期まで支える

大田区荻中の住宅街にある「幸和病院」は、病床数60床と小規模ながら、家庭や介護施設でのケアが難しい重篤な患者を受け入れつつ、外来も標榜する介護療養型医療施設だ。歴史を感じさせるレトロな外観だが、院内は明るく清潔で、終末期医療に携わる重苦しさは一切ない。「病院の性質上、中心となるのはターミナルケア。患者さんやご家族はどう送り出してほしいのか、そのために何ができるかを毎日考えている」と話すのは、同院で2003年から院長を務める宜保陽介先生。誠実で穏やかな見た目そのままの人柄を慕い、外来では先生と話すことを目的として通う患者も多い。「この病院に入れてよかった」と心から言ってもらえるような病院であり続けたいと話す宜保先生に、同院の地域における役割から今後の展望まで、幅広く話を聞いた。

こちらの病院は、先生で3代目になるんですね。

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当院の始まりは、1962年に西糀谷に設立された三和病院です。1979年に現在の荻中に移転し、幸和病院となりました。設立以来長きにわたって地域の高齢者を中心とした医療に携わり、特例許可老人病院への変更を経て、2000年には現在の介護療養型医療施設に転換しています。私は大学を卒業後、日本医科大学付属小杉病院で内科医として勤務していたのですが、先代の院長先生が高齢で亡くなられた際に、お世話になっていた先生から院長就任を打診されてお引き受けしました。2003年のことです。私の就任以前から掲げている医療・看護・介護が一体となって長期療養する患者さんとそのご家族を支えていくという基本理念はそのままに、「この病院に入れてよかった」と言っていただけるような病院をめざしています。

地域におけるこの病院の役割とは何だとお考えですか。

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このあたりは町工場として発展してきた地域で、今は独居や二人暮らしの高齢の方が多くなってきています。外来に来られる方の中には、年をとって身体が思うように動かなくなり、周囲に頼れる人がいないということで、生活に不安を抱えている方が少なくありません。まずはそうした方たちが安心して暮らせるようサポートしていくことが私たちの第一の役割だと考えています。一方、病棟は慢性期の方が多く、医療管理が必要な方だけが入院しています。一般病院と大きく違うのは、元気になってご自宅へ戻られることがないという点です。そのため、病棟における私たちの役割はターミナルケアにあると考えています。ターミナルケアでは、患者さんの考え方を尊重することに重きを置いています。ご自分の意思を明確に伝えることができない患者さんであればご家族から徹底的にお話を伺い、一人ひとりの意思を反映したケアができるよう、スタッフ一丸となって取り組んでいます。

高齢者一人ひとりに合ったケアや治療をするにあたって力を入れていることはありますか。

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入院患者さんのうち、身体を動かせる方に対しては、関節の拘縮を防ぐ運動や歩行訓練などのリハビリテーションを行っています。歩く練習をしているという事実だけで、精神面に非常に良い影響があるんですよ。自分の力で動けている、という実感が自信につながるんですね。スタッフも非常に協力的で、患者さんに寄り添って頑張ってくれています。また、外来では漢方薬を処方しています。漢方薬は効き目が穏やかで身体にも優しい上、併用することで他の薬の量を減らせるという利点があります。私自身が学生時代から漢方薬に興味があったことと、妻が薬剤師で漢方薬に精通していたことから、治療の一環として取り入れました。中には、20年以上悩み続けていたアトピー症状が改善したと喜んでくださる方もいるんですよ。生活習慣病に対しても、漢方と組み合わせた治療を積極的に行っています。スタッフも新しい知識を持って対応できるよう、月1回は勉強会を実施しています。

院長としてやりがいを感じる瞬間を教えてください。

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「この病院に入れてよかった」と、患者さんやそのご家族に言っていただけた時です。当院の性質上、入院時にはすでにかなりの高齢だったり、状態が良くなかったりするため、ご家族にはいつ最期が訪れてもおかしくないことを覚悟していただかなければなりません。その上で、ターミナルケアをいかに充実させるかを考えて話し合い、できる限りご要望に沿った形で日々を過ごせるよう力を尽くします。退院時に「ありがとう」と言っていただくと、私たちの思いが通じたのだなと、大きなやりがいを感じますね。また、亡くなる方が多い一方で、病院で100歳を迎える方もいらっしゃいます。それはご家族にとっても私たちにとっても望外の喜びであり、この仕事の意義を感じる瞬間でもありますね。

では最後に、今後の展望をお聞かせください。

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以前受診していた病院できちんとした説明をしてもらえなかった、本意でない扱いを受けた、というような経験から、病院や医師への信頼を失っている患者さんが思いのほか多くいらっしゃいます。「また同じような目にあうのではないか」という疑念を晴らさないまま治療を進めていけば、先々トラブルにもなりかねませんし、当院のめざす医療を全うすることも難しくなるでしょう。まずは、こうした患者さんとしっかり向き合い、丁寧に信頼関係を築いて、医療全体への不信感を払拭していきたいと考えています。病院全体としては、これまで通り、「この病院に入れてよかった」と言ってもらえる病院であり続けることですね。患者さんはもちろん、そのご家族にも安心して療養に専念していただけるよう、医療・看護・介護が一体となって支えていきたいと思っています。

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宜保 陽介 院長

大学卒業後、日本医科大学付属小杉病院にて内科医として勤務。2003年より幸和病院院長に就任。患者や家族が安心して長期療養できるよう、 地域に密着した医療・看護・介護に力を注ぐ。趣味はクラシック音楽鑑賞、ガーデニング。

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