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高野病院

(東京都 大田区)

高野 研一郎 院長

最終更新日:2020/11/25

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慢性期の「自分自身が受けたい医療」を追求

京浜急行大鳥居駅東口下車。環状8号線沿いの便利な立地に「高野病院」がある。1935年に先々代が開業した同院は、個人病院、救急病院、そして慢性期病院と形態を変えながら、地域医療に貢献してきた。長期入院の患者が多い同院が掲げるモットーは「自分自身が受けたいと思う医療をめざして」。常に患者、家族の立場から診療に当たると高野研一郎院長は話す。声で痛みや不快感を表現することのできない患者の表情や動きから、そのメッセージを受け取るのだ。最近では在宅で療養する患者の病状悪化に対応する短期入院や、介護家族の事情に対応する一時的なレスパイト入院も受け入れている。慢性期医療にも、患者、家族の望む一人ひとりに適した「オーダーメイド医療」があるべきだと話す高野院長に、慢性期医療の今、患者への思いを聞いた。(取材日2014年8月29日)

「自分自身が受けたいと思う医療」が目標なんですね。

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当院は急性期病院とは正反対に位置する80床の医療療養型病院です。手術など一通りの治療は終わったけれど、在宅で療養するのは難しい患者さんが、長期間療養するための病院です。入院期間の長い方が多く、10年以上入院されている患者さんもいらっしゃいます。そのほとんどは意識障害が長く続いていて、ご自身で体の向きを変えることもできず、病院のスタッフがすべての身の回りのお世話をしています。毎日、同じことを繰り返していると、仕事が雑になりがちですが、当院では決してそういうことがないように、すべてのスタッフが「自分が患者さんだったらこうされたい」と想像しながら患者さんと接していこうと、「自分自身が受けたいと思う医療をめざして」という目標を掲げているのです。先進医療に「オーダーメイド医療」があるように、当院は慢性期医療で患者さん一人ひとりのご希望を汲み取ったオーダーメイド医療をめざしています。

80年以上の歴史がある病院なのですね。

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祖父が開業してから82年、私で3代目になります。子どもの頃は救急病院で、隣が自宅でした。たまの休日に父と食事をしていると、救急車の音が聞こえてきて、電話が鳴ると父が行ってしまう。大変だなあと思うより、ああ、またかと思ったのを覚えています。母も皮膚科医でした。そんな両親の影響は大きいですね。反発した時期もありましたが、今思うと医師になる運命だったと感じます。14年前に改装をして、今の形になりました。患者さんが大病院志向になってきたのと、医療を取り巻く環境や医療法改正の流れもあり、救急病院から医療療養型の病院に変更しました。重症の病気を治す急性期病院と、その後を受けて継続的に医療を提供する慢性期の病院が連携して患者さんを診ていく流れになっているのです。現在は両親と私、妻の4人が中心となって病院を運営しています。私自身は整形外科が専門ですが、入院患者さんに関してはすべてを診ています。

入院されている患者さんは、高齢の方が多いのでしょうか。

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最近の傾向としてはやはり70歳以上の患者さんが多く、90歳、100歳という方もいらっしゃいます。しかし、高齢者ばかりでなく、難病で体が動かない若い方も入院されます。実際に今も10代の患者さんがいらっしゃいます。医療療養型病院はもともとある程度、重症で医療や看護が必要な患者さんだけを受け入れてきましたが、急性期の病院は入院日数をどんどん短くしていますから、その分、さらに重症な患者さんを受け入れることが多くなってきました。また、地域での新たな役割として、2週間から1カ月程度の短期入院の受け入れも開始しました。在宅療養されている患者さんの状態が悪化したときに短期的に入院してもらい、回復したら在宅に戻っていただく役割、あるいは介護家族の疲れや仕事の都合に対応して一時的に患者さんを預かる「レスパイト入院」と呼ばれる役割です。こうした取り組みは、在宅医療を行う開業医の先生方からも、とても頼りにされています。

慢性期病院の医療の質が大事になってくるのですね。

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そうですね。例えば、人工呼吸器を付けたり、痰を吸引したりするための気管切開などの外科的処置を必要に応じて行うことも多くなっています。同じ病院でずっと同じ仕事を続けている職員が、このような世の中の変化を理解することはとても難しいのです。それを理解させることが私の一番の役目です。しかし、病院を取り巻く環境は変わっても、患者さんが受けたいと思う医療を提供するという基本は変わりません。先ほども話しましたが、熱や脈などの数字だけではなく、表情や体のこわばりなど微妙な変化を捉えることに注力しています。その点、当院の看護師は優秀です。また、患者さんはもちろんですが、ご家族の気持ちも大事にしています。入院中に天国に召される患者さんが多いのも事実ですが、それを見守るご家族の気持ちを少しでも和らげ、穏やかな気持ちでその時を迎えられるように気を配っています。ホスピスではありませんが、終末期医療の充実も図ります。

読者へのメッセージをお聞かせください。

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日本の社会は、ますます少子高齢化に向かっていて、財政の悪化もあって国の医療制度も厳しくなっています。最近は病院が買われていくような現状もあって心配ですが、まず、地域の人々の役に立つために、この先も高野病院がここにあり続けることが大事だと考えています。読者の方々には、地域の中で、かかりつけのクリニックだけでなく、入院設備を持った病院を見つけておくことをお勧めします。重い病気を治す急性期病院は多少離れていても大丈夫ですが、長く入院する慢性期病院や、ちょっとしたことで入院する病院はお住いの地域にある方がいい。困ったときはこの病院があると知っておくだけで違うと思いますが、何らかの形でつながりを持っておくといいですね。当院は外来診療を通じて、地域の方々とつながりを持ち、手助けしていきたいと思っています。ご自身やお子さんのことだけでなくご高齢の親御さんのことも気軽に相談してください。

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高野 研一郎 院長

1993年獨協医科大学卒業。大学病院で専門にしていた整形外科診療に加え、高度救命救急センターでの勤務の経験もあり全身管理も得意分野。2012年から高野病院で現職。 入院・外来患者の診療の傍ら、蒲田医師会地域医療対策担当理事、東京都医師会病院委員会委員、東京都病院協会理事など要職を兼任する。

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