医療法人社団明芳会 イムス横浜狩場脳神経外科病院
(神奈川県 横浜市保土ケ谷区)
谷井 雅人 院長
最終更新日:2020/11/25
脳神経外科の前線を担う専門病院
「“神の手”はないけれど、職員全員が“神の心”を持って、患者さんに納得し満足していただける診療をめざしています」と力強く語る「イムス横浜狩場脳神経外科病院」谷井雅人院長。もともと救命救急の現場で役に立ちたいと脳神経外科を専攻し、大学病院を飛び出し、脳神経外科診療の前線で活躍してきた臨床一筋のドクターだ。横浜新都市脳神経外科病院、横浜旭中央総合病院を経て、2013年に「イムス横浜狩場脳神経外科病院」院長に就任。患者受け入れを断らないことをモットーに、自ら率先して診療に携わる。また、医療者側の自己満足では患者に納得し満足してもらうことはできないと、患者との信頼関係の構築にも心を砕く。力強さと優しさを兼ね備えた人柄も魅力的だ。横浜の交通要所である“狩場”にちなみ「脳神経外科治療の要所として地域医療に貢献していきたい」という谷井院長に、同病院の特徴やめざすところについて語ってもらった。
(取材日2014年11月5日)
この病院の院長に就任されるまでの経緯を教えてください。
子どもの頃から父に「医師は人を助けて感謝される、素晴らしい仕事だ」と言われ続け、そんなに優等生ではなかったのに医師をめざしてしまいました(笑)。大学卒業後、脳神経外科の医局に入りましたが、3年目にお世話になったドクターに誘われて、イムスグループの「横浜新都市脳神経外科病院」に就職しました。当時、大学病院の医局を3年目で辞めることは、脳外科の医師としては画期的というか暴挙で、怖い物知らずでしたね。20年間同病院に勤務し、次に「横浜旭中央総合病院」で副院長を務め、この病院がイムスグループの脳神経外科専門病院として再スタートするのに伴い、院長として赴任しました。脳神経外科に入ったのは、学生時代、救急の受け入れ先がなく重傷者が亡くなるというニュースを知り、どの診療科でもよいから救命救急で役に立つ医師になりたいと思ったからです。実は神経にはあまり興味がなかったのですが(笑)、強く誘われて。
病院の概要と特徴を教えてください。
脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷などが対象で、7割が脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など“脳卒中”の患者さんです。緊急の診断と治療に対応するとともに、四肢の運動麻痺や言語障害に対して専門スタッフが質の高さ重視のリハビリテーションを病気の早期から提供しているのが特徴です。在宅で生活が送れるように支援する回復期リハビリテーション病棟も備えていますから、同じ病院の中で、急性期から回復期まで継続して入院でき、患者さんやご家族に安心して闘病していただけます。エリアとしては保土ヶ谷、南区、戸塚区などが中心で、大人の患者さんが多いですが、頭部外傷の場合は幼児や乳児も受け入れます。ただ小児科はありませんので、意識がないなど重症の場合は専門機関にご紹介しています。最近の傾向としては、健康意識が高まり、血圧管理などが進んできたため重症脳卒中の発症数は減っていますが、全体の発症数はあまり変わらないのではないかと思います。
院長として取り組まれてきたことは?
まず、しっかりとした脳神経外科救急ができる体制づくりに努めてきました。受け入れ体制が整ってからは、救急車の搬送依頼はもちろん、施設や開業医の先生からの依頼、ご家族やご本人からの依頼もすべて受け入れており、そのことに誇りと自信を持っています。また頭痛、めまい、手足のしびれなどで頭の疾患が疑われるケースはもちろん、頭の疾患の可能性が低いと考えられる場合も受け入れています。当院で脳神経領域の問題でないことがはっきりすれば、適切な専門機関に紹介できますからね。そして、職員に対しては病院としての方向性を明確に示し、私自身が率先して救急も当直も担当して動くように心がけています。上から号令をかけるより、自分も一緒に取り組むというスタイルですね。また、リハビリテーションの人員も強化して、患者さんが社会復帰するまで一貫して治療する体制づくりにも取り組んできました。
病院の理念についてお話しください。
「すべての患者さまが納得して満足する医療を提供できる病院をめざす」ことを理念として掲げています。検査で異常がないから「脳神経には何も問題はない」と他科に回したりすることはありません。異常がないのにどうして頭が痛いのか、手足がしびれるのか、原因を追求し、患者さんが納得してくださるまで対応することを心がけています。実は、10数年前、ある女性患者さんで、難しい症例でしたが手術もうまくいき、合併症も起こらず予後もよく、私としては成功したと思っていたのに、ちょっとした誤解が原因で患者さんは満足されず、術後の通院もされなくなったことがあったのです。自己満足ではいけないと痛感しました。納得して満足していただくためには、適切な診療に加えて、ドクターやスタッフ間でしっかりと連携を取り、患者さんとの信頼関係を育むことが大切だと思い知らされました。スタッフにもよくこのエピソードを話して思いを共有しています。
今後の展望をお聞かせください。
脳神経領域におけるスタンダードな治療をより充実させて、確実に提供していきたいと考えています。当院には、“神の手”や“神の技術”はありませんが、職員全員が“神の心”を持ち、患者さんに納得し満足していただけるような医療をめざしたいと思っています。幸い、積極的な医師やスタッフがそろい、私の意図を理解して頑張ってくれていますので、院長としてはとても恵まれていると感謝しています。トップが「救急要請を断らない」と言っても、実際に診療する医師たちがその気になってくれないと救急はできないものですからね。そして、こうした長所を生かしつつ、横浜の交通要所である狩場のように、脳神経外科診療でも“要所”として地域医療に貢献していきたいですね。頭痛やしびれなど、脳や神経に関係することで、気になること、心配なことがあれば、気軽にいらしてください。緊急の場合は、時間外でも対応しますので、連絡をしてから来院ください。
谷井 雅人 院長
1987年山形大学医学部卒業。1989年イムスグループの横浜新都市脳神経外科病院に入職し、救急を含めた脳神経外科の臨床で活躍。同グループの横浜旭中央総合病院副院長を経て、2013年からイムス横浜狩場脳神経外科病院院長に就任。救急の受け入れ体制強化や患者満足を追求する医療体制づくりに力を入れる。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。