医療法人財団明理会 イムス明理会東京町田病院
(東京都 町田市)
林 重光 院長
最終更新日:2026/05/07


地域でその人らしく笑顔で過ごせるように
開設から50年以上、認知症医療に専門的に取り組んできた「イムス明理会東京町田病院」。2026年4月に「鶴川サナトリウム病院」から現名称に改名した同院は、認知症の治療はもちろん、地域一般病床を活用した在宅患者の受け入れや、回復期リハビリテーション、高齢者救急など機能を拡充し、地域のニーズに応えている。長年、医療保護入院に対応してきた同院は、ついのすみかとして捉えられることも多かったが、今、同院がめざしているのが、その人らしく生活できる環境へと患者を戻すことだ。一般的な診療を一通り経験してきたベテランの医師と認知症を落ち着かせる精神科の医師、医療スタッフ、医療相談室のメンバーなど病院が一つのチームとなって、患者や家族の思いに寄り添うケアを展開している。患者や家族が笑顔で地域に戻っていく医療の実現をめざす林重光院長に、同院の取り組みについて聞いた。(取材日2026年4月7日)
病院名が新しくなりましたね。

当院は2026年4月に、「鶴川サナトリウム病院」から「イムス明理会東京町田病院」へ改名しました。病院名の変更にあたり、「もう認知症は診てもらえないのではないか」といった心配の声もありましたが、これまで以上に認知症の患者さんへ標準的な治療を提供できるよう、さまざまな機能を強化していきたいと考えています。これに伴い、認知症はもちろん、地域一般病床を活用した在宅患者さんの受け入れや、高齢者救急にも取り組み始めました。高齢者救急についてはまだ環境整備の途中ではありますが、当院のかかりつけの患者さんや、地域のケアマネジャーさんからご依頼のあった患者さんを中心に、現場の状況を確認しながら、できる限り受け入れるよう努めています。さらに将来的には、訪問診療や訪問看護なども検討しています。時代のニーズに合った医療を提供し、町田市の皆さんにとって開かれた病院として、必要な機能をさらに充実させていきたいです。
現在の病院の取り組みについて教えてください。

当院は長年、医療保護入院の患者さんを多く受け入れてきました。医療保護入院では病院がついのすみかとなるケースも少なくなく、私は「本当にこれでいいのだろうか」と自問を繰り返してきました。認知症を治らない病気と捉えるのであれば、私たちにできるのは、患者さんの思いやご家族の希望をくみ取り、寄り添いながら支えていくことです。だからこそ、より積極的かつ具体的に関わっていきたいと考えていました。そうした中で精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が改正され、当院もついのすみかではなく、住み慣れた自宅へ戻るための場所へと変わっていこう、そのためにより良い環境を整えていこうと改革に着手しました。認知症の素因は誰もが持っているからこそ、私は認知症を単なる病気ではなく、少し性格が攻撃的になった状態と考えています。その人に合った社会や環境、関わりが整えば、その人らしく笑顔で暮らしていくことができると思っています。
2024年には回復期リハビリテーション病棟を開設されました。

回復期リハビリテーション病棟では、例えば、骨折した患者さんで認知症がある方も積極的に受け入れ、リハビリテーションを通して、できるだけ元の生活に戻れるようにしています。認知症の症状には、行動が激しくなったり、声が大きくなったり、清潔・不潔の判断がつきにくくなったりすることがあるため、精神科の医師とともに医療スタッフがサポートし、気持ちを少しでも落ち着かせられるよう関わっています。一方で、気持ちが落ち着くことで無気力になってしまう方もおり、そのバランスを見極めながら、最後まで諦めず、自宅に戻る可能性を一緒に探っていきます。また、自宅に戻ることが難しい方については、介護施設と連携しスムーズに入居できるように支援し、体調が悪化した際には再び当院で受け入れる体制も整えています。さらに、在宅復帰が困難な方のために、医療療養病棟を維持するなど、複数の選択肢の中から、その方に合った環境を提案しています。
どんな患者さんも断らない姿勢を大切にしているのですね。

よく「断らない病院」といいますが、当院がめざしているのは断らないで済む病院です。あれがあるから断る、それがないから診られない、ではなく、機能を変え、間口を広げ、病院が変わっていくことが大切です。当院では、一般的な医療を一通り経験してきたベテランの医師に、認知症を専門とする精神科の医師が加わり、チームである程度の疾患に対応できるようにしています。もしも、当院でお受けした後、大きな治療が必要であれば、イムスグループのネットワークを生かして、適切な医療機関へとつなげ、患者さんに最大限の安心感を届けたいと考えています。当院には、認知症があるという理由で他院に断られて来た患者さんもたくさんいらっしゃいます。退院の時、ご家族から笑顔で、「ここまで元気になると思いませんでした」と言っていただけるよう、病院一丸となって患者さんを支え、地域生活への復帰につなげていきたいです。
最後に、地域に向けてメッセージをお願いします。

これまでの当院の50年の歴史の中では、「退院するのはお亡くなりになったとき」ということがほとんどでした。今、私たちがめざすのは、ご家族が迎えに来て、患者さんが笑顔で帰っていく、私たちが「お大事に」と手を振る。そんな医療の姿です。それは私たち医療者にとってやりがいや誉れとなっていくでしょう。現在、医療業界は岐路に立っていますが、そんなときこそ原点回帰で新しいことにチャレンジしつつ、患者さんやご家族、地域から望まれていることに全力を注いでいきたいです。私たちは人生の先輩である高齢の患者さんから学ばせていただき、感謝を込めて仕事をしています。医療の原点である「手当て」の気持ちを忘れず、医療というツールを使って社会貢献し、地域の皆さんと一緒に町田市を「ハッピータウン」にしていければと思います。病院名が新しくなり機能も増えました。皆さんの役に立てるよう成長していきますので、よろしくお願いいたします。

林 重光 院長
1993年帝京大学医学部卒業後、東京医科大学血液内科学分野に入局。狭山神経内科病院副院長、明理会中央総合病院副院長、イムス横浜東戸塚総合リハビリテーション病院院長、明理会東京大和病院院長などを経て、2022年より現職。専門は血液内科と神経内科。医学博士。趣味はジョギング。





