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東京慈恵会医科大学附属第三病院

(東京都 狛江市)

古田 希 病院長

最終更新日:2022/12/01

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共感と思いやりに基づく医療で地域を支える

京王線国領駅からバス4分、小田急線狛江駅からバス10分の場所にある「東京慈恵会医科大学附属第三病院」。狛江、調布、世田谷西部の医療圏をカバーする急性期医療を柱に、各診療科が専門的な治療を提供するがん診療、複数の疾患を抱える高齢者のニーズに対応する総合診療分野、認知症診療などに強みがある。東京慈恵会医科大学総合医科学研究センターの高次元医用画像工学研究所と連携するハイテクナビゲーション手術室やリニューアルした結核病棟、精神疾患への森田療法専用病棟など、特色のある専門施設も備わっている。そうした大学病院としての専門的な医療の提供と、地域に根差した温かな医療が両立されているのも特徴だ。今後、新病院の開設が予定されている同院。2021年4月に病院長に就任した古田希病院長は、「シームレスな医療をもとに、地域社会に貢献する機動性と機能性の高い基幹病院」を目標に掲げている。これまで力を入れてきた地域連携のネットワークづくりや、新病院の構想、地域医療への思いなど、古田先生に話を聞いた。(取材日2021年4月1日)

これまでの病院の歩みや理念について教えてください。

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当院は東京慈恵会医科大学の3番目の附属病院として、1950年に開設されました。当初は第三分院という名称でしたが、1986年に第三病院と名称が変わり、現在に至ります。1970年に9階建ての本館病棟が建築され、それ以後、精神療法を行う森田療法病棟、新手術棟、新医局棟など増築を重ねてきました。大学の附属病院としての使命は、「臨床・教育・研究」の3つ。「病気を診ずして病人を診よ」という大学の建学の精神に基づき、質の高い医療の提供、医療人の育成、社会貢献を病院の理念としています。当院がカバーする狛江、調布、世田谷西部の医療圏は非常に高齢者が多い地域で、東京慈恵会医科大学の他の病院と比較しても、高齢の患者さんの外来、入院治療を多く受け入れている特徴があります。そのため私たちには救急医療をはじめとした、高齢者に寄り添う医療が求められているのです。

新病院の建設を予定されていると伺いました。

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新病院の開設に向けて私たちは、「シームレスな医療をもとに、地域社会に貢献する機動性と機能性の高い基幹病院」をめざすことをモットーに掲げています。シームレスというのは、高度急性期、急性期から回復期、地域包括ケアへと切れ目のない質の高い医療サービスを提供するものです。それに加えて、専門の診療科ごとの縦割りの診療ではなく、診療科が横の連携を取りながら患者さんを包括的に診ていくチーム医療の実践も意味します。特に高齢の患者さんは複数の疾患を併せ持っているため、各科の緊密な連携が欠かせません。当院ではすでに総合診療部の医師が中心となり、各科をつなぐ役割を果たしています。総合診療研修センターを設置し、総合診療を専門とする医師の育成にも力を入れています。そのように時代の変化に臨機応変に、そして柔軟に対応できるような組織づくりをしていきたいと考えています。

特長のある診療科や治療について教えてください。

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がん治療の分野では、各診療科での手術、放射線治療、通院での化学療法に対応する外来化学療法室、緩和ケアチーム、がん相談支援室など、さまざまな面から患者さんをサポートする体制を整えています。複数の診療科の医師を集めたキャンサーボードを開き、患者さんにとって最も良い治療法の選択をめざしているのも特徴です。私の専門でもある泌尿器科をはじめ、外科、産婦人科領域では積極的に内視鏡での手術を実施しています。またハイテクナビゲーション手術室を設置し、事前に撮影した3次元のCT画像と手術野を重ね合わせたナビゲーションモニターを見ながら手術を行うシステムを導入。特に肝胆膵領域に活用され、通常であれば見られない臓器の裏側も確認しながら、より安全に配慮しながら手術を進めていくことができます。また、高齢者のニーズが高い整形外科では、専門性に特化した股関節手術で豊富な症例に対応しています。

地域連携にはどのように取り組まれているのでしょうか?

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医療連携室が中心となって、病病連携、病診連携に力を入れています。現在、多くの地域の先生方に登録医としてご協力いただいています。登録医の先生方に対しては、「メディカルリンク」という広報誌を発行し、当院の取り組みについて情報発信しています。年に2回はフォーラムを開催し、地域の医師、看護師、薬剤師、福祉関係者、行政の担当者など、多職種が一堂に会する機会を設けています。また、当院では「二人主治医制」を導入し、要請を受けて急変などに対応する一方で、症状が落ち着いたらかかりつけの開業医の先生に診ていただくといった、紹介・逆紹介にも積極的です。2015年には地域の医療ニーズの高まりを受けて認知症疾患医療センターを開設。今後も地域の期待に応えながら、より緊密な連携を進めていきます。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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私が病院運営で大切にしているのが、地域のニーズに対して安全でかつ質の高い医療を提供していくことです。ニーズに応えるということでいうと、新病院の開設に伴い、これまでご要望の多かった緩和ケア病棟を増床する計画を進めています。現在、計画段階の新病院に求められるのは急性期医療ですが、今後、人口減少の問題や医療の進化とともに在院日数が短くなっていくと想定すると、20年後、30年後に求められる機能は変わっていくでしょう。将来にわたって必要とされる病院になるためには、発展可能なフレキシビリティーを持つことが重要だと考えています。例えば病院内で介護施設を展開するなど、その時その時で必要とされる医療を提供できれば地域貢献につながるはずです。新型コロナウイルス感染症への取り組みも、新病院の構想に生かしていきたい。私たちはそうした長期的な視点で、地域の皆さまとともに発展していく病院をめざしてまいります。

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古田 希 病院長

1984年東京慈恵会医科大学卒業。同大学の泌尿器科に入局。同大学附属第三病院泌尿器科診療部長、副院長を経て、2021年4月に病院長に就任。新病院の建築プロジェクトに尽力しているほか、東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座の教授も兼任する。専門は泌尿器腹腔鏡手術、副腎腫瘍、腎移植。手術法だけでなく免疫療法や放射線治療など、進化し続ける医療に関わることが医師としてのやりがいになっているのだそう。

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