全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,983件の情報を掲載(2024年4月23日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 相模原市南区
  4. 小田急相模原駅
  5. 独立行政法人国立病院機構 相模原病院
  6. 安達 献 病院長

独立行政法人国立病院機構 相模原病院

(神奈川県 相模原市南区)

安達 献 病院長

最終更新日:2023/01/20

20221227 main20221227 main

地域医療の充実のためより強固な医療連携を

相模原市南部の地域医療の中核を担う「相模原病院」は、旧陸軍病院時代を経て、1945年厚生省に移管され国立病院となってからはリウマチ・アレルギー疾患の基幹施設として日本の免疫異常分野をリードしてきた。2017年4月にはアレルギー疾患対策基本法に基づきアレルギー疾患中心拠点病院となり、アレルギー疾患やリウマチに対する先端技術や情報を全国に向けて発信している。地域の急性期病院として断らない救急医療や低侵襲治療を実践する同院が本気で取り組むのが地域完結型医療だ。2022年に就任した安達献院長は、前院長の金田悟郎先生とともに病院の改革に取り組んできた。その集大成となるのが、病院から地域の在宅医療までの円滑な連携だった。自身の足で地域のクリニックや病院を訪れ、現場の様子や意見を聞くことで、連携体制を強化。クリニックが求める紹介状を個別に作成するなど紹介しやすい環境を整え、同院の外来の効率化に貢献してきた。団塊の世代が75歳以上になる2025年が間近に迫る中で、同院が考える地域医療連携のあり方や急性期病院としての役割などを聞いた。(取材日2022年12月16日)

地域医療支援病院としての取り組みについて教えてください。

20230110 1

当院ではコロナ禍においても救急応需率は高い水準を保っており、老健や介護施設あるいは療養病棟からの患者さんも多く受け入れていますが、急性期を脱した後に重要になってくるのが療養型や回復期病院、開業医の先生、訪問診療の医師との円滑な連携です。地域医療連携については院長に就任する以前から取り組んでおり、消化器内科医長時代には紹介率を上げようとクリニックに訪問していました。同時に放射線科の先生との協力でCTやMRIの即日検査結果報告を開始し、それをきっかけに外来の紹介率は80%を超え、逆紹介率も100%前後となりました。院長に就任し改めてご挨拶に伺ったらクリニックの先生も皆覚えていてくれて、地域に守られている感じがしましたね。過去には厳しい意見も受けたまわりましたが一つ一つ改善していくことで病院が変わっていきました。引き続き地域で完結できる医療をめざして、真の医療連携を構築したいと考えています。

歯科や薬剤師との連携も重視していると聞きました。

20230110 2

後方支援にあたる病院や在宅の先生だけではなく、その後の療養生活の中で嚥下性肺炎の再発を防ぐために重要なのが歯科との連携です。患者さんの予後や元気に食べていくために口腔ケアは必須であり、当院では地域の96人の登録歯科医師の協力で口腔ケアに力を入れています。また、全身麻酔下の手術時の口腔内のトラブル予防にも役立てています。私がめざすのは「ICTを活用して、病診・病病・薬薬連携を確立して地域完結型医療を遂行する」こと。特に薬薬連携については、老健などでは夜間は医師や看護師がおらず看護助手が当直をしていることも多く、服薬歴を調べるのに時間がかかってしまうこともあるため、普段どんな薬を飲んでいるか、認知症はないか、治療のキーパーソンとなる人は誰なのかといった薬局のかかりつけ薬剤師の管理している服薬情報を共有することで、迅速に適切な治療へとつなげていければと考えています。

急性期病院として低侵襲医療にも力を入れているそうですね。

20230110 3

地域のニーズに応えていくために欠かせないのが低侵襲医療です。外科では金澤秀紀先生を中心に大腸の手術の約9割を腹腔鏡下の低侵襲手術で対応しているのをはじめ、胸部、泌尿器、婦人科疾患のほとんどを腹腔鏡下で行っています。病院は優秀な医師が勤務し続けたい環境、そして教育を受ける若い人にとって魅力的な場所にしなくてはなりません。今後はロボット支援手術の導入も視野に入れ、継続して最先端技術を提供していけるように引き続き取り組んでいきたいです。当院に戻ってきてくれる医師もたくさんいます。その熱意に応えるため指導をする側も身が引きしまりますよね。また近隣の北里大学病院とは、競合するのではなく共存共栄の病病連携を実践しています。例えば耳鼻咽喉科では、がんは北里大学病院で、良性疾患は当院でというように役割分担をすることで、それぞれ必要な部分に人員を集約させています。

コロナ禍でも通常通りの医療を提供されていますね。

20230110 4

新型コロナウイルス感染症で入院中の患者さんを30人以上診ながらも、感染管理対策室を中心に体制を整え外来も救急も手術にも対応しています。医療安全管理室と感染管理対策室が職員の安全を第一に考えながら、これまでのノウハウを生かして密にコミュニケーションをとり、手術を続けられるか、予定入院は何人かなど情報をオンタイムでやりとりしています。私が今でも出席している入・退院の会議と病診連携室の会議では、幹部医師、看護部長、放射線科技師長、臨床検査科技師長、前薬剤部長、MSW、事務スタッフといった多職種で、断った事例を見直し共有したり、クリニックからの電話の待ち時間短縮の対策をしたりと、今はそれが当たり前になってきています。自分一人では何もできませんが、一緒に取り組む人がいることが財産になる。旧態依然としていた国立病院が変われたのはすごいと思いますね。そこにやりがいを感じます。

病院長として大切にしていることはありますか?

20230110 5

まずは職員を大切にすることです。職員を大切にすればその職員は患者さんを大切にします。そうしてつなげていくことで、たゆまず信頼性が高まれば組織は発展していきます。そういったことを職員一同が少しずつ意識してくれれば未来は拓けていくと思います。ブランドとは信頼性と同義でたゆまぬ誠実さと努力により維持されているものですが、信頼は少しのことで揺らいでしまうこともあります。そういうことがないように病院全体で努めていきたいです。人間なのでミスはします。けれどもそのときは、必ず守ってあげるからという思いでいます。アレルギーの研究も臨床の技術もどちらも当院にとってなくてはならないものです。どちらか一方に偏ることなく、医師の使命として、急性期の病院として、全国から相模原病院の特徴を知って来ていただけるように最善を尽くしていきます。

20221227 main

安達 献 病院長

1983年北里大学医学部卒業。1991年国立相模原病院消化器内科に赴任。1995年王立アデレード病院消化器科へ留学し、1999年国立相模原病院消化器内科医長に就任。2013年国立病院機構相模原病院統括診療部長、2015年同副院長を歴任し、2022年国立病院機構相模原病院院長。医学博士。金田前院長とは大学の同期で旧知の仲。恒例行事の納涼祭ではバンド演奏にキーボード担当として参加したことも。

access.png