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医療法人誠医会 宮川病院

(神奈川県 川崎市川崎区)

宮川 政久 理事長

最終更新日:2020/11/25

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義理人情あふれる寺町の「良医」でありたい

川崎大師駅から1分。宮川政久理事長兼院長が率いる「宮川病院」は1909年に開院。1999年には公益財団法人・日本医療機能評価機構による「日本医療機能評価認定病院」の認定を獲得。地域に根差し、信頼と納得の得られる医療サービスを提供するべく努力を重ねてきた。その後、5年ごとの更新審査を4回連続で通り、同様に認定されているという。過去の実績に甘んじることなく、未来を見据えた診療体制の構築を行っている。地域における良質な医療の実践に努める宮川政久理事長に、長い歴史を誇る病院の3代目として、医療にかける思いや、患者のための取り組みについてなど幅広く話を聞いた。(取材日2016年9月15日/記事更新日2019年8月16日)

地域で歴史のある病院として医療を提供されていますね。

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日本医療機能評価認定病院として第三者から評価を受けることにより、問題点を把握し、改善に向けて努力することができます。審査され続けているということは、患者さんのための医療をどれだけ実践しているのか、苦しみや不安をいかに良くできるのか、といった貢献の度合いを図られているということ。現代に即した地域医療への取り組みで、それを実現していきたいと考えています。がん患者さんの痛みや不安を和らげる「緩和ケア病棟」や、病状が安定した患者さんの在宅復帰支援などを行う「地域包括ケア病棟」を開設したのも、そうした思いがあってこそ。緩和ケアも地域包括ケアも、当地域で受けられる場所は少ないので、患者さんにできることがあるのならば、という意図で設置しております。同様に、回復期の患者さんにしっかりした治療とリハビリテーションの場を提供することも、われわれの役目と感じております。

地域の医療施設などとの連携体制はいかがでしょうか。

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病病連携には積極的に取り組んでいますが、実際の現場では「個人連携」の要素が強いと感じることが多いです。特に、すぐに入院先を決めなければならない緊急時は、総合病院や大学病院の医師同士の個人的なネットワークの中でものごとが動くケースが多々あります。ですから「誰とでも、どこの病院とでも連携できる」というようなコミュニケーションの網の目を持ったスタッフを充実させていきたいですね。総合病院と個人医院との間での連携である「病診連携」に関しても力を入れていますが、まだ工夫の余地があります。開業医さんにお伝えしたいのは、「患者さんをもう少し早めに総合病院に紹介してほしい」ということ。例えば午後6時でなく、午後4時に紹介することで十分に治療の準備ができ、患者さんの命を救える可能性も高まります。早めの連携で患者さん、個人医院、総合病院それぞれにいいことが起こるよう、今後も円滑に取り組んでいきたいです。

歴史ある病院の3代目として意識されていることがありましたら。

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結局、医者というのは「自分というものを全くなくすもの」ではないでしょうか。古い考えと思われるかもしれませんが、私から見れば本当にそうなのです。祖父も父も、食事をしていても患者さんが来たとなればさっと立って病院に行っていました。実は私も、今日は夕方まで食事もとらず患者さんを診療し続けましたが、「そういう生活」が医者なのだと思います。何をしていても、すべてが「患者さんのため」なんです。私の母校である順天堂大学が掲げる「名医たらずとも良医たれ」という言葉も、そこに関わっているのだと実感する日々です。「知識や技術はもちろん必要だけれども、それだけで医療を手がけるのではなく、患者さんに安心、安全の医療を提供すること」という考えは、特に私どもの携わる地域医療における本質なのだと感じます。

近年の川崎市における医療の状況で気になる点はありますか?

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これは川崎市のみでなく、日本の各地で起きていることだと想像しますが、昨今、診療科目などの分化がきっちりしすぎており、病院への緊急時搬送といった場面での「融通」がきかなくなっている面があるのではないでしょうか。例えば、症状に該当する診療科目はないものの、命にかかわる状況で当院の近くに人が倒れていたら、昔ならば何はともあれ当院に運び「良医」として力を尽くしたものです。ですが今では、システム上、搬送できないままにもなりかねません。医療が高度になるのは結構なことですから当院も対応し続けていきたいとは思うものの、専門分化の行き過ぎは本当に患者さんのためになっているのかについては、議論が必要なのではと考えています。

今後の目標と、地域の患者へのメッセージをお聞かせください。

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近年では「職住近接」の医者ははやりませんが、地域の皆さんにとってはそれが信頼につながるのだと感じることが多いです。私は休日は、おおむね「体を本当に休めている」のですが(笑)、少し前までなら、そんな休日にも顔なじみの患者さんが直接うちに来られたりもしましたね。たまたまアルコールが入っている時などは「私は診られないけど」と言って一緒に病院に行き、患者さんの診療が終わるまで横で見ていたものです。私が治療せずともその方は安心してくださいましたね。これからも患者さんにとっての「名医よりも良医」であれるよう、地域のために「患者第一主義」を続けていくつもりです。川崎大師周辺というのは、御大師さまを中心に、今も義理人情で動いている人が多い寺町なんです。だからこそ、高度な専門化が進む中で忘れられがちな患者さんの気持ちに配慮した医療を続けていきます。

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宮川 政久 理事長

1964年順天堂大学医学部卒業。医師だった祖父と父親の背中を見て育ち、自身も「患者第一主義」を掲げ地域医療の充実に尽力。昔ながらの「職住近接」の医師として、地元患者の暮らしに密接しながら日々の診療に取り組んでいる。

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