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横浜市立みなと赤十字病院

(神奈川県 横浜市中区)

大川 淳 院長

最終更新日:2023/08/17

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救急医療とがん診療を中心に地域医療に尽力

横浜市立港湾病院と横浜赤十字病院を基盤に、横浜市小児アレルギーセンターの機能も統合し、「横浜市立みなと赤十字病院」は2005年に開院した。その後、2009年に地域医療支援病院および救命救急センター、2012年には地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センターとなるなど、幅広い分野で高度な医療を行う病院へと発展。公的病院としての責任、運営を担う日本赤十字社の「人道・博愛の赤十字精神」のもと、東日本大震災をはじめとした災害時の医療、新型コロナウイルス感染症患者の治療などにも尽力してきた。さらに大川淳院長は、「個々の専門性の高さはもちろん、多様な診療科が連携するチームワークの良さも当院の強み」と総合力をアピールする。「例えば、がんだけを集中的に診るがん専門病院とは異なり、がん以外に心臓や消化器の病気をお持ちの方にも十分対応できます」。同院はすでに通常の診療体制に戻ったが、ここ数年の大きな社会変化で、「いっそう『市民の健康を守る最後の砦』との思いを強くしています」と語る大川院長に、同院の特徴や横浜市の地域医療で果たす役割について聞いた。(取材日2023年7月21日)

この病院の診療にはどんな特徴がありますか?

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横浜市の医療提供体制で、地域の基幹病院に求められる高度専門医療、救急医療、がん診療などの機能は、当院でも診療の大きな柱となっています。例えば救急医療は、重症・重篤な患者さんにも24時間対応する救命救急センターを持ち、「救急車をできる限り断らない」ことを目標に、2022年度(2022年4月〜2023年3月)は1万4757台の救急車を受け入れました。日本救急医学会救急科専門医を中心とした救急科、ICU・HCUでの治療を担う集中治療部、循環器や脳血管、重度外傷など各分野の診療科が密接に連携する点も救急医療での強みです。さらに小児科も24時間対応で救急医療に取り組んでいます。また、小児科、アレルギー科、皮膚科、呼吸器内科など、7診療科が連携し、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、気管支喘息などの治療を多方面から行うほか、地域の皆さんに対してアレルギー疾患への理解を深める啓発活動にも力を入れています。

がん診療をはじめ専門医療での強みを教えてください。

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当院はがんのロボット支援手術を2014年から開始し、現在は泌尿器科で前立腺がん、外科で直腸がんに対応しています。そして多様な診療科の連携で、がん以外に心臓や消化器など内科の病気をお持ちの患者さんに総合的に対応できる点も大きな強みです。がんの病巣をピンポイントで治療可能な強度変調放射線治療(IMRT)を行う環境を整え、退院後の外来化学療法、治療初期から体や心のつらさを和らげるための緩和ケアも充実しています。専門医療では循環器内科と心臓血管外科の連携による循環器治療も強みの一つ。ハイブリッド手術室を備え、心筋梗塞のような虚血性心疾患はカテーテル治療と外科治療のいずれも24時間対応可能です。不整脈のカテーテルアブレーション治療、大動脈弁狭窄症のTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)なども行い、手術後は安定した回復を図るため、集中治療部と協力したICU・HCUでの全身管理に移行しています。

高齢社会で重要な医療分野にはどう対応されていますか?

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一つは認知症の早期発見と治療が重要だと思います。当院は2020年に横浜市から認知症疾患医療センターの指定を受け、脳神経内科、精神科の経験を生かして認知症の鑑別診断を充実させ、認知症の周辺症状や体の病気の治療にも対応しています。当院のPET/CT装置は主にがんの診断に使われていますが、今後は認知症の検査での活用を図り、より適切な診断に役立てるつもりです。また、整形外科で行う膝関節や股関節の人工関節置換手術は、条件が合えば90歳以上の患者さんでも行え、高齢の方がアクティブな生活を維持する助けとなっています。がんの治療後に、身体機能を維持するため人工関節の手術を受けられるケースもあり、これからさらに手術を希望する方は増えるのではないでしょうか。このほか整形外科には脊椎、膝関節、股関節、手、腕、肩などを専門とする医師が在籍し、各分野で専門的な治療ができる点も強みといえます。

地域の医療機関との連携についてはいかがでしょうか?

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当院は地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院で、救急医療とともに地域の医療機関からご紹介いただく患者さんの治療が中心です。治療後は基本的に紹介元の医療機関で患者さんを診ていただきますが、当院の医師もフォローアップに加わって、容体が不安定なときはすぐ入院できるような協力体制の強化を考えています。こうした入退院の窓口となる入退院支援センターは、入院前の患者さんとご家族への説明、入院中のご不安やご相談への対応、退院後の生活のサポートまで担当。地域連携で重要な役割を担うため、利便性向上をめざしてスペースの拡充も検討中です。また、当院のCT、MRIといった検査機器、放射線治療などを地域の医療機関に共同でご利用いただく連携も図っています。地域の先生方からのコンサルテーションのご依頼も各診療科で極力対応するよう心がけています。

病院の今後の目標などをお聞かせください。

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院長に就任して感じたのは、各診療科の専門性の素晴らしさでした。それらを効率化し診療科同士の連携をより深めることで、当院の診療レベルはもっと向上するはずです。また今後は高齢化などにより多様な病気が併存する患者さんが増え、総合的な診療が重要になると考えます。若手・中堅の医師による総合診療のチームを中核とし、専門の診療科がそれに加わるような診療体制も検討したいですね。一方で、当院の職員は非常に意識が高く無理しがちな面もあることから、職員全員が気持ち良く働ける環境整備も大切です。例えば港も近い絶好のロケーションを生かし、院内のアメニティーを充実させれば職員にも患者さんにもプラスでしょう。今回の新型コロナウイルス感染症流行で、患者さんにも地域の医療機関にも「本当に困った時に頼れる病院」と認識していただけ、非常にありがたく思っています。今後もそうした想いに応え、紹介いただく患者さんの治療に尽力します。

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大川 淳 院長

1982年東京医科歯科大学医学部卒業。同大学整形外科学教室に入局後、東京医科歯科大学医学部附属病院のほか、九段坂病院、諏訪中央病院など関連病院の整形外科で経験を積む。2001年東京医科歯科大学整形外科講師に就任し、同助教授を経て、2011年から教授を務める。2016年東京医科歯科大学医学部附属病院病院長に就任。2023年4月から現職。専門は脊椎外科。日本整形外科学会整形外科専門医。

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