医療法人社団 新東京石心会 横浜石心会病院
(神奈川県 横浜市鶴見区)
原 淳 院長
最終更新日:2024/06/10
膝・脊椎の専門治療で早期の社会復帰を支援
横浜市の鶴見駅近くで、長く地域医療を担ってきた富士電機病院を、神奈川県をはじめ首都圏に医療施設・福祉施設を展開する石心会グループが承継。「横浜石心会病院(旧さいわい鶴見病院)」として新たなスタートを切った。2019年には同じグループの川崎幸病院から整形外科のスタッフが異動し、薬による保存的治療のほか、膝関節や脊椎を専門的な手術によって治療するための体制を強化。同院の原淳院長は「患者さんの体への負担が少ない手術と適切なリハビリテーションによって、早期の社会復帰をめざすことができ、また健康寿命を延ばすことにもつながると期待しています」と、整形外科を充実させる狙いを語る。従来どおり内科を中心に地域の幅広いニーズにも応え、整形外科の専門治療とともに地域に欠かせない病院でありたいという原院長に、同院の整形外科の特色や地域との連携について詳しく聞いた。(取材日2019年12月5日)
貴院の診療の特色を教えてください。
当院は関節外科を含む整形外科分野と、消化器・循環器、糖尿病、一般内科、漢方をはじめとする内科の診療や健診などを行う分野が連携して、患者さんが日常生活でお困りの症状を診断・治療し、健康寿命の延伸をめざす病院です。特に整形外科は、2019年11月に川崎幸病院の整形外科のスタッフが当院に異動し、膝関節手術で多くの患者さんを治療された竹内良平先生を関節外科部門の責任者に招くなど、一層の充実を図りました。これにより整形外科には整形外科学会整形外科専門医を含む9人の常勤医が在籍し、専門として取り組んでいる脊椎・脊髄、関節、スポーツ外傷の各分野で、高い専門性と豊富な経験を有する複数の医師が治療にあたる体制が整っています。もちろん手術後のリハビリテーションも非常に重要で、院内の理学療法士・作業療法士と密接に連携して、患者さんの早期回復を支援しています。
関節の治療ではどのような強みがありますか?
整形外科で扱う関節の症状の代表例が、膝などに慢性的な痛みを感じる変形性膝関節症です。治療法は薬による保存的な治療のほか、関節鏡手術、人工関節置換術、膝周囲骨切り術(Around the Knee Osteotomy:AKO)など多様で、当院では患者さんの症状や治療後の生活のご希望などをもとに、これらの治療法から適切と考えられるものをご提案しています。中でも膝周囲骨切り術はご本人の関節を温存することが可能な点が特徴で、当院にはこの手術で豊富な経験を持つ竹内先生をはじめとした医師たちがいることが強みとなっています。治療後もスポーツなど活動的な生活を楽しみたい方、人工関節置換術には時期尚早と思われる50代、60代の方に検討いただきたい治療法です。
脊椎の治療も体への負担が少ない方法があると聞きました。
当院で診療する脊椎に関する病気は、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。これらは一般的に後方から手術が行われます。完成された術式ですが、手術後に腰周囲の筋肉が萎縮して硬くなる恐れもあります。当院では、体の側方にある後腹膜からアプローチするLLIF(側方進入椎体間固定術)を導入し、患者さんの病状に応じた治療を行います。この方法は従来法よりも手術時間が短く、回復期間が早まることが期待でき、筋肉の萎縮につながりにくいなど、患者さんの体への負担軽減が望めるのは大きなメリットと考えています。また椎間板ヘルニアは内視鏡手術となりますが、当院では切開部が8mmと非常に小さい内視鏡を使い、術後の痛みも少ないため、手術翌日には退院が可能です。30代、40代の方にも多い椎間板ヘルニアが短期間で治療でき、スムーズな社会復帰につながりやすい手術は患者さんにも喜んでいただけるのではないかと思います。
スポーツ外傷はどんな症状が対象になりますか?
私は前十字靱帯損傷、半月板損傷、肩関節脱臼、肩腱板損傷、腰椎分離症や椎間板ヘルニアなどの治療、脊椎・脊髄の治療を行っています。患者さんはサッカー、バスケットボール、野球、ゴルフ、テニス、バドミントン、卓球やラグビー、相撲など筋肉量の多いアスリートの方がいらっしゃいます。スポーツ選手はドクターストップを嫌がって病院を受診されない方もいますが、まず大切なのは診断です。運動の種類やその時の状況、将来性も考えた上で、その後の治療方法を選択します。長く続く症状のためにスポーツパフォーマンスが上がらない方は、まず正しい診断を受けて治療方法を決める必要があります。仕事や部活の後にも受診していただけるよう、毎週木曜日の夜にスポーツの外来を開設しています。痛みで100%のパフォーマンスが発揮できないなどお悩みの方はぜひ受診してください。
手術後のリハビリなどでの地域連携はいかがでしょうか?
基本的に、当院で手術を終えた患者さんはしばらく院内で療養された後、回復状況やお住まいの地域などに応じて、連携する病院でリハビリテーションを受けていただきます。整形外科にいる9人の常勤医の人脈も生かしながら適切な病院をご紹介し、またご自宅に戻られた後も当院を定期的に受診していただき、手術した医師が経過を診ていきます。当院でも通院リハビリを受けられるため、手術後のフォローアップも含め安心して治療を受けていただけると考えています。手術治療のみならず、さまざまな保存治療も行っており、早めに受診していただければ治療法の選択肢も広がります。痛みや動かしにくさなど、日常生活でお困りのことがあれば気軽にご相談いただければと思います。
原 淳 院長
横浜市立大学医学部卒業後、国立横浜病院(現・国立病院機構横浜医療センター)、藤沢市民病院、浦賀病院(現・よこすか浦賀病院)、横浜市立大学附属市民総合医療センターで診療。ローマ大学スポーツ医科学センターでスポーツ医学への見識を深め、国際医療福祉大学熱海病院、小田原市立病院を経て、2013年から川崎幸病院整形外科に勤務。2019年から現職。専門はスポーツ整形外科、脊椎、膝など。