特定医療法人財団 慈啓会 大口東総合病院
(神奈川県 横浜市神奈川区)
高橋 睦長 院長
最終更新日:2025/02/10


急性期から在宅療養まで、地域の健康を支援
横浜市神奈川区入江、JR横浜線・大口駅東口からすぐの場所にある「大口東総合病院」。1984年の創設から、昨年40周年を迎えた歴史ある医療拠点だ。内科、外科、小児科など幅広く対応する分野から、泌尿器科、眼科といった特色を持つ分野まで、多彩な診療科を構えて急性期医療を行うのはもちろん、2021年には162床ある病床のおよそ3分の1を地域包括ケア病床へと転換し、地域でニーズの高まる高齢者医療にも注力している。「入職から20年以上を経て、地域ニーズの変化も肌で感じています。どのような病気でもまずはご相談いただける病院となるよう体制を整え、40年間培ってきた信頼をさらに高めていきたい」と、高橋睦長(のぶかず)院長は話す。消化器外科を専門とし、現在も病院運営の傍ら外来で患者に向き合うプレイングマネジャーである高橋院長に、同院の強みや今後の展望について話を聞いた。(取材日2025年1月8日)
まずは病院の特徴を教えていただけますか?

大口エリアで70年以上にわたって地域医療に貢献している特定医療法人財団慈啓会の一拠点として、1984年当地に開設されました。以来、3つの病棟を持つ急性期総合病院として、幅広い診療科を設けて対応しています。開設当初から通っていただいている患者さんから見て、子や孫、ひ孫の世代にもご利用いただいており、3世代、4世代と地域住民の皆さんとつながりを持ってきました。内科、外科、整形外科、小児科などの地域密着型診療科と、特定の分野に強みを持つ泌尿器科や眼科といった専門特化型診療科に大別されるのも特徴で、高い専門性を擁する科では、他県から訪れる患者さんも多く迎えています。また、時代の変遷とともに、高齢者医療のニーズの高まりを受け、2021年には病棟の一部を地域包括ケア病棟へと転換。急性期から慢性期、回復期まで幅広く対応できる体制を整えました。
特色ある診療科を詳しく伺えますか?

内科、外科、小児科や整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科などは地域密着型で、近隣住民の受診が7割といったところです。必要に応じてエックス線、CTや超音波などの検査機器も駆使しながら診断を下し、当院で完結できるものは治療を行い、重症例は適切な医療機関へと紹介しています。対して、泌尿器科では腎結石、尿管結石、膀胱結石といった尿路結石に対し、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や、レーザーによる経尿道的尿路結石破砕術(TUL)、背中に開けた小さな穴から内視鏡を使って結石を摘出する経皮的腎結石破砕術(PNL)を数多く手がけています。また、眼科では白内障手術や硝子体手術を多数実践しています。体外衝撃波結石破砕術や、点眼麻酔による白内障手術は、体の負担を最低限に抑えることに注力し、日帰りにて受けていただけます。そのほか、整形外科には股関節を専門とする医師が在籍し、人工股関節置換術に積極的に取り組んでいます。
地域包括ケア病棟についても教えてください。

もとは3つある病棟のすべてを急性期病棟として運営してきましたが、急性期を脱して状態が安定しながらも医療ケアが必要な方や、在宅にて療養中の方の受け皿となるような、急性期病床と療養病床の中間的な位置づけの病床がほしいとの声を受け、2021年に全体のおよそ3分の1にあたる44床を地域包括ケア病床へと転換しました。急性期治療後の在宅復帰に向けたリハビリテーションと療養をメインに、在宅クリニックの医師からの依頼による急変時の一時入院や、在宅療養中の方のレスパイト入院などを受け入れています。リハビリテーションの実施や在宅療養に向けた支援調整などもしっかりと行っており、入院中はもちろん、退院後にご自宅に戻られてからも安心して暮らしていただけるように、幅広くサポートしています。
具体的にはどのようなサポートが受けられますか?

入院中から医療相談室にて社会福祉士が相談をお受けします。医療費のご相談に加え、転院先や退院後に在宅で利用できる医療・福祉サービスのご紹介など、それぞれの患者さんとご家族の事情に合わせたご提案がかなうよう、日頃から地域の在宅クリニックや療養型医療機関、介護施設などとの連携も深めています。紹介患者さんの受け入れ窓口となる地域連携室でも、これまで主としてきた病病連携、病診連携に加え、多彩な介護拠点との連携が今後さらに重要になるでしょう。おかげさまで地域包括ケア病棟は広くご利用いただいており、地域の医療・介護従事者がつながるハブとしての機能も果たしていると感じます。
今後の展望とメッセージをお願いします。

専門特化型診療科はさらにレベルを高め、地域密着型診療科では40年間で勝ち得てきた信頼をさらに高めていくことをめざします。小児から成人・壮年期、高齢期まで、シームレスにお支えできるのが当院の強み。特に高齢者の場合、急性期に限らず、その後の地域での暮らしも視野に入れながら、必要なサポートをご提供していきます。医療・介護ネットワークを深め、広げながら、長くご縁をいただいてきたこの地域を支える医療貢献に尽力していきたいと思います。

高橋 睦長 院長
1983年滋賀医科大学卒業。同大学第2外科および関連病院で臨床経験を重ねた後、東京大学医科学研究所附属病院外科および関連病院で活躍。2002年大口東総合病院に入職。2015年8月に、長く同院院長を兼務してきた新納憲司理事長より病院長職を継承する。日本外科学会外科専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医。