医療法人社団菫会 目黒病院
(東京都 目黒区)
岡 崇 副院長
最終更新日:2026/04/09


障壁は低く、質の高い医療の提供をめざして
1949年の「菫診療所」開設に始まり、1954年に病院へと移行。70年以上にわたり地域に根差した医療の提供に努めてきた「目黒病院」。1991年には全面改築を行い、CTやMRI、超音波診断装置、各種内視鏡などの先進機器を導入。時代と地域のニーズに合わせて病院機能を強化しながら、二次救急医療の担い手として歩みを続けてきた。内科、外科、整形外科、循環器科、救急科、リハビリテーション科などをそろえるもののあえて細分化はせず、診療科の垣根を越えた医療を展開し、専門的な治療から一般診療、健康相談まで幅広く対応する。副院長の岡崇先生は日本循環器学会循環器専門医で、肺高血圧症の専門家。慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するバルーン肺動脈形成術など高度治療も行い、関東各地から患者が訪れる。祖父が開設し、父が院長を務める同院の3代目として、地域医療に向き合う岡副院長に、同院の歴史や診療の特徴、今後の展望などを聞いた。(取材日2026年2月20日)
病院の成り立ちと特徴をお聞かせください。

当院は、私の祖父で前理事長の岡亨が1949年に開設した「菫診療所」を前身とし、1954年に「目黒病院」となりました。開設当初は低所得の方々への診療も行っていたと聞いています。その後2003年に父・岡潔が院長に就任し、現在に至ります。私は大学卒業後、東邦大学医療センター大森病院循環器内科に勤務しつつ、当院でも週1~2回、外来や当直を担当してきました。2022年に副院長就任後は当院での診療をメインとしていますが、現在も大学病院で週1回診療しています。当院がめざすのは「人と地域を支える医療」です。内科・外科・整形外科・循環器科・救急科などに対応し、CTやMRI、超音波検査装置、骨密度測定器、内視鏡といった検査機器に加え、カテーテル治療が可能なハイブリッド手術室も導入しました。日常の健康相談から救急対応、専門的な治療まで、地域の皆さんのニーズに応えられるよう体制を整えています。
二次救急病院として、地域の急性期医療を担われていますね。

はい。当院には消化器外科、整形外科、心血管カテーテル治療を専門とする医師に加え、救急医療に精通した医師も在籍しています。救急車の受け入れは原則として断らない方針で、私が副院長に就任してからの4年間で受け入れ件数は大幅に増えました。救急科外来を直接受診された方についても、特にかかりつけの患者さんや近隣の方は基本的にお断りせず診療しています。高齢化に伴い高齢者の救急搬送も増えていますが、ご高齢の方は心疾患や呼吸器疾患などの基礎疾患を抱えていることも多くあります。そのため、例えば骨折の場合でも内科の医師が全身状態を評価し、整形外科の医師が治療を行うなど診療科を越えて連携して治療を行っています。それによって安全性に配慮した医療をめざすことができています。
その他、力を入れている領域や治療はありますか?

整形外科では新たな医師を迎え、手術の対応範囲を広げています。変形性膝関節症や変形性股関節症などの変性疾患はもちろん、人工関節置換術や外傷手術まで、安全性を重視した上で迅速に行える体制を整えました。また消化器外科では、虫垂炎や腸閉塞、ヘルニアなどの腹部手術にも対応しています。2024年に手術室を刷新し、大学病院では待機期間が生じがちな手術も当院では比較的速やかに実施できています。CTやMRI、心臓超音波などの検査も原則即日実施が可能で、「受診の障壁を下げる」ことをめざし、その日のうちに検査・診断・治療まで完結できるよう体制を整えています。さらに、下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術も行っています。下肢静脈瘤は足のだるさやむくみのほか、血管が浮き出てコブのように膨らむなど見た目にも影響します。血管内レーザー焼灼術は低侵襲で日帰りでの治療が可能です。気になっている方はどうぞご相談ください。
先生は循環器内科がご専門だそうですね。

はい。大学では循環器内科の中でも特に肺高血圧症を専門とし、治療実績が豊富な岡山医療センターでも研鑽を積みました。肺高血圧症は一般的な高血圧症とは異なり、心臓から肺へ血液を送る血管である肺動脈の血圧が高くなる病気です。息切れや呼吸困難、強い疲労感などが主な症状で、国の指定難病にもなっています。専門とする医師や対応可能な医療機関は限られますが、当院では診断に不可欠な右心カテーテル検査を実施できる体制を整え、関東各地から患者さんが来院されています。難病ではありますが、近年では治療の選択肢も増え、適切な治療により症状の改善や進行の抑制が期待できるようになりました。重症例は大学病院と連携して対応しますが、軽症から中等症であれば当院で診療しています。
最後に、今後の展望と地域の方へメッセージをお願いします。

今後は、リハビリテーション機能のさらなる強化に取り組み、地域の先生方との連携を深めながら、地域包括ケアシステムの中核を担っていければと考えています。現在は3階にリハビリ室、1階入り口横に物理療法室を設け、理学療法士など専門職が温熱療法やマッサージ、運動療法などを提供しています。今後はスタッフの増員など体制をさらに充実させ、入院後できるだけ早く住み慣れたご自宅へ戻れるよう、より迅速で質の高いリハビリテーションをめざしてまいります。また、循環器領域を中心に専門性に基づいた医療に対応できる体制を維持しながら、いつでも気軽に受診していただける「障壁の低さ」も大切にしていきたいと思っています。医療者側の都合ではなく、患者さんの視点に立った診療を心がけ、地域の皆さんに困ったとき真っ先に思い出していただける病院を目標としています。どうぞお気軽にご相談ください。

岡 崇 副院長
2010年東邦大学卒業。2012年同大学医療センター大森病院循環器内科入局。小児肺高血圧症の診療に携わったことを契機に専門的に取り組むようになり、2015年には治療実績が豊富な岡山医療センターで研鑽を積む。2020年東邦大学医療センター大森病院救命救急センター勤務。2022年同院循環器内科助教を経て、同年9月より目黒病院副院長。日本循環器学会循環器専門医。





