医療法人社団望眞会 世田谷桜丘病院
(東京都 世田谷区)
久冨木原 健二 院長
最終更新日:2026/03/16


地域医療のハブとなる病院をめざす
世田谷区桜丘の環状八号線沿いで、地域に根差した医療の提供をめざしているのが「世田谷桜丘病院」だ。近隣の住民に長く親しまれてきた「世田谷井上病院」をリニューアルし、2025年より新たな体制のもとでスタートした同院では、かかりつけ医としての内科一般に加え、久冨木原健二(くふきはら・けんじ)院長が専門とする神経内科、非常勤医師による泌尿器科と呼吸器内科、腎臓内科を診療。2026年4月からは皮膚科の診療も開始予定。さらに、人工透析や人工呼吸器管理にも対応する医療療養病床を備えるほか、訪問診療も提供するなど、地域の医療ニーズに応えることのできる体制の構築に努めている。「地域全体で必要な医療を提供する上で、当院がハブの役割を果たせればと思っています」と話す久冨木原院長に、同院の取り組みや展望について聞いた。(取材日2026年1月26日)
最初に病院を紹介していただけますか?

1977年頃、初代院長の井上毅一先生により「井上外科胃腸科病院」が設立されました。当初は急性期病院として、消化器外科と整形外科領域を中心に診療を行っていました。2007年には、2代目の井上和幸先生が病院を継承し、時代の流れや地域医療の状況を踏まえて病床を療養型へ転換するとともに、人工透析病床を導入しました。その後も地域医療を支えながら、新型コロナウイルス感染症という困難を乗り越えてきました。そして2025年4月に私が病院を継承し、9月からは医療法人社団望眞会 世田谷桜丘病院として、新しい体制でスタートしています。私自身は4年ほど前から東京医療センターに勤務していました。同センターは世田谷区と目黒区の境にあり、この地域から来られる患者さんを多く診ていました。さらに、急性期医療の現場で診療を重ねる中で、地域に密着した医療の大切さを強く感じるようになり、縁あって当院を引き継ぐことになりました。
どのような診療を行っているのですか?

専門性の高い医療を提供するのではなく、受診のハードルを低くして、地域の皆さまに気軽に受診していただけるような病院をめざしています。外来では、かかりつけ医として一般内科や老年内科の診療を行っています。私は日本内科学会総合内科専門医で、CTやMRIも備えていますので、診療科にとらわれず幅広い病気を診断し、必要なら基幹病院へ紹介します。そこでの検査や治療が終わったら当院に戻ってきていただき、その後の健康管理を担当するというように、地域全体で必要な医療を提供する上で、当院がハブの役割を果たせればと考えています。加えて、私は神経内科が専門ですので、認知症やパーキンソン病、脳梗塞や脳出血の治療後、頭痛といった専門領域にも対応しています。例えば、自分や家族の物忘れが気になるものの、いきなり基幹病院に行くのはハードルが高いと感じる場合には、ぜひ気軽に相談していただきたいと思います。
入院では、どのような患者さんに対応しているのですか?

54床の療養病棟を備え、急性期病院や回復期リハビリテーション病院を退院した患者さんや、在宅療養中に医療的な管理が必要になった方など、自宅や施設での療養が難しい患者さんを受け入れています。病棟の性質としてお看取りをすることも少なくなく、最期までの時間を穏やかに安心して過ごしていただける場を提供したいと考えています。また、一時的に体調が悪化した場合や、介護体制を整えるために短期間の入院が望ましい場合にも、当院はお力になれると思います。患者さん一人ひとりの状態に合わせたリハビリテーションや人工透析など、医療的なサポートが必要な患者さんにも対応できることが特徴です。これらの取り組みを通じて、患者さんの身体機能の維持や回復を支援し、その方らしい生活をサポートします。同時に、患者さんとご家族に寄り添い、療養の場にふさわしい医療とケアを提供することで、穏やかな入院生活を送っていただけるよう努めています。
訪問診療も開始する予定だと伺いました。

区内で訪問診療を行っている医療機関は多くありますが、世田谷区では今後も高齢者が増え続け、2040年以降も増加が続くというデータがあります。そうした状況の中で地域医療が破綻しないようにするためにも、今から訪問診療に取り組んでおく必要があると考えました。自宅で療養している患者さんは、発熱や体調不良を起こすことがあります。大きな病院では即座に受け入れが難しい場合もありますが、当院には病床がありますので、2~3日から1週間程度の短期入院で対応し、体調が整えば再び自宅に戻っていただくことができます。また、ご家族の介護負担が大きくなり、在宅療養の継続が難しくなった場合にも、速やかに入院していただくことが可能です。このような柔軟性は、当院をご利用いただく大きなメリットだと考えています。訪問診療と入院加療を切れ目なく提供することで、患者さんとご家族にとって最適な療養環境を整えていきたいと思っています。
最後に今後の展望をお願いします。

まずは地域医療を盛り上げ、決して破綻させないようにしなければならないと考えています。外来や訪問、入院による診療はもちろん重要ですが、当院だけでできることには限りがあります。地域のすべての患者さんをしっかりと診ていくためには、地域全体の医療がスムーズに機能するよう、体制を整えることが欠かせません。そのため、正式に院長に就任する前から近隣の基幹病院へごあいさつに伺い、顔の見える関係づくりに努めてきました。現在は、10以上の病院と連携できる体制が整っています。また、訪問診療を開始するにあたり、地域のケアマネジャーや訪問看護をはじめとする介護関係者との連携も強化していく必要があります。こうした取り組みを通じて、地域医療のハブとなる病院をめざしていきたいと考えています。そして、患者さんから「この病院に来て良かった」「世田谷区にとってなくてはならない病院だ」と言っていただける存在になることが目標です。

久冨木原 健二 院長
2011年慶應義塾大学卒業。初期研修を経て同大学医学部神経内科に入局。東京医療センター勤務を経て、2025年より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本神経学会神経内科専門医。





