成城木下病院
(東京都 世田谷区)
木下 二宣 院長
最終更新日:2020/11/25


成城で地域住民が安心して通える存在に
成城の地で半世紀以上にわたって地域住民に愛され続けているのが「成城木下病院」だ。産婦人科を中心に、小児科、内科、乳腺科の外来診療を行い、36床の産婦人科病棟がある。2005年、産婦人科を専門とする木下二宣院長が、祖父から3代続く同院を引き継いだ。2017年1月にリニューアルオープンした新病院は、著名な建築家が手がけた斬新なデザインながら、周囲の街並みにスッと溶け込んでいる。木をふんだんに使った外観、高い天井と陽光が差し込む大きなガラス窓のある院内、豊かな緑を配置した中庭など、癒しと洗練にあふれた空間となっている。ハイセンスでありながら、院内にどこか懐かしい温かさを感じるのは、気さくで明るい笑顔、そして的確でわかりやすい言葉でインタビューに答える木下院長の人柄に寄るところが大きい。埼玉医科大学総合周産期母子医療センターでリスクの高い症例にも対応してきた経験を生かし、専門性の高い医療を提供する木下院長に話を聞いた。
(取材日2018年6月1日)
歴史のある病院と伺っています。

祖父がこの地に「成城産婦人科医院」として当院を開設したのが1946年です。1952年に「成城木下病院」に改名、私は3代目になります。父の後を継ぎ院長に就任した2005年当時、当院は内科を中心とした医療体制で、病棟は高齢者が中心でした。産科を再開し、産婦人科を中心とした体制へとシフトチェンジしていく中で分娩数もどんどん増えていった結果、最終的に内科は外来のみにし、病棟は産婦人科だけで機能させていくことにしました。しかし、もともとの建物は構造的に内科仕様で、老朽化が進んでいたこともあり、2012年に新病院建築プロジェクトを立ち上げ、2014年9月に建て替えを開始、2017年1月にグランドオープンしました。現在では、女性を総合的に診ていくことを中心とした病院になっています。
病院としてのコンセプトを大きく転換させてきたわけですね。

そうですね。2017年4月に常勤の小児科の医師を迎え、出産後も当院で継続してお子さまをフォローできるようになりました。「1ヵ月健診後も、木下病院で診てもらいたい」という声を多くいただいていたので、その思いに応えられるようになって良かったなと思っています。また、多くの分娩を行っている産科では、全診察室に4Dエコーを導入し、赤ちゃんが生まれる前にリスクを見つけて対応するよう尽力しており、無痛分娩や帝王切開などにおいても、十分な経験の下、安全かつ患者さまにご満足いただける対応ができるよう努めています。内科や乳腺科との連携もしっかり行っていますので、婦人科に来られた患者さまが風邪気味だから内科を併せて受診する、ということも可能です。患者さまの人生のどのタイミングにおいても、「何か困ったことがあったら木下病院へ行ってみよう」と気軽に相談していただける場所でありたいと思いますね。
斬新なデザインですが、地元に溶け込む温かみも感じますね。

当院の考えを体現できたのは、デザインと設計に携わっていただいた設計事務所の力が大きいですね。例えば、妊婦さんが来院する産科と、不妊治療も行っている婦人科の外来待合を分け、内科や小児科は産婦人科とは動線が重ならないよう工夫しました。また、心理的につらい思いや不安を持って病院に来られることが多い患者さまが、待合で待っている時にふと外を見て心癒やされてくれたらうれしいという思いから、緑豊かな中庭を作ってハッサクの木を植えたんです。子どもたちに手を伸ばして実をもぐという経験をさせてあげたいと思いましたし、実際に実のなる木がたくさん植わっている成城の街の成り立ちも含めて、この土地にシンボリックなものを作っていきたかったんです。特に病院移行期間はスタッフにも苦労をかけましたが、それを乗り越えて続けてくれているスタッフとは結束も深まったのではないかと思います。
診療の際に、心がけていることはありますか?

昔から心がけているのが、自分の親や妻に接するのと同じように患者さまにも接すること。また、自分だったらこうしてほしい、と思うことをしてあげたいと思っています。もちろん、患者さまにとって言われたくないであろうことも伝えなくてはならないときもありますが、相手の気持ちを大事にしながら、その思いを受け止めた上で、言うべきことをきちんと伝えるようにしています。例えば、年々希望される方が増えている無痛分娩についても、良い点ばかりを聞いて望まれる方が多く、リスク面もきちんとお話しすることが、私たち医師の努めだと感じています。「途中まで頑張ってみて、つらかったらいつでも助けてあげますからね」と、出産の途中で無痛分娩に切り替える準備がいつでも整っていることをきちんとお伝えするようにしています。私たちは妊婦さんと赤ちゃんの安心・安全を第一に考えていますが、それが本人にとって満足したものになれば何よりですから。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

患者さまが望んでいるお産に、現状よりもさらに高い形で応えていけるようにしたいと思っています。一つには安全性を高めるために、医師や看護師の質をさらに上げていきます。医療者としての能力はもちろんですが、患者さまへの接遇、対応に関しても一流であってほしいですね。院内の管理職全員で考えた今年の病院年間目標が「プロであれ」に決まりました。プロ意識を持った集団として、質の高い医療と接遇を維持し、患者さまにもっともっと安心感を与えられる病院にしていきたいというのが一つの目標です。幸い、当院は診療科を超えた協力体制も良好で、先生方も気さくな方が多いですから、何でも相談していただけると思います。この地域の方々の健康を安心して委ねられる場所でありたい、そのためにもう一段階、二段階高いところを目指していきます。敷居の高い病院ではないと思いますので、患者さまからの要望の声も気軽にいただきたいと思います。

木下 二宣 院長
1998年順天堂大学医学部卒業後、東京大学医学部産婦人科に入局。埼玉医科大学総合医療センター産婦人科、関東中央病院、埼玉医科大学総合周産期母子医療センター産科勤務を経て2005年、祖父から3代続く同院の院長に就任。院長就任当初は内科を主体とした病院であったが、自身の専門である産科を再開し現在に至る。医学博士。