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医療法人 横浜未来ヘルスケアシステム 奥沢病院

(東京都 世田谷区)

伊平 慶三 病院長

最終更新日:2020/11/25

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地域住民のために近い距離感の急性期医療を

奥沢駅から3分。自由が丘駅から7分。人口が多い地域であるからこそ、急に倒れた高齢者の救急治療など「いざと言う時に頼りにでき、アクセスしやすい病院」が、巨大な医療機関だけではなく求められている。そんな現代的なニーズに応え続けているのが、伊平慶三病院長の率いる「奥沢病院」だ。コミュニティに密着した急性期(症状が急激にあらわれた時期で、多くは早期の治療を要する)医療を提供する場だからこそ、昔ながらの「かかりつけの個人医院」とも、「地域の基幹となる大きな病院」とも並行して通い分けることができる。患者やその家族にとって苦しい時に選択できる行き場の種類が増えることはありがたいだろう。最近の数年間でこそ、地域内における包括的な医療・介護・福祉が協力し合うシステムづくりは、行政からのサポートも得られるようになってきた。しかし、一般的にはコミュニティ内における医療連携は地域差が大きく、暗中模索といった面もある。そのような中で、20年前からコミュニティに密着した病院づくりをしてきた同院の経験知には、患者や家族は大いに助けられるだろうと思われる。伊平病院長の誠実な話を聞いた。(取材日2017年5月18日)

コミュニティーのための病院とコンセプトを掲げておられます。

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20年前、開院時の院長だった故・松村光芳先生のアイデアです。私も含め当院に集まったスタッフは巨大な医療機関の出身者が多く、大きな病院でも地域の個人医院でも行いづらい医療の必要性を痛感していたのです。例えば、大きな病院では専門性の高い医療を提供できるものの、患者さんお一人ずつに割く時間は減らざるを得ません。丁寧にやるほど患者さんの待ち時間を増やす構造がありますからね。そこで、特に開院当初は時間に余裕があったこともあり、充分に時間をかけて患者さんの身体に関するお悩みをお聞きすることにしました。診療の最後には「他には何か大丈夫ですか?」と聞きます。複数抱えている場合もある病気の相談もできるわけです。可能なら、患者さんがその場にいながら、医師やスタッフが動くことで診療科目の垣根を超えた診療を実現させようとしているのです。地域にそのような病院があれば患者さんにとってはうれしいのではないかと。

患者をあまり断らない、という急性期医療を実現されていますね。

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近隣の医療関係者が信頼して紹介してくださって患者さんが来られる場合も多いわけです。お役に立ちたいですよね。急性期ですから、幅広い症状の患者さんが来院されます。その状況はいつもあるものなので、私たちは当初、専門性の薄かった分野についてはパートの医師に来てもらいながら学び続け、必要ならばより高度な医療機関との連携を重ね、いるスタッフが幅広く対応できる領域をじわりじわりと広げてまいりました。例えば、当院には脳外科はありませんが、脳梗塞などで搬送される患者さんも多いわけです。しかし、この20年間で周囲の基幹病院の諸先生がたと相談を重ね、「心配だから寄ってみた」など帰りに来てくださるほどの密な関係性を結ぶことで、そのつど何をするのが最前の判断・治療なのかの経験知が蓄えられた面も多くあります。顔の見える関係で多くの医療機関とつながっているからこそ、幅広い医療を提供できるに至ったのです。

個人医院との関係性を重視されている点も素晴らしいと思います。

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個人でクリニックを営んでおられる「かかりつけ」の先生がたからすれば、紹介した病院での治療の内容がわからなかったり、知らないうちに患者さんが戻って来なくなったりするのは好ましい事態ではありません。巨大な医療機関と個人医院との間に立って機動力を発揮している当院としては、患者さんを包む地域医療の網の目をよりきめ細やかにしていきたいのだから、開業医の皆さんにそのような点で疑われるような存在であってはならないと捉えています。だから、急性期で来られた患者さんをもとの個人医院さんにお戻しし、また、何かあったらいつでもご相談くださいという他院との協力体制を築いてきました。すると、患者さんも安心して「かかりつけ」の先生とも当院とも、あるいは場合によっては大学病院・総合病院などとも付き合い続けられるのですね。現在では、訪問診療をされている先生がたともそのような協力体制を築こうとしているんです。

地域とのコミュニケーションで心がけていることは何でしょうか?

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20年間、地域に根差す病院という意味では規模は小さくともナンバーワンをめざし改善を続け、良いスタッフが育ちました。心配事を多く抱えているのが患者さんやご家族ですから、職員のほうから積極的に挨拶をし、時には待ち時間であろうとも困っていることはないか伺うことまでしてくれているのは誇りに思っています。個人医院と大きな医療機関との間を突いた病院だからやるべきことは多岐に渡り、複雑で総合的な判断が求められますが、職員たちは本当によく頑張ってくれていますね。おかげで患者さんや地域の医療施設との関係も良くなり続け、複雑な状況に対しても経験から対処できるタフなチームプレイが可能になっています。初代院長が考えたコンセプトをより実現できるようになり、「あそこは面倒見が良い」と言っていただけるような親身なコミュニケーションを重ねる医療を、自分たちなりに提供できるようになってきている実感があります。

貴院で診療を続けてきて転機になった出来事はありますか?

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開院したての頃、重症の心不全の患者さんに対し、「うちで診られるんですか?」と専門分化が進んだ大学病院出身者が多かった当時の当院では無理もないとも言える声も上がりました。その言葉から、考えを捉え直すきっかけをもらったんです。結果的に他院にお送りせねばならないにせよ、「うちで診察・診断をしない」という選択はないのではないか。この最初の段階での大きな方針は、問われることで固められたのですね。助言をくださる周囲の多くの先生がたとも相談を重ね、できる限りの治療を行う。他院にお送りするなら、患者さんの状態をできるだけ正確に診断し、どこのどの先生にどうお願いすれば良いかも考える。やればやるほど、幅広い症状に対してよりタフに対応でき、効果的な決断もできるようになったのですね。来た患者さんを診ないという選択肢はほとんどないという思いを強めてくれた、自分にとってはありがたい言葉だったのです。

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伊平 慶三 病院長

1987年、秋田大学医学部卒業。昭和大学病院に入局し、呼吸器を専門として昭和大学病院および関連病院などでの勤務を続けてきた。1993年から1995年までは、呼吸器内科に所属しながらも昭和大学病院における救急医療に携わるなど、幅広い経験を積む。1997年に開院した「奥沢病院」では、当初から中心的なメンバーとして、地域住民とのコミュニケーションを大事にするコミュニティのための病院づくりを続けている。

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