医療法人社団輔仁会 片倉病院
(神奈川県 川崎市高津区)
豊島 秀男 院長
最終更新日:2024/08/29
先進性と迅速さにこだわるかかりつけ病院
開業以来、長年にわたり地域の健康を支えてきた「片倉病院」。同院の院長を務めるのは豊島秀男先生だ。大学病院の教官として糖尿病・内分泌疾患を中心に総合的な内科診療と後進の育成に長年携わってきたが、新しい知識や技術を地域の人々に還元したいと、2019年に院長へ就任した。循環器内科、消化器内科、リウマチ科などは大学病院、中核病院に所属する医師が診療にあたり、高いレベルの医療を追求している。そのほか、入院設備も持ち、人工透析患者の長期療養入院にも対応する。さまざまな検査機器を有し、重要な疾患を早急に見極めることをめざすとともに、複数の大学病院とも密に連携を取り、緊急性が高い疾患は迅速に紹介できるよう体制を整える。さらに、それぞれの診療科や職種の垣根を低くし、スタッフ全員が診療方針を理解し、相談しやすい体制を取っているのも同院の強みなのだという。「スタッフが自信と満足感を得ることが、サービスの質の向上につながります」と語る豊島院長に、病院の特徴や診療方針などを聞いた。(取材日2024年6月4日)
病院の役割や先生の経歴を教えてください。
当院は、前身の片倉医院から数えて70年以上、地域医療に携わってきました。私自身は東京大学、筑波大学、自治医科大学などに勤務し、慢性疾患、特に糖尿病に関して先進の診療を行ってきました。それを地域の人々に還元したいと思い、2019年に当院の院長に就任しました。当院は入院設備を持ち、人工透析が必要な患者さんや、回復しても退院するのが難しい患者さんを多く受け入れています。私はもともと、白血病やがんを専門としていましたので、終末期の患者さんのマネジメントに関しても経験を積んでいます。そうした患者さんを長期療養入院によって最期まで看取ることも私たちの使命だと考えています。なお、私は趣味でバラの栽培をしており、病院正面の植え込みでも育てていますが、切り花にして患者さんにお渡しすることもあるんですよ。バラの花は、地域の人々やスタッフとのコミュニケーションツールにもなっているんです。
こちらには、どのような特徴がありますか?
診療科として内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科、循環器内科、消化器内科、脳神経内科、腎臓内科、リウマチ科があります。人工透析設備もあり、外来と入院で対応しています。各診療科では大学病院、中核病院所属の医師も診療にあたっており、大学病院の診療レベルと遜色ない医療を提供できているのではないかと思います。さまざまな検査を受けられる上に、大規模病院と比較して、初診、検査、検査結果のフィードバック、治療という一連の流れがスムーズだと思いますので、患者さんをお待たせする時間の短縮にもつながっています。また、最近、物忘れ、認知症に特化した外来を始めました。大学病院に所属する神経内科専門の医師が週2回診察していますので、「最近、物忘れが多い」「様子がおかしい」など、ご本人でもご家族でも心配な方はご相談ください。診断や治療・セカンドオピニオンはもちろん、大学病院での専門的な検査を紹介することも可能です。
先生の診療に対するスタンスや方針を教えてください。
大学病院にいる頃、看護師、臨床検査技師、栄養士などからなる糖尿病の診療チームを立ち上げました。全員で相談しながら、患者さんを良い方向に導くためのお手伝いをしてきたんです。今も、そのスタンスは変わっていません。例えば、患者さんの希望はなるべく尊重しますが、薬に頼ってばかりではいけないこともきちんとお伝えします。生活習慣病は、悪くなる手前でしっかりとした診療を受けることが大切。早い段階で自分の体をケアしていただくためには、定期的な健診が欠かせません。当院の健診は所要時間にも配慮していますので、ぜひ受診してください。そのほか、診療科や職種の垣根を低くすることで、スタッフ全員が診療方針を共有し、相談しやすい体制づくりに努めているのも当院の特徴といえるでしょう。スタッフが自信と満足感を得ることが、サービスの質の向上につながるからです。スタッフが幸せでなければ、患者さんも幸せにできないと信じています。
検査にも注力しているそうですね。
大学病院の場合、検査を受けたり、結果が出るまでに時間がかかることが多いと思います。当院は、検査の内容にもよりますが、多くの場合当日中に結果が出ます。また、検査結果は専門の医師がダブルチェックし、見逃しがないよう気をつけています。当院は、患者さんを待たせることなく、重要な疾患を早急に見極める役割を担っていると考えています。検査をして、緊急性が高いと判断すれば、電話1本で、帝京大学医学部附属溝口病院に救急搬送できる体制を整えています。総合内科として、初診患者さんから緊急性の高い疾患、慢性疾患まで対応しています。そのほかに、虎の門病院分院、日本医科大学付属武藏小杉病院、聖マリアンナ医科大学病院、昭和大学付属病院、井田病院、関東労災病院、母校である東京大学医学部附属病院とも密に連携を取っていますので、必要があれば迅速に連携病院での診療を受けることもできます。
地域の方へのメッセージをお願いします。
糖尿病の診療は、ここ10年で大きく変わりました。昔のように、患者さんがいろいろなことを我慢しすぎることなく、安定した状態を保つことが見込めるようになっているのです。ただし、それには10年、20年先を見据えた体のケアが大切です。私が日頃、口うるさく言っていることを、家族や友人の方に伝えてほしいと患者さんにお願いしています。それが地域に広がれば良いですし、伝えた本人も言った以上、実践するようになるはずです。なお、当院では月1回糖尿病教室を開催しています。これは当院が一方的に情報を伝えるのではなく、患者さんがどういう点に苦労しているか、スタッフが勉強をする場でもあるんです。糖尿病に限らず、慢性疾患の大半は何となく放置されています。しかし、専門性の高い医療機関で定期的にチェックしてもらうことをお勧めします。当院は他科の医師とも相談して診療方針を立てていますので、ぜひ利用していただきたいと思います。
豊島 秀男 院長
1985年東京大学医学部卒業。臨床研修後、東京大学医学部第三内科入局。癌研究会癌研究所ウイルス腫瘍部、米国のSalk Institute for Biological Studiesなどで研究。帰国後は筑波大学臨床医学系内分泌代謝・糖尿病内科、自治医科大学さいたま医療センター総合医学1内分泌代謝科准教授を経て2019年より現職。2010年より埼玉医科大学ゲノム医学研究センターにて医学研究を続ける。